apocalypsis

さくら

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quaecunque sunt vera

viginti duo

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 お互いの体温を感じるほどの距離で、天弥が確認をする。
「貴女にやって貰いたいことがあるので、お礼代わりに一つだけ、貴女の質問に答えますよ」
 天弥の身体と塀に挟まれ、絢子の身体がさらに震えだす。辺りに風が吹き始め、木々がざわめきだした。
「僕には無駄な行為です」
 その言葉通り、天弥は柔らかな髪の一筋も乱すことなく、その場で絢子に視線を向けている。
「答えが必要ないのなら、それでも構いませんが」
 天弥は絢子の耳元でそう囁くと、その唇をゆっくりと移動させる。
「あ、あなたは、斎くんの何?」
 震える声で、絢子は疑問を搾り出す。
「恋人です」
 答えると天弥は、絢子の首筋に唇を置く。
「う、嘘よ……」
 天弥が触れている箇所から、少しずつ力が抜けていくのを感じながら、絢子は言われた言葉を否定する。
「嘘? 今日も何度も唇を重ね、あの腕に抱きしめられましたよ」
 唇を離し、絢子に答える。絢子は力なくその場に崩れ落ち、塀に身体を預けた。
「それにしても、貴女は欲がないのですね。そんな質問で良かったのですか?」
 天弥は、自分の足元に力なく崩れ落ちた絢子を見下ろす。目の前のものに既に興味はなく、これをどうするかだけが問題だった。
「女を襲って楽しいんか?」
 背後からかけられた声に驚く様子もなく、絢子から視線を上げた。
「襲う? 僕には恋人がいるのに、なぜそんな事をしないといけないのですか?」
 そう聞き返しながら、声の主へと振り返った。目の前に立つストロベリーブロンドの少年が、視界に入る。
「その恋人に、満足させて貰ってないんとちゃう?」
 都合よく面白そうな相手が来たと言わんばかりに、笑みを相手に向けた。
「ちゃんと、満足させて貰っていますよ。サイラス アスターさん」
 サイラスの表情が変わる。
「はじめまして……やなかったっけ?」
 そう尋ねるサイラスに向かって天弥は足を踏み出した。
「そうですね」
 答えながら、天弥はその足を止めた。
「貴方、嫌なものを持っているのですね」
 天弥の表情から笑みが消える。
「バレとる? せやけど、あんたと争う気はないで」
 サイラスは、力なく崩れ落ちている絢子へと視線を向けた。
「そこにおる奴を連れ戻しに来ただけや」
 再び、天弥の表情に艶麗な笑みが浮かぶ。
「しばらくは使い物にならないと思いますが、どうぞ」
 許可を得たからか、サイラスはゆっくりと足を踏み出した。
「何したんか知らんけど、その方が助かるわ。また逃げ出されても困るしな」
「いえ、僕の方こそ助かります。ここに放置しておくわけにもいかないので」
 ゆっくりと近づいてくるサイラスを天弥は目で追う。
「ほな、ありがたく受け取ってくわ」
 自分の横を通り過ぎようとしたサイラスに向かって、天弥は手を伸ばしその腕に触れた。その途端、サイラスの足が止まり、驚きの表情で天弥を見る。自分を見上げる凄艶な美貌がその視界に入り、サイラスは慌てて視線を逸らす。
「俺に、触れるんか?」
 危うく、その美貌の虜になるところだった。そう思いながら、お気に入りのアニメキャラクターを次々と思い浮かべる。
「もちろん触れますが、それがどうかしましたか?」
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