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50. 救出 ②
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*いつもお読み頂きありがとうございます。
*今話、暴力シーン及び、無理矢理シーンから始まります。
おまけに登場人物達が、言葉使い悪いです。
苦手な方は全力で回避して下さい。読まれる方は自己責任でお願いいたします。
~~~~~
━ 救出少し前 ━
ベッドの上に投げられ、クラウスに覆い被さられた。
自分がこの後、どうなるかなんて事考えたくも無かった。
けど、考えなくても想像がつく。
私の顎に固定するように手をかけ、クラウスの顔が近づいてくる。
身体を押し退ける事が出来なくても、顔なら…。
両手を顎の下に入れ、手の平で押し返す。
「くっ…この…!」
何か呻き声を上げているけど、構うもんですか!
しかし、力を横に逃がすようにして、手を払い除けられ、そのまま頭の上で一纏めに押さえ付けられてしまった。
「暴れても無駄だよ。あぁ…この時をどれ程待ちわびた事か。今日こそ思い知らせて上げるよ。」
「そんな焦点の合ってない眼で言われても不気味なだけですから!」
一瞬眉間に皺を寄せたが、「まぁいい…。」と言ってニヤリと嗤う。
『心臓の鼓動が速くなってるけど、危機感からですから!』
空いた方の手で顎を押さえられ、再びクラウスの顔が近づいてくる。
がっちり固定されている所為で、顔を逸らす事も出来ない。
「…や…だっ…やめ…!」
頬をベロリと嘗められた。
怖気が走る。
そんな私の反応を見てクックックッと笑う。
「大丈夫だよ。すぐに良くなるから。フフフ。」
「…ぅんグッ…!」
気持ち悪くて、吐き気が込み上げてきた。
なのに、今度は首筋を嘗めてきた。
「う…おう”ぇ…!」
『ヤバい!マジで吐きそう…。』
彼も危険を感じたのか、顔を離した。
初めて会った時からこの王太子の本性と言うか何かドス黒くてヤバい物を感じていた。
だから他のご令嬢達が、王太子の事をどれ程キャーキャー言って頬を染めていても何か得体の知れない恐怖のような物を感じて傍から離れていた。
「ほんと、君って昔から生意気だったよね。青い顔してガタガタ震えているくせに、涙を浮かべた眼で睨み付けてくるんだから。」
そう言って、さっきとは反対側の頬を嘗める。
「や……いや…だ!…やだ…!」
「強情だね。けど…だからこそ堕としてやりたくなるし、手に入れ甲斐があるというか、手に入れた時の喜びが大きいんだよ。ンフフ。」
『両手が…足が…動かせたら殴るなり蹴り飛ばすなりしてやるのに!』
けれど、身体を鍛えた騎士より線の細い優男だとしても、“腐っても鯛”。
鍛え上げられた女騎士でもない限り、男の腕力には勝てない。
『マジ、ムカつく―!!』
噛み締めた唇から血が滲み、口の中に鉄錆びみたいな味が広がる。
悲鳴を上げたりしたら、この手の輩を煽るだけで、喜ばす事になるから堪えていた。
着ていたデイドレスの前襟に手を掛けられ、力任せに引っ張られて破られた。
「ッ……!!」
眼を固く瞑ると同時に顔を背けた。
が、その後、何も起こらないどころか、頭の上で私の手を押さえ付けていた力が無くなった?
