秘めやかな色欲

おもち

文字の大きさ
上 下
137 / 312

137

しおりを挟む

夕方頃から身体もいつもの状態に戻り始めた。
筋肉痛にも関わらず、嬉しそうにはしゃぐ32歳児2人を横目に、ソファーに座りながら柚子茶を飲んでいると

「はっ...そうだ、清めないと...」

突然我に返った黒田は再度俺を浴室に連れて行き、しつこいぐらいに身体を洗った。

身念入りにボディースクラブで清められた身体はしっとりと光り輝いている。

「はい、まずは腕からね」

「ん...」

テーブル下の収納から可愛らしいボトルに入ったボディークリームを取り出した黒田は、適量を手に取り俺の腕に滑らせた。

燃えて炭と化した、愛用の高級ボディークリームとはデパートの店頭で奇跡的に巡り会った。
人気商品で欠品が続き、ネットでは高値で売買されることも多い品を定価で買えたのだ。

あまりにも感極まって「ひゃっ!」と高い声が出てしまう程嬉しかったことを思い出す。

「で...、毎日そうやってお前が塗ってあげてんの?」

「そうだよ」

ソファーに寝そべる俺と、その身体をマッサージしながらボディークリームを擦り込む黒田を、冷めた目で見つめる光悦。

部屋の中に広がるバニラとホワイトムスクの香りは、心までもリラックスさせてくれる。

はー、極楽...。

「...きもちい...。黒田先生、首のとこもう少し念入りに...」

「僕は、鏡夜のことをお姫様かなんかだと思っていたけど...お姫様って言うか、女王様だね」

小さく呟いた光悦の声が耳に届けば、声を漏らして笑う。

「はは...光悦も俺の下僕になりたいのか?」

「んー...男の下僕に成り下がった気分はどうだい、椿」

「幸せだよ、一生お仕えする」

なんて従順な。
でも黒田のことは下僕だと思っていない。

どちらかと言えば王子様みたいだし、実際のところ他の男とは比べ物にならないくらいいい男なのだ。

そんな男を下僕にしておくはずがないだろう。

「.........、先生は...特別...。...下僕じゃない...」

「っ...うれしい...」

赤く染まる頬を精一杯隠していると、突然黒田が抱き着いてくる
そのまま黒田を肘で押しやれば唇を尖らせながら吐き捨てた。

「わ、すぐに引っ付くな...!つーか何にそんな喜んでんだよ...!」

ってところ」

喜ぶ黒田を無視して、ゆっくりと身体を起こせば、マッサージしてくれた彼にお礼を伝える。

ただただ笑顔を浮かべて頭を撫でてくれる黒田がスパダリ過ぎて辛い。
息出来ないくらいかっこいいじゃん、こいつ。

「...、ところで光悦、お前いつまでここにいるつもり?早く帰れよ」

ソファーから退く黒田がキッチンへ立ち、冷蔵庫から2人分の豚肉を取り出す。

お前に食わせるものはないぞ、と言わんばかりの態度とる黒田は、カーペットの上でダラける光悦に視線を寄越した。

「明日の朝、椿と鏡夜が家出る時に一緒に出るから、僕の分のご飯も作って」

「はぁ...?嘘だろ...帰れよ...」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

処理中です...