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11. こんな人でしたっけ?
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シュトラウス子爵領の領主邸に到着した時には、誘拐+リンドブルム侯爵令息からの極甘行動による、精神的疲労が限界を突破していた私は、再び意識を失い、そのまま部屋へ運ばれたそうです。
リンドブルム侯爵令息にお姫様抱っこなるものをされたまま…。
父や従者がいくら運ぶのを交代すると言っても、頑として譲らなかったらしいです。
そして、彼は私の両親に事情を説明した後、私からも話を聞きたいから後日、騎士団本部まで来て欲しい旨、伝えていきました。その時に、今回の事件の詳細を教えて頂けるとの事でした。
その事については、私にとっては、“渡りに船”でした。というのも、私はリンドブルム侯爵令息とウンツフリーデン伯爵令嬢、お二人の愛の為に身を引いたにも拘わらず、婚約破棄から半年も経ったのに誘拐されるという、何故そうなったのか、私には何が何だか分からない事だらけで、詳しい事情を教えてもらえるなら、是非聞きたいと思っていたからです。
取り敢えず、そちらについては、説明してもらえると聞いて安堵しました。
そして、誘拐犯が何故私の部屋に入って来れたのか?それが分からなかったのですが、両親から、『警護責任者の説明では、調査の結果、王都から連れて来ていた護衛騎士の内の一人が、彼らに話を持ち掛けられ、お金の為に手引きした事が分かった。』そうです。
その所為で、警護責任者が処分を受ける事に…。この地を離れる前に私に謝罪したい。と言っていると聞き、私は頷きました。
警護責任者だった彼は、終始、平身低頭で気の毒なくらいでした。そして、警護責任者の任を解かれ、領内の他の土地へと赴任していきました。そして、手引きした護衛騎士は、当然、騎士団に引き渡されたそうです。
父からも『長閑で、犯罪なんて起こらない様な土地柄だから、大丈夫だと高を括っていた。その所為で、私に恐ろしい思いをさせて済まなかった。』と、涙ながらに謝罪されました。
私たちにとっても、この誘拐事件は色々と考えさせられた出来事でした。まだ、沢山の疑問もありますが、今回は、私の命が無事だった事に感謝して、まずは領内の治安の見直しと言う点について直ちに改善できた事は良かったと思う様にしよう。と家族で話しました。
*****************************
そうして、目覚めてから五日後、誘拐時の話の聞き取りの為に騎士団本部へと出向きました。誘拐犯への事情聴取も終わったので、私からも話を聞きたいと、連絡があったからです。
事件の詳細などを教えてもらえる事になっていましたが、話の内容によってはショックを受けるかもしれない。という不安があった私は、両親に付き添いをお願いしていたので、一緒に騎士団本部へ行きました。
本部に到着後、受付を済ませると、騎士団団長室に案内されました。
室内に足を踏み入れようとしたその時、大きな声で私の名前を呼ばれ、声のした方を振り返ると、リンドブルム侯爵令息が満面の笑みで私の方へと、早足で歩いて来ようとしていたのですが、彼を私に近付けさせない為か、団長の副官らしき人に羽交い絞めにされました。
あ、今、副官の方を睨みつけながら、何か抗議しているようです。そして、じたばたと羽交い絞めから逃れよう と、身体を捩ったり、足をバタバタしだして…。
何だか見ている此方が恥ずかしくなってしまいます。
…ッと。とうとう騎士団長から頭を叩かれました。
え…?あら、やだ。シュンとして…何だか叱られた仔犬みたいになって…?やだ…何か、かわいいかも…?。
私の記憶にある、リンドブルム侯爵令息とは違う様な? 馬車の中でも思いましたが、この方って、こんな人でしたっけ? 何だか、別人を見ている様なんですが…。
今までのイメージと全然違う、リンドブルム侯爵令息を見て戸惑うばかりでした。
リンドブルム侯爵令息にお姫様抱っこなるものをされたまま…。
父や従者がいくら運ぶのを交代すると言っても、頑として譲らなかったらしいです。
そして、彼は私の両親に事情を説明した後、私からも話を聞きたいから後日、騎士団本部まで来て欲しい旨、伝えていきました。その時に、今回の事件の詳細を教えて頂けるとの事でした。
その事については、私にとっては、“渡りに船”でした。というのも、私はリンドブルム侯爵令息とウンツフリーデン伯爵令嬢、お二人の愛の為に身を引いたにも拘わらず、婚約破棄から半年も経ったのに誘拐されるという、何故そうなったのか、私には何が何だか分からない事だらけで、詳しい事情を教えてもらえるなら、是非聞きたいと思っていたからです。
取り敢えず、そちらについては、説明してもらえると聞いて安堵しました。
そして、誘拐犯が何故私の部屋に入って来れたのか?それが分からなかったのですが、両親から、『警護責任者の説明では、調査の結果、王都から連れて来ていた護衛騎士の内の一人が、彼らに話を持ち掛けられ、お金の為に手引きした事が分かった。』そうです。
その所為で、警護責任者が処分を受ける事に…。この地を離れる前に私に謝罪したい。と言っていると聞き、私は頷きました。
警護責任者だった彼は、終始、平身低頭で気の毒なくらいでした。そして、警護責任者の任を解かれ、領内の他の土地へと赴任していきました。そして、手引きした護衛騎士は、当然、騎士団に引き渡されたそうです。
父からも『長閑で、犯罪なんて起こらない様な土地柄だから、大丈夫だと高を括っていた。その所為で、私に恐ろしい思いをさせて済まなかった。』と、涙ながらに謝罪されました。
私たちにとっても、この誘拐事件は色々と考えさせられた出来事でした。まだ、沢山の疑問もありますが、今回は、私の命が無事だった事に感謝して、まずは領内の治安の見直しと言う点について直ちに改善できた事は良かったと思う様にしよう。と家族で話しました。
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そうして、目覚めてから五日後、誘拐時の話の聞き取りの為に騎士団本部へと出向きました。誘拐犯への事情聴取も終わったので、私からも話を聞きたいと、連絡があったからです。
事件の詳細などを教えてもらえる事になっていましたが、話の内容によってはショックを受けるかもしれない。という不安があった私は、両親に付き添いをお願いしていたので、一緒に騎士団本部へ行きました。
本部に到着後、受付を済ませると、騎士団団長室に案内されました。
室内に足を踏み入れようとしたその時、大きな声で私の名前を呼ばれ、声のした方を振り返ると、リンドブルム侯爵令息が満面の笑みで私の方へと、早足で歩いて来ようとしていたのですが、彼を私に近付けさせない為か、団長の副官らしき人に羽交い絞めにされました。
あ、今、副官の方を睨みつけながら、何か抗議しているようです。そして、じたばたと羽交い絞めから逃れよう と、身体を捩ったり、足をバタバタしだして…。
何だか見ている此方が恥ずかしくなってしまいます。
…ッと。とうとう騎士団長から頭を叩かれました。
え…?あら、やだ。シュンとして…何だか叱られた仔犬みたいになって…?やだ…何か、かわいいかも…?。
私の記憶にある、リンドブルム侯爵令息とは違う様な? 馬車の中でも思いましたが、この方って、こんな人でしたっけ? 何だか、別人を見ている様なんですが…。
今までのイメージと全然違う、リンドブルム侯爵令息を見て戸惑うばかりでした。
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