片眼を開け、そっとクラウスの様子を窺う。
わなわなと震え、青ざめた顔で瞠目している。
「…だ……ウソだ…そんな……ウソだ-ッ!!」
頭を抱え、尚もぶつぶつ言っている。
「ウソだ…ウソだ!ありえ……あ…。」
彼は、頭を抱えたまま顔をあげて私を見た。
「あの時か…あの時だろ!えぇッ!!」
「ちょ……ちょっと…ま…って!」
両肩を掴まれ、上体を起こすと前後にガクガクと揺すられる。
「公爵邸に行った時、あいつと乳繰り合ったのか?!」
「えぇッ?……ちち…って?」
訳が分からない。
彼は一体どうしたのか、何を言いたいのか全く分からない。
「…くっそーッ!!」
叫ぶと、私を突き飛ばした。
ベッドに背中を打ち付けて、一瞬息が止まりそうになる。
目の前にいるクラウスが、頭を抱えたまま、啜り泣きをしだした。
私は胸を隠して身体を起こした。
「…こんな…クソッ…俺の…に…。グスッ…。ふ…グッ…グスッ…。」
いきなりキレたかと思うと、泣き出した彼を見て、訳の分からない恐怖が、背中を這い上がってくる。
そこへアルベルト達が入って来た。
その後も、訳の分からないキレ方をしていたクラウスに、薄気味悪い怖さしか感じなかった。
………ん?
アルベルトとクラウスの会話で、何かが引っ掛かった。
が、思い出せなかった。
そんな事よりも、もう駄目だと思ったあの時、何故クラウスが豹変したのか分からなかった。
あの時、彼の中で何があったのか?
帰りの馬車の中で考えたけど、何も分からなかった。というよりは、色々ありすぎて疲れていたのか、途中から眠ってしまったらしく、次に目覚めた時は公爵邸のベッドの上だったから、その間の記憶が無い。
~~~~~
帰りの馬車の中、疲れ果てたフランは眠ってしまった。
色々あったのだから、今は眠らせてあげたかった。
『それにしても、効果覿面だったな。』
自分の思惑通りになった事に、ホッとした。フランが怖い思いをしたし、痛い思いもした。
けれども最悪な事にはならなかった。
だからと言って、喜べやしないが…。
抱き締めている彼女の肩に顔を埋め、その体温を感じて、やっと彼女が生きている事に実感が湧いた。
だが、まだ終わりじゃない。
全て終わるまで…。
全てが終わった後、フランは俺の事を許してくれないかもしれない。
それでも、終わらせなければ…。
眠っている彼女の顔を見て願った。
*今話、暴力シーン及び、無理矢理シーンから始まります。
おまけに登場人物達が、言葉使い悪いです。
苦手な方は全力で回避して下さい。読まれる方は自己責任でお願いいたします。
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━ 救出少し前 ━
ベッドの上に投げられ、クラウスに覆い被さられた。
自分がこの後、どうなるかなんて事考えたくも無かった。
けど、考えなくても想像がつく。
私の顎に固定するように手をかけ、クラウスの顔が近づいてくる。
身体を押し退ける事が出来なくても、顔なら…。
両手を顎の下に入れ、手の平で押し返す。
「くっ…この…!」
何か呻き声を上げているけど、構うもんですか!
しかし、力を横に逃がすようにして、手を払い除けられ、そのまま頭の上で一纏めに押さえ付けられてしまった。
「暴れても無駄だよ。あぁ…この時をどれ程待ちわびた事か。今日こそ思い知らせて上げるよ。」
「そんな焦点の合ってない眼で言われても不気味なだけですから!」
一瞬眉間に皺を寄せたが、「まぁいい…。」と言ってニヤリと嗤う。
『心臓の鼓動が速くなってるけど、危機感からですから!』
空いた方の手で顎を押さえられ、再びクラウスの顔が近づいてくる。
がっちり固定されている所為で、顔を逸らす事も出来ない。
「…や…だっ…やめ…!」
頬をベロリと嘗められた。
怖気が走る。
そんな私の反応を見てクックックッと笑う。
「大丈夫だよ。すぐに良くなるから。フフフ。」
「…ぅんグッ…!」
気持ち悪くて、吐き気が込み上げてきた。
なのに、今度は首筋を嘗めてきた。
