apocalypsis

さくら

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alea jacta est

duodeviginti

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 時間の経過は何も感じなかった。一瞬、闇に包まれたと思ったら強風の中に放り込まれたような感覚だった。
「ここは?」
「海ほたる……?」
 斎の問に天弥が自信なさげに応える。周囲を確認すると、見覚えのある場所なのは確かだった。船を模したような人工島は、気を抜けば吹き飛ばされそうな強風が渦巻いていた。ここのどこかで、神が喚び降ろされるとしたらどこなのかと建造物の造りを記憶の中から探る。
「先生、コモちゃんは?」
 天弥の疑問に、改めて周囲を確認してみるが、その姿は見つからない。一緒だったのは確かなのだ。斎と天弥がここに来られたということは、胡桃沢も共に居るはずだと思うが、もしかするとと、不安が湧き上がる。
「ここに来たのは、俺たちだけなのか?」
「コモちゃんも一緒に来たけど……」
 天弥の言うことから推測すると、ここには三人一緒に来ることが出来た。だが、今は胡桃沢の姿が見えないということは、到着後に一人でどこかへ消えたということなのか。
「とにかく、教授と召喚場所を探さなくては……」
 他にも、先に来ているはずのサイラスもどこかに居るはずだ。このまま、この場所に居ても仕方がないと思い、斎は天弥に向かって手を差し出す。強風に吹き飛ばされないようにと判断したのだ。だが、天弥は差し出された手を一瞬、不思議そうに見つめた後、その手を取る。今にも強風に煽られそうな斎と違い、天弥はなにも影響を受けていなかったのだ。髪一筋も乱すこと無く、普通に立っていた。あまりの風の強さに、斎はまだ気がついていなかった。
「とりあえず移動するか」
「はい」
 どこへ移動すれば良いのか分からなかったが、おそらくは開けた場所だろうと予想する。ここは、土産物や飲食に関する店が入っている階のため、この上だろうと考え上に視線を向ける。天弥は周囲の店が気になったが、人が居る気配は無かった。
「とりあえず上に」
 風の抵抗を受けながら、ゆっくりと足を踏み出す。強風のため、思ったように動くことが出来ない状態だった。
「先生、僕が見に行ってきます」
 歩くのも大変そうな斎のことを思ったのか、突然、天弥は一人で行動することを告げた。
「駄目だ」
 天弥と繋いだ手に力を込める。一人で行かせて何かあればと考えると、承諾することは出来なかった。
「でも、僕なら平気だし……」
 言われて、天弥の様子に気が付く。風の影響は全く受けていないようだった。
「天弥……?」
「これ、普通の風じゃないから、僕は大丈夫みたいです」
 斎を安心させるように笑顔を作った。だが、斎は更に不安に苛まれる。なぜ、風の影響を受けないのかは分からない。だが、ここで手を離してはいけないような気がしたのだ。
「なにがあるか分からないから、一緒に行動をした方が良い」
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