秘めやかな色欲

おもち

文字の大きさ
上 下
3 / 312

3

しおりを挟む
碓氷鏡夜ウスイキョウヤ
職業は高校の教師で、3-Cの担任、担当教科は数学。
30歳、兄弟なしの一人っ子。

神経質で、変なところに潔癖。
自分に厳しく他人に厳しいだけでなく、自分でも呆れるほどプライドが高い。

学校でも関わりたくないであろう人物の上位に君臨していることから、親しい生徒や親しい職場の人間はいない。

そんな俺を、本当は快楽に貪欲で、浅ましく男を欲しているなんて誰が思うのだろうか。

朝と夜の温度差に、己の目が眩みそうな程興奮しているのは事実で

他人には絶対にバレてはいけないと思っているのも事実。

ただ自分が、いつか職場の人間に「変態」だとバレてしまった時、俺の高揚感は頂点へ上り詰めることは想像しただけでも明らかだった。


「じゃあ帰るから」

ベッドの上で煙草を吸う東條に別れを告げ、ドアノブに手を掛ける。

「鏡夜、待って」

「なに...?23時には寝なきゃいけないんだけど」

「俺たちこんなに相性いいんだよ。週一の身体の関係で終わらせたくない」

嫌な予感がする。

普段はキリリとした東條の顔が悲しそうに歪み、ベッドから降りた彼の手が俺の腰を抱き寄せた。

「つまり?」

「俺と恋人同士になって欲しい」

ああ、やっぱりーーー。

「...東條さん、最初に伝えただろ?お互い割り切った関係で遊ぶだけ、俺は特定の人は作らない主義だって」

腰を掴む手に指を絡め、東條の頬に指を滑らせる。

「これでもあんたは特別なんだよ?基本どんな男でも1回ヤったら連絡先消してるし、どれだけお金積まれても2度と抱かせてやらないのに...」

「っ、鏡夜...!やっぱり俺...」

「だーめ、キスはしない約束。...あ、はは...さっき出したばっかりなのにもう大きくなってる...」

頬から首、胸、腹と指を滑らせバスローブ越しでも分かる程、大きくなったに指を這わせた。

「あ...きょう、や...」

「オナニーしてるとこ動画で送って。そしたら来週はもっとサービスしてあげる。じゃあ...おやすみ、東條さん」

トン、と男の身体を突き放し部屋の扉を閉める。

...不完全燃焼だ。
もう2、3回は出しておきたかったが平日は時間的にも厳しい。

不完全燃焼とは言え、身体の相性がいいから今日のセックスも気持ちよかった...やはり東條は切れない。

スマホのカレンダーを開き、来週の金曜日に印を付ける。

次はここにしよう。
金曜日なら時間も気にせず、土曜の昼くらいまでセックス出来るから好都合。

気怠い身体で車に乗り込み自宅へ走らせると、23時になる前にベッドへ倒れ込んだ。


その数時間後。

6時ピッタリにアラームが鳴り、布団の中で唸る。

「...頭痛てぇ...」

低血圧のせいで朝は弱い。
ズキズキと痛む頭を抑えながら、忘れないうちにサイドテーブルに置かれた眼鏡をかける。

ベッドメイキングをした後、洗顔と歯磨き。

6時30分に朝食、7時からニュースを見ながら身支度を整え、7時50分には家を出る。

今日も時間配分に狂いはない。

空いた時間でスマホを見れば、俺が寝ている間に東條からの動画が送られてきていた。

無意識に口角を上げ、再生ボタンを押す。

『は、ぁ...あっ...見えてる...?』

「...」

バスローブの合間から勃ちあがる東條自身を、ゆるゆると擦る動画に釘付けになっては唇を舐めた。

だらしなく溢れたカウパーに、戦慄く腹筋がなんともいやらしい。

『あ、あ...イく、鏡夜...きょうや...ーー!』

勢いよく飛び出た少量の精液が東條の腹を汚したのを最後に、動画は暗転した。

「来週の金曜日、19時30分に昨日のホテルで...と」

後ろが甘く疼くのを感じながら東條に連絡をいれると、直ぐに既読がついた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

男色医師

虎 正規
BL
ゲイの医者、黒河の毒牙から逃れられるか?

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった

なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。 ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

真・身体検査

RIKUTO
BL
とある男子高校生の身体検査。 特別に選出されたS君は保健室でどんな検査を受けるのだろうか?

処理中です...