秘めやかな色欲

おもち

文字の大きさ
上 下
288 / 312

288

しおりを挟む

この際、黒田にお茶することを伝えて「オレ以外の男とお茶しないで」って言って貰えばいいのだ。

彼は心配性。

こんな可愛くて美しい俺を野放しにしておくはずが無い。

恋人が嫉妬するから2人での外出は出来ないと伝えれば、吉野だって今後誘ってこなくなるだろう。
崖から子を突き落とすライオンの様に、ここは鬼になって...。

「吉野くんとお茶?いいね、気をつけて行くんだよ」

予想外だった。
まさか黒田が、心を開いた人間にはとことん甘いなんて...。


そして俺は

「何飲みます?あ、ケーキセットもあるみたいっすよ」

休日に生徒とお茶をする現実から目を逸らせない。
夏休みが終わったとは言え、照りつける太陽の日差しが暑過ぎる。

「アールグレイだけでいい」

誰かに見つかる前に早く帰りたい...。

「俺はケーキセットにしますね」

ああでも、吉野の嬉しそうな顔を見てしまえば...

「今日、一緒に過ごせて嬉しいです...」

「......俺もだよ」

来て良かったとすら思ってしまう...!


オーダーを済ませ、テーブルに視線を落としたままの俺を見た吉野は不思議そうに顔を覗き込んだ。

「どうしたんです?」

「いや...誰かに見られたら困るっつーか...」

「大丈夫ですよ、今日の先生眼鏡掛けてないしバレないって...」

くい、と顎を持ち上げられると身体中に熱が駆け巡る。

「...ほんと、かわいいね」

「っ...、そ...その可愛いって言うのさ...、やっぱり俺のことをそういう目で見てるんじゃねぇの...」

男が男に可愛いって言うなんておかしいだろ。
やっぱりこいつ俺のこと好きなんじゃないのか...?


「うん、そうだよ」

「え!?...おま、それは流石にマズイ...」

「前も言った通り、俺は先生のことを母さんだと思ってる」

......お母さんに可愛い♡可愛い♡って言う息子がいるかよ。

「一緒に寝たい」

「駄目だ」

「抱っこして」

「俺より体重重いだろうが」

「よしよしは?」

「あ゛?わざとあんな点数をとったお前の頭を誰が撫でるか...!」

店員が温かなアールグレイティーと、ケーキセットをテーブルの上に置く。

店員の腕により視界が一瞬遮られたが、再び吉野の方へ視線を送ると彼はあからさまに肩を落としていた。

「だって...先生と一緒に居たかったから...」

しゅん...

「いい点数取れば、いくらでも頭撫でてやんのに...」

「え?」

目を輝かせた吉野は本当?と首を傾げる。

その無邪気な表情が俺の心を鷲掴んで離さない。

いくらでも、は流石に言い過ぎたかな...。

まあでも、頭撫でるだけで喜ぶ且ついい点数を取るなら安いもんか。

「ああ」

「じゃあ2時間よしよしして欲しいです」

「長ぇわ」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

処理中です...