apocalypsis

さくら

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emitte lucem et veritatem

duodeviginti

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 答えを聞くとサイラスは少しだけ沈黙をし、ゆっくりと口を開いた。
「さよか」
 サイラスの様子に、斎は考え込む。怪我を心配して聞いてきたのではなく、何かを確認しようとした、そんな印象を受けたのだ。
「あれから、どうなった?」
 事の経緯が何も分からず、何も判断できない状況の為、現在までの概要を求めた。
「先生は救急車で運ばれて、傷を縫って輸血や」
 縫合するほどの裂傷があったのかと、不思議に思う。
「輸血用血液製剤が足らんくて、天弥が血をくれたんやで」
 その言葉に斎は驚きを顕にする。
「新鮮血による、全血輸血をしたのか?」
 確認を取るような言葉が発せられる。
「そうや、ちゃんと交差適合試験と、γ線照射はしたで」
 その言葉の意味は理解できた。輸血後GVHDの発症についてだ。先ほど一週間と言ってた。症状が出てくるとすれば、時間的にみて、もう間もなくという事になる。
「天弥は知っているのか?」
 新鮮血による全血輸血に踏み切ったという事は、その時点でかなり危険な状態だったということが予想できる。なので、それに対しては何の異論もない。だが、もし何かあった時、それが自らの血のせいだと知った天弥はどうなるのか、それが気がかりだった。
「天弥は何も知らん」
 サイラスの返事に斎は安堵の表情を浮かべる。
「せやけど、大丈夫なんとちゃう?」
 何か意味ありげな表情で、サイラスは斎を見る。斎に起こった事の詳細は分からないが、ただ一つ、もう引き返せなくなったのは事実だ。
「なぜだ?」
 サイラスは僅かに視線を逸らす。
「なんとなくや」
 一週間で、斎の身体中に多数あった細かい傷が、殆ど跡形もなく治っていた。それに加え、かなり酷い傷が三ヶ所あったが、痛みはないという。医者が不審に思い始めているところを見ると、酷い傷の方にも何かがあるのかもしれない。
 斎は、僅かに視線を逸らしたサイラスを見、その不審な状態に疑問を抱く。今の言葉も、慰めや励ましという感じではなかった。
「先生」
 何かを思いつめた様子で、サイラスが口を開いた。
「なんだ?」
「知りたいことがあるんやったら、答えられる範囲で答えるで」
 斎の今の状況は、自分のミスによるものだ。そう考えると、せめてもの罪滅ぼしというわけではないが、何かをせずにはいられなかった。
 いきなりの発言に、斎は戸惑い驚きを隠せないでいた。答えてくれると言うのなら、それはありがたいのだが、何か裏でもあるのではないかと思わず疑ってしまう。
「なら、まずは目的から教えて貰おうか?」
 とりあえず無難だと思われることで、相手の様子を探ろうとする。
「目的っつうか、俺の仕事は天弥の身柄の確保と、先生の監視、敵対勢力との戦闘ぐらいやな」
 天弥の身柄の確保については予想の範囲内だったが、自分を監視しているという事と敵対勢力というのはどういう事なのかと、新たな疑問が湧く。
「たまに、予定外の仕事も入るんやで、堪忍して欲しいわ」
 予定外の仕事というのは、先日の公園での呼び出しだろうと予想する。
「俺の監視ってどういう事だ?」
 どう考えても監視をされるような覚えが無い。強いてあげるのならば、今現在ネクロノミコンを所持しているということぐらいだ。
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