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作品2 嫌われ者

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 何時だったか、誰かが言っていた。


「嫌う方が悪いのは言うまでも無いが、嫌われる方にも原因が有るんじゃないか?」と。


ならば、俺の場合はどうなんだ?

生まれた時からと言っても過言ではない。

物心がついた時には既に嫌われ者だったのだ。

そんな俺の何処に原因が有ったのだと?


なのに、何時も言われる。


「生まれた来た事自体が駄目。」


「生きている事が駄目。」


生まれて来た事、生きている事、自分の存在全てが否定され、嫌悪され、拒絶される。


だから、人目につかない様にコソコソとしていろと?

生きていく上でそんな事は無理だと分かっていて…。

嫌われているのは分かっているから、なるべく見つからない様に行動しているのに…。


だが、不幸にも出会でくわしてしまう時もある。

その時の相手の、嫌悪感を隠そうともしない、まるで敵にでも出会ったかの様な憎悪に満ちた眼。


その上、同じような嫌われ者なかまだと思っていた奴からまで、「お前ほど嫌われていない」と言われ、下に見られ、酷い扱いを受ける。


自分の存在全てが否定され、嫌悪され、拒絶されているからと言って、こんな目に合わなければいけないとでも?

暴力を振るわれたり、殺されたりしなければならないのか?


俺達は暗闇の中を直走ひたはしった。

見つからないように家路を急ぐ。

だが、運悪く出会でくわしてしまった。


そして、相手は攻撃態勢に入る。


不味い!ヤバい!


俺は動けなかった。

そんな俺とは違って、友は捨て身の特攻をかけた。


しかし、凶器の前では無力である。一撃で殺られてしまった。


そして、俺も最終兵器の前ではなす術がなかった。


…ああ。もう、目の前が…、


        暗くなって…。



   ― 殺虫剤噴霧された
       “Goki”の最後の呟き ―

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