「う…おう”ぇ…!」
『ヤバい!マジで吐きそう…。』
彼も危険を感じたのか、顔を離した。
初めて会った時からこの王太子の本性と言うか何かドス黒くてヤバい物を感じていた。
だから他のご令嬢達が、王太子の事をどれ程キャーキャー言って頬を染めていても何か得体の知れない恐怖のような物を感じて傍から離れていた。
「ほんと、君って昔から生意気だったよね。青い顔してガタガタ震えているくせに、涙を浮かべた眼で睨み付けてくるんだから。」
そう言って、さっきとは反対側の頬を嘗める。
「や……いや…だ!…やだ…!」
「強情だね。けど…だからこそ堕としてやりたくなるし、手に入れ甲斐があるというか、手に入れた時の喜びが大きいんだよ。ンフフ。」
『両手が…足が…動かせたら殴るなり蹴り飛ばすなりしてやるのに!』
けれど、身体を鍛えた騎士より線の細い優男だとしても、“腐っても鯛”。
鍛え上げられた女騎士でもない限り、男の腕力には勝てない。
『マジ、ムカつく―!!』
噛み締めた唇から血が滲み、口の中に鉄錆びみたいな味が広がる。
悲鳴を上げたりしたら、この手の輩を煽るだけで、喜ばす事になるから堪えていた。
着ていたデイドレスの前襟に手を掛けられ、力任せに引っ張られて破られた。
「ッ……!!」
眼を固く瞑ると同時に顔を背けた。
が、その後、何も起こらないどころか、頭の上で私の手を押さえ付けていた力が無くなった?
片眼を開け、そっとクラウスの様子を窺う。
わなわなと震え、青ざめた顔で瞠目している。
「…だ……ウソだ…そんな……ウソだ-ッ!!」
頭を抱え、尚もぶつぶつ言っている。
「ウソだ…ウソだ!ありえ……あ…。」
彼は、頭を抱えたまま顔をあげて私を見た。
「あの時か…あの時だろ!えぇッ!!」
「ちょ……ちょっと…ま…って!」
両肩を掴まれ、上体を起こすと前後にガクガクと揺すられる。
「公爵邸に行った時、あいつと乳繰り合ったのか?!」
「えぇッ?……ちち…って?」
訳が分からない。
彼は一体どうしたのか、何を言いたいのか全く分からない。
「…くっそーッ!!」
叫ぶと、私を突き飛ばした。
ベッドに背中を打ち付けて、一瞬息が止まりそうになる。
目の前にいるクラウスが、頭を抱えたまま、啜り泣きをしだした。
私は胸を隠して身体を起こした。
「…こんな…クソッ…俺の…に…。グスッ…。ふ…グッ…グスッ…。」
いきなりキレたかと思うと、泣き出した彼を見て、訳の分からない恐怖が、背中を這い上がってくる。
そこへアルベルト達が入って来た。
その後も、訳の分からないキレ方をしていたクラウスに、薄気味悪い怖さしか感じなかった。
………ん?
アルベルトとクラウスの会話で、何かが引っ掛かった。
が、思い出せなかった。
そんな事よりも、もう駄目だと思ったあの時、何故クラウスが豹変したのか分からなかった。
あの時、彼の中で何があったのか?
帰りの馬車の中で考えたけど、何も分からなかった。というよりは、色々ありすぎて疲れていたのか、途中から眠ってしまったらしく、次に目覚めた時は公爵邸のベッドの上だったから、その間の記憶が無い。
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帰りの馬車の中、疲れ果てたフランは眠ってしまった。
色々あったのだから、今は眠らせてあげたかった。
『それにしても、効果覿面だったな。』
自分の思惑通りになった事に、ホッとした。フランが怖い思いをしたし、痛い思いもした。
けれども最悪な事にはならなかった。
だからと言って、喜べやしないが…。
抱き締めている彼女の肩に顔を埋め、その体温を感じて、やっと彼女が生きている事に実感が湧いた。
だが、まだ終わりじゃない。
全て終わるまで…。
全てが終わった後、フランは俺の事を許してくれないかもしれない。
それでも、終わらせなければ…。
眠っている彼女の顔を見て願った。
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