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しおりを挟む「...疲れただろ、寝ていいよ」
「うん...」
ベッドに横になれば、余計黒田の匂いに包まれた。
火照る身体の熱を沈めたいのに、どうしても体温が上がってしまうこの状況に、少しばかり息を乱す。
「大丈夫...?水、持ってこようか」
その場を離れようとする黒田の腕を掴んだ。
「...行かないで...、隣にいて...」
潤んだ瞳
熱で侵される身体で必死に呼吸をして
脚を擦り合わせる
その姿を見た黒田はゾクリと肌を粟立たせた。
「...せんせ、まだ言いたいことが...あって...」
「うん...?」
ぎゅう、と男らしい身体に抱き締められて、髪を梳きながら頭を撫でる手にうっとりした。
温かい。
「...あの...、俺...」
小さな声は確実に熱を帯びている。
耳元で囁く言葉は、呼吸すら押し殺さないと鮮明には聞こえない程に小さい。
黒田は俺の声に意識を集中させた。
「先生のことを考えるだけで頭がいっぱいになって...、先生と一緒にいる日々が凄く幸せで...どんどんこの気持ちは大きくなっていく...」
「.....」
「...多分......、すき......なのかも」
胸がドキドキして苦しい。
ついに言ってしまったと、今更ながら恥ずかしくなってギュッと目を瞑った俺に、甘い声が降り注ぐ。
「...オレも好きだよ...鏡夜」
「っ...、ンぁ...」
パジャマを押し上げる自身をゆっくり撫でる彼の手に、腰がヒクンと震えた。
「何もしてないのに勃起してる...、溜まってた...?」
「ん、んっ...ぁ...♡」
黒田の匂いと体温で勃起したなんて、とてもじゃないけど言えない。
熱で侵される中、下着から取り出された自身を軽く上下されては、久しぶりの快感に熱い吐息を零した。
「待っ...て、んんッ、シコシコするの、っ...♡」
「腰揺れてるよ...?早く出して、休もうね...」
くちゅくちゅ、くちゅっ
感度が研ぎ澄まされた身体に、頭がおかしくなりそうな程匂いが充満した部屋。
「かわい...」
額に口付けを落としながら、低く愛を囁く声に感じては、呆気なく彼の手の内に精子を吐き出した。
「は、...っぁ、はぁ...ごめ...手汚れて...」
「気にしないで。熱あるのにこんなことしてごめんね...、おやすみ...鏡夜」
頭を撫でる手が心地いい。
疲労感に身を委ねて、そっと目を瞑った俺は彼の胸に頬を寄せながら声を漏らした。
「...、先生...おやすみ......」
腕の中でパッタリと動かなくなった俺を見下ろす黒田は、笑みが溢れそうになるのを必死に堪える。
パジャマの裾からチラリと見える生白い肌、男のわりには艶めかしく色っぽい容姿。
首と枕の間に差し込んでいた腕を引き抜き、掌に吐き出された精子に舌を這わせた。
「...濃いな...」
死んだ様に眠る俺の横で両膝をつき、熱く滾る自身を取り出した黒田は精子を受け止めた手で己を慰める。
「...はぁ...、ん...っ」
会話を交わさず、目を合わせず、ひとつ屋根の下にいるにも関わらず、別々の部屋で寝食をした数日間。
普段自慰行為などはしない黒田だったが、客間で眠る男のことを思えば身体が火照り何度もオナホの中に欲望を吐き出した。
やっと、手に入った。
やっとオレのモノになった。
誰も手に出来なかった高嶺の花を手にした時、心の底から興奮した。
「っ...、は...」
艶やかな黒の髪を指先で退けて、綺麗な顔に向かって吐き出した精子に堪えていた笑みが溢れる。
「くく......汚されちゃったね...?過去の男にされたことや思い出は...全部オレが汚して忘れさせてあげる...」
幸せそうに眠る表情を見た黒田はニヤリと笑った。
「...大好きだよ、鏡夜」
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