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しおりを挟む「誕生日おめでとう。これからもずっと、鏡夜の誕生日をお祝い出来ますように」
手の甲に口付けを落とす黒田が、星空の下で綺麗に笑ってみせる。
そうか、今日は俺の誕生日だったか...。
響やその他友人から沢山の連絡があったり、マッチングアプリの通知が「99」以降表示されなくなっていたのも、お祝いのメッセージが寄せられていたからなのかもしれない。
「プレゼントも色々考えたんだけど、気合い入れても正直重いし、洋服とか下着も買ったばかりだから全然思い浮かばなくて」
「......」
毎年沢山のプレゼントが送られてきた。
マッチングアプリに登録していた誕生日を見た男達は、俺に気に入られたい一心で高級ブランドの品物やら一流ホテルの食事券、何万円もするような花束、目が眩む程の大金を送ってくるのだ。
満足だった。
だから、それ以上お祝いしてもらうつもりも、自分でお祝いするつもりもなかった。
7月7日の誕生日こそ誰とも会わず、身体を繋げず、ただ1人コンビニで買ったケーキを食べる。
今年もそうなる予定だったのに。
今この瞬間、隣にいる彼をどれだけ愛しいと思ったことか。
「...やべ、泣きそ...」
「え...!あまりにもベタ過ぎた...?いや、まあ確かに...ちょっとキザ男みたいでキモイな...。欲しいのあるなら今週末にでも買いに行こ?」
高級品や金なんかより、ただ彼が隣に居てくれるだけで十分満たされる。
プレゼントなんか要らないし、欲しいものもない。
来年も、再来年も、その先もずっと...俺の隣に居てくれれば、かけがえの無い日々になる。
「何が欲しい?」
強いて言うなら、彼から永遠の愛情が欲しい、とワガママを言ってやりたい。
「ん?」
俺の顔を覗き込んでくるその姿を見て、実感した。
やっぱり俺、黒田のことを本気で好きになってしまったのだ、と...。
よし、今だ。
言うなら、今しかない。
「黒田先生...、俺...っ、俺ね、先生のこと...す」
ザーーーーッ!
大粒の雨が勢いよく降り注ぐ。
「っ、わ...突然だな...。驟雨か、とにかく車まで走ろう」
「...」
数分前までお星さま綺麗、ってなってたんだぞ。
なんで今なんだ...!
タイミング、クソすぎだろ。
突然の土砂降りに全身を濡らし、7月にも関わらず暖房をつけながら帰宅した。
家に着く頃にはほぼ止んでおり、彼が言った通り驟雨であったことがわかる。
「...は...」
「んっ...ん...」
玄関の扉を開け、家に入った瞬間どちらからともなくお互いの身体を引き寄せ合い、唇を重ねる。
身体にピッタリと張り付く衣服の気持ち悪さには目もくれず、ただひたすらに舌を絡め彼の首に腕を回した。
「...鳥肌たってるね...」
冷えた肌が粟立っていることに気付いた黒田が、俺の服に手をかける。
「...、...風邪、引いちゃうからお風呂行こっか...」
「ん...。でも、先生の身体すげぇ熱い...」
「...興奮してるからかな...」
「はは、何それ」
脱衣場に移動してからも、お互いにキスを深め、相手の服を脱がせていく。
カチャカチャと小気味いい音を立てるベルトを引き抜けば、既にネイビーのボクサーパンツを押し上げる太い肉棒が露になる。
「...えろ」
黒の紐パンを履いたまま腰を押し付ければ、彼の眉がピクリと動いた。
「...ね、鏡夜...さっき言いかけたこと、なに?」
サイドの紐に手を掛けられ、はらりと下着が舞い落ちると、そのまま彼の胸板に手を着いて優しくキスを落とす。
「やっぱり、まだ言ってやんね...」
「なに...また秘密...?」
ほんとは、俺が何を言おうとしたか分かってるクセに。
「身体に直接聞いた方が早そうだな...」
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