apocalypsis

さくら

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quaecunque sunt vera

viginti quattuor

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 天弥は礼を言うサイラスから視線を前方へと戻した。まだ、ホームルームの続きが行われている。昨日の放課後に見かけた記憶しかないのだが、その時は何も言葉を交わしていない。もしかすると、記憶が無い時に会っていたのだろうかと考える。ホームルームが終わったあとにでも尋ねてみよう、そう思いながら、サイラスの姿を横目で確認する。
 朝のホームルームが終わり、担任が教室を出て行ったのを確認すると、天弥は隣の席を見た。サイラスに話しかけようとした途端、教室中の生徒がその周りに集まってくる。
「あの……」
 一応、話しかけることを試みるが、人垣の向こうまで声は届かなかった。その人垣を押し分けていく気力も根性も無く、天弥はサイラスに話しかけるのを諦めた。
 予鈴が鳴り、周りの人垣が減っていく様子を確認すると、天弥はサイラスに声をかけようとする。それよりも早く、サイラスは天弥の席に向かって机を動かし始めた。
「これで、教科書が見られるちうわけや」
 取り残された椅子を引き寄せ、サイラスは机に向かった。そのほんの数センチの距離に、天弥は緊張をする。昨日、斎と話していた様子では、あまり仲が良いという感じではなかった。
「次の授業って何や?」
「え? あ、数学」
 声をかけられ、天弥は次の授業の準備をしていないことに気がつき、慌てて用意をする。
「数学ってことは、オカモト先生なんか?」
 天弥が頷く。
「そっかー、朝から楽しみやな」
 天弥は思い切ったようにサイラスへと視線を向けた。
「あの、僕、サイラス? くんのこと、知らないんだけど……」
「昨日、会ったやろ?」
「でも僕、サイラスくんとは話もしてないし……」
 天弥の言葉が終わると同時に、教室のドアが開けられた。二人は、同時に視線をドアへと向ける。そこには斎の姿があった。
 斎は教室へ入るとまず、天弥の存在を確認する。そしてその姿を見つけると一瞬、表情が変わるがすぐに平静を装い、教壇へと向かった。
「まあ、あれや、細かい事は気にせんと、仲良くしてや」
 サイラスが言い終わると同時に、日直の号令が教室内に響き、生徒たちが立ち上がる。サイラスは呆気にとられ辺りを見回すが、すぐに自分も立ち上がり、周りからワンテンポずれたタイミングで、一連の動作をし着席をする。
 斎は教科書や資料を開きながら、サイラスを見た。このクラスに入った事は知っていたが、まさか天弥の隣にいるとは思いもしなかった。しかも机を並べ、仲良さそうに一冊の教科書を見ている。思わず、近寄りすぎだと二人を引き離しに行きそうになるのを、なんとか堪える。
 心が乱れたまま、斎は授業を始めるが、何度も視線は二人を捕らえ、まともに授業が出来ているのかどうか、分からなくなるほど意識が二人に集中してしまっていた。
 男でも女でも、天弥に近づくのは誰であろうと嫌なのだ。姉が仲良くするのさえ、我慢が出来ずにいる。しかも神楽は、よく天弥に抱きつくというのも耐えられない。
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