apocalypsis

さくら

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alea jacta est

septem

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 出来ることなら、このまま抱きしめて深く唇を重ねたいと思うが、まだ状況が判断できず、天弥も色々と気にしている様子から、額で我慢することにした。
「あ、もしかすると……サイラスくんも知ってるかも?」
 確かに有り得そうだと考える。
「そういえば、退院したのか?」
 天弥が小首を傾げた。
「分かんないから、メール送っておきます」
「あぁ、頼んだ」
「はい」
 すぐに携帯を取り出し、メールを打ち始める。打ち終わると、椅子に座り何かを考え込んでいる斎を見る。一人では、どうにもならなかったことが解決するような気がしてきたのだ。怖くて、何も話せなかったのが嘘のように思える。斎を見つめている間に時間が経ったのか、携帯がメールの着信を知らせた。確認をするとサイラスからであり、急いで内容を確認する。
「先生。サイラスくん退院したそうです」
「なら、明日、会えるか確認してくれ」
 間に天弥を挟まずに、自分で確認するほうが早いと思ったが、サイラスは何も話してくれないような気がしたのだ。
「はい」
 再び、サイラスに宛ててメールを打つ。見舞いに行ったとき、髪が燃えて短くなっていたのを思い出す。無理を言って、一緒に行って貰ったのに、また巻き込もうとしているのではと不安になってくる。
「先生……サイラスくんを巻き込んでも良いのでしょうか……」
「巻き込むも何も……当事者の一人じゃないのか?」
 天弥は、携帯の画面から顔をあげて斎を見た。
「やっぱり……そうですよね……」
 間違いなく、サイラスもすべてを知っている。巻き込む巻き込まない以前の問題だ。もし、羽角恭一郎と胡桃沢斉彬が望みを叶えたら、サイラスはどうするのだろうかと考えた。それに、望みを叶えるということは、本来の天弥を巻き込んでしまうということだ。元の身体に戻れたとしても、力が足りなすぎる。かと言って、本来の天弥は絶対に望みを叶えないだろう。羽角恭一郎に対して、良くない感情を持っているのは確かなのだ。ふと、携帯がメールの着信を知らせていることに気がついた。内容を確認する。
「サイラスくん、明日は大丈夫だって」
「そうか。明日、会いに行くと伝えてくれ」
 斎は、心の中で軽くため息を吐くと視線を天井に向けた。天弥は、まだ話していないことがあると言っていたが、今日のこれらの情報だけでも整理するのに苦労している。元々、天弥の話はあまり要領を得ないことが多い。問うても、明瞭な答えが返ってきた試しがない。今まで得た情報と、先ほど天弥から得た情報を合わせ、考えていくしかない。
「先生。明日は待ってるって」
「分かった。なら、胡桃沢教授の前に会いに行こう」
「分かりました」
 天弥は用の済んだ携帯をしまおうとした。
「あ、時間の確認を忘れていた。それも頼む」
 しまいかけた携帯を取り出し、またメールを打ち始めた。
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