apocalypsis

さくら

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tu fui, ego eris

undeviginti

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「先生は僕のものですよ? 勝手に拘束しないでください」
 いや、お前のものではないと斎はこころの中で否定する。口に出さなかったのは、なにか考えがあるのかもしれないと思ったことと、少しの情報ですら、相手方には渡したくなかったというのがあった。
「あれ? やっぱそういうことになったん?」
 いや、なっていないと斎はまた心の中で否定をする。そして、どうすればこの拘束から逃れられるかを考えた。単純に力で抜け出せるようなものではない。打撃系の格闘技には不利だという考えが浮かんできたとき、身体を拘束しているサイラスの感触が消える。
「それ、卑怯やん」
 サイラスが肩を竦めてみせる。
「貴方の戦闘能力と同じですよ」
 天弥が斎を移動させたのだと知る。
「御神本くん」
 今まで沈黙を貫いていた胡桃沢が口を開き、斎に話しかけた。
「なんでしょうか?」
 間違いなく、天弥の説得だろうと思うが、一応、尋ねてみる。
「君も一緒に行かないかね? 君は好奇心旺盛だし、戦闘力もある。どうかね?」
 一緒にという案は、やはり胡桃沢だったのかと納得をする。羽角が斎のことをそこまで知っているとは思えないので、考えるまでもなく当然のことだった。それに、この二人だけよりは、斎が居た方が生存確率は上がる。ふと、一つの謎が斎の中に浮かぶ。生存確率を上げるための戦闘力が欲しいのなら、サイラスを連れて行けば良い。単純に戦闘能力だけでいえば、サイラスの方が遥かに高い。それに、サイラスは羽角とは別れたくないのだろう。なぜ、サイラスを連れて行かないのかが分からない。
「そうですね。興味はありますが、お断りします」
 斎は真っ直ぐな視線を胡桃沢に向けて答えた。
「君だけではなく、天弥くんも一緒にどうかのぉ?」
「僕はまったく興味ありません」
 サイラスの表情が曇っているのを確認した。斎と天弥を連れて行くのは良いが、サイラスは駄目なのだろうと想像がつく。それは、胡桃沢の意見ではないのだろう。胡桃沢は、おそらくそこまでサイラスのことを知っているとは思えない。それなら、拒否をしているのは羽角なのだろうと考えつく。だが、理由が分からない。自身の娘も孫も道具としてきたような人物だ。戦闘要員として連れて行くことに躊躇は無いはずだ。
「一応、人間らしい部分はあるのですね」
 天弥が羽角を見つめながら口を開く。意味が分からず、斎は天弥と羽角を交互に見つめた。
「血の繋がった僕や母よりも、血の繋がらない彼の方が大切ですか?」
 天弥の言葉に、サイラスが顔を上げる。
「子は、親の言うことを聞くものだろう? もちろん孫もだ」
 慌てて天弥の様子を確認する。だが、斎が見る限り表情に変化は見られなかった。少しだけ安堵する。
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