apocalypsis

さくら

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alea jacta est

novem

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「これ、食べても良いの?」
 目をキラキラとさせながら天弥は置かれた菓子と飲み物を見る。
「ええで。足りんかったらまだあるから遠慮せんでもええで」
「ありがとう!」
 嬉しそうに菓子を手に取り食べ始めたその様子に、さすがに昨夜は状況が状況だったために食べる物に関心を示す余裕がなかっただけなのかと斎が安心をする。
「そんで、なんの用なんや?」
 サイラスは斎に向けて視線と問を投げかけた。
「ハスターが召喚されるらしい。場所を知っているか?」
 サイラスの顔色が変わる。
「先生、どこまで知っとるの?」
「さあな。どこまで知らされているのか検討もつかん」
 斎は肩を竦めてみせた。
「さよか……」
 サイラスは天弥に視線を向ける。
「天弥……。召喚しようとしとるんは、ハズミなんか?」
「うん。たぶん……コモちゃんがそう言ってた……」
 菓子を食べるのを止め、天弥もサイラスを見た。
「ほな、間違いないな……」
 揃って胡桃沢のことを納得しているような感じで、なにか関わりがあるのだろうかと斎は考え込む。
「わざわざ来てくれたんやけど、俺も知らんのや……。まだ、ハズミから連絡がのうて……」
 サイラスの表情が歪む。
「そうなの? サイラスくん、入院してるから連絡が来ると思ってた……」
「それやったら良かったんやけどな……」
 少し遠くを見るような視線をサイラスは天井に向けた。
「羽角恭一郎とは知り合いなのか?」
「知り合いっちゅーか育ての親……?」
 昨夜から、予想すら出来なかったことが立て続けに分かり、斎の思考が混乱を描く。
「育ての親……?」
「そやで。せやから、色々と手伝いしとるんやで」
 だとすれば、教団とは別口になるのかと今までの状況から納得をした。
「それで、召喚についてなにか分かることとか、予測できる場所とか無いのか?」
「そやな……。媒体を手に入れとるから、どこでも召喚できるはずやし……」
 サイラスが考え込む。自分の用事は終わったのだと勝手に判断をし、天弥は再び菓子を食べ始める。
「胡桃沢教授に聞くのがええんとちゃう?」
 また胡桃沢の名前が出てきた。もしかしなくても、なにか深く関わりがあるのだろうかと斎は思考を重ねる。
「なにか関わりがあるのか?」
 斎の問に、まだ知らされていないのだとサイラスは理解した。
「本人に聞くのが一番やないんか?」
「一応、この後に会う約束はあるが……」
 まさか、胡桃沢が深く関わっているとは考えてもいなかった。ただ、もしかすると教団の一員かもしれないとは思ったことはある。
「教授は、教団の一員なのか?」
「ちゃうで」
 即答された答えに、更にどのように関わっているのかが分からなくなる。
「そうか……」
 ふと、横で菓子を食べていたはずの天弥が、菓子袋を覗き込んでいることに気が付く。食べ終わったのだと判断し、斎は自分の前に置かれている手付かずの菓子を手に取り、天弥の前に置いた。
「ありがとうございます」
 菓子が追加されたことに気が付き、嬉しそうに礼を述べた。
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