apocalypsis

さくら

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alea jacta est

viginti sex

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「お父さんは、お父さん? と一緒だと……」
 天弥は困ったように首を傾げる。
「どっちがどっちだか分かんない……」
「成瀬くんは、天弥くんの父親ではないし……崇禎くんで良いのでは?」
 斎が天弥を見る。天弥の父親に会ったことは無いが、学校でも父親が存在しており、天弥自身も父親の話をしたことがある。母親だけではなく、父親も本当の親では無かったのかと驚きを隠せない。それなら天弥には家族は居ないということなのか。そのとき、斎は本来の天弥が言った言葉の意味を理解した。そして、天弥の父親とは誰なのかを考える。
「でも、ずっとお父さんだったし……」
 悲しそうに目を伏せる。
「そうじゃな。まぁ、成瀬くんの望みは由香子くんだし、大人しく君が戻るのを待っておるんじゃないかのぉ」
 天弥は答えることが出来なかった。
「そういえば、さっきの僕が居なくなればというのは?」
 気になっていたことを、ここぞとばかりに斎が尋ねる。
「それは……」
 そのことを話せば、正体を知られてしまうことになり、天弥は悩み口を閉ざす。
「それよりも、波が酷く荒れてきておる。どうにかせんとのぉ」
 助け舟を出すように胡桃沢が二柱を指差す。
「そうですね。なにか方法が?」
「ないのぉ」
 にべもなく返ってきた言葉に、斎は肩を落とした。この状況をなんとか出来るのは間違いなく天弥だけだろうが、何が出来るのか、何が出来ないのかが正確に理解していない。天弥本人も把握していないということで間違いは無いと思われる。
「先生、ここから逃げますか?」
 天弥の問に、ある疑問が斎の中に浮かぶ。
「天弥。その移動って質量とか制限はあるのか?」
「しつりょう?」
 斎と胡桃沢も一緒に移動することが出来た。かと言って、二人は人間である。神はどれほどの質量があるのかが分からない。
「分かんないです」
 また、天弥が伴わなくても移動させることが出来るのかも分からない。サイラスは空間移動だろうと言った。それならば、天弥も一緒でなくては移動が叶わない。
「教授、先ほどの移動は、空間移動と座標移動のどちらか分かりますか?」
「難しい質問じゃのぉ」
 空間を移動するなど、体験した者はいないだろう。そのため、判断できる者も居ないであろう。だが、おそらく残された道は一つ。そのためにも理解しなくてはならなかった。
「天弥、これを移動してみてくれないか? 移動先はどこでもいい」
 斎は煙草の箱を手にする。
「手に持ったままだと……」
「出来ないのか?」
「そうじゃなくて……僕、どうなってるのか分からないから怖くて……」
 もし、斎も一緒に移動させてしまったら、そのときになにか起こってしまったらと不安が浮かんでくる。
「なら、手から離せばいいか?」
 天弥には答えることが出来なかった。
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