apocalypsis

さくら

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emitte lucem et veritatem

quattuor

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 天弥は少し考えると、ミートボールへと箸を動かした。それよりも早く、斎の箸がミートボールを捉えると、それをサイラスに向かって差し出した。
「ほら」
 少し不機嫌そうな斎の顔を見ると、サイラスは軽く肩を落とした。
「やっぱ、ええわ」
 すぐに斎は、ミートボールを天弥へと向けた。天弥は嬉しそうにそれを口に入れる。
 本当は、聞きたい事など何もなく、斎はただ単に仲の良さを見せ付けたかっただけなのではと思い始める。この様子は、二人の関係を隠そうとしているとは思えない。聞きたいことがあるなら、ハッキリと聞いてくれた方が楽だと、心の中でため息を吐く。
 聞かれれば、答えられる事は答えるつもりではいたが、今の心境としては何も答えたくないになっている。
「せんせー、なんで俺まで呼んだんや?」
 当然と言えば当然の問いに、斎が天弥から視線を移した。
「別に、特に意味はない」
 何か聞ければとは思うが、聞いてもそう簡単には話してくれないだろうと思う。とりあえず、近くにいれば何かの拍子にという事があるかもしれない。そう考えた。
 聞きたいことがないのなら呼ぶな。そう心の中で吐き捨てる。ただでさえ、今回の仕事はムカつく事ばかりなのだ。これ以上、苛つく事はご免だと思う。
 サイラスは、仲良く食事を続ける二人を見た。そして、明日からは絶対にここへは来ない、そう心に硬く誓った。
 
 斎は、手にした本を机の上に置くとメガネを外した。すぐ傍にある時計に目をやるとすでに日付が変わっており、慌てて携帯を手にする。メールの着信があった事を知らせる点滅があり、急いでそれを開く。
 メガネをかけ確認をすると、毎晩のように届く天弥からの就寝を知らせるものであった。そして今夜も着信音に気がつかないほど、本に集中していたのだった。また、返事を送りそこなったと、ため息を吐く。
 机の上にある煙草の箱を手に取り、中から一本取り出すとそれを咥え、火を点けた。今日こそはメールで返事を送るか、直接電話で返事をするつもりでいた。吸い込んだ煙をゆっくりと吐き出した。
 もう、今更あれこれ悩んでも仕方がない、今日も自分にそう言い聞かせた。そして、気を取り直して再び本へと視線を向けた。だが、あまり集中は出来ず何度も同じ文章を視線が繰り返す。
 天弥の姿が思考を遮り、本を閉じた。あの、今にも泣き出しそうな顔を思い浮かべるだけで、激しく欲情をそそられる。本に集中などしていられない。
 煙草の煙を深く吸い込む。ここ四年ほど、誰とも肌を合わすことはなかったし、それを望むこともなかった。ましてや、自分の腕の中の温もりを愛しいと思った事など、ここ六年なかったことだ。
 短くなった煙草を灰皿に押し付けると、すぐに新たな煙草を得ようと、箱に向かって手を伸ばす。手が煙草の箱を掴み、中から一本取り出そうとした時、携帯が着信を知らせた。
 すぐに手に取り、携帯のディスプレイを確認する。そこには、知らない番号が表示されていた。普段なら出ることはないのだが何かが気になり、通話ボタンを押すと電話へ出る。すぐに聞き覚えのある声が、英語で挨拶を告げた。
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