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第25章 大奮闘
第190話 診療所の現状
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兄ちゃんやジェシーらとの関係を元に戻して数日後。いつものように見回りを終えて団長とマリア様に報告を終えた後、ある事を確かめるために診療所に向かっていた。
が、診療所に着く直前で足を止めた。「······」目の前には診療所の回りを取り囲むぐらいの診療所に訪れた人の行列が出来ていて、その光景を見て言葉が出なかったのだ。
(こ、こんなにも人が訪れているなんて······)と思い、その行列を横目に見ながら診療所に入った。当然外までこんなに行列が出来てるんだから中もと腹をくくっていたが、案の定中の待合スペースには大勢の人でごった返していたのだった。
「······うそぉ」分かっていたはずだが流石に光景を直に見て思わずそう呟いてしまったのだった。
中では看護婦さんや騎士団の恐らく諜報支援部隊の隊員ら(アリスから部隊の一部で診療所に手伝いへ行っていると聞いていたから)がひっきりなしと対応に追われていた。
そんな中目的のお姉ちゃんを見掛けたので、今の対応を一段落させたところで「お姉ちゃん」と声を掛けた。
「あ、レックス君」お姉ちゃんも僕に気付いて近寄ってきてくれ、「凄い状態だね、やっぱり」「うん。本当に日が経つにつれてどんどん患者さんやその付き添いの人でいっぱいいっぱいになっているのよ」「そう、なんだ」
そこでお姉ちゃんは僕の方を見て「レックス君」「ん、何?」「······元に、戻ったみたいね」「あっ······はい」「フフッ。良かったわね」「······うん」やっぱりお姉ちゃんも僕の変貌に気付いてたのね。
と思いつつ「ところでお姉ちゃん。あの時預けたあの男の子はどうなった?」と魔物に襲われた村で唯一発見して保護し、王都に連れ帰ってすぐ診療所のお姉ちゃんに預けた男の子の事を尋ねるのが目的で今日は訪れたのだ。
「実は······まだ意識が戻ってないの」「まだ!?」流石にあれから何日も経っているのにまだ意識が戻ってないと聞いて驚いた。
「それどころかドクトリー先生が仰るには、もうこのまま意識が戻らないかもしれないって······」「そ、そんな······」それを聞いてさらに驚いた。
「多分、意識がなくなる前にとても怖い目に遭ったか、恐ろしい光景を見てしまって心を閉ざした状態となってしまったんじゃないかって言うの」「それで」「でも先生も私達も諦めた訳じゃないし、意識が戻るようにこれからも対応していくつもりよ」「うん。よろしくね」とお姉ちゃんに頼んで診療所を後にした。
帰り際診療所を振り返ってある事を思いつつ騎士団本部に帰った。
その日の夜中、わざと目を覚ましてコッソリ本部を抜け出して診療所に向かった。
診療所に近付いたら一部から明かりが漏れていたので(恐らく······)とそこにいる人物を予想しつつ近付き、中を覗いたらやはりドクトリー先生が何かの調合作業などを行っていた。
その作業を終えたのを見計らってトンッ! トンッ! と窓ガラスを叩き、先生も僕に気付いて近寄って来た。
「レ、レックス!?」「お久しぶりです」「お久しぶりですじゃないだろ、こんな夜中に」「先生にちょっと伺いたい事がありまして」「伺いたい事?」
「はい。······恐らく今後も今と同じくらいか、今の倍近くの人が診療所へ治療を求めて訪れる事になると思われます」
「は、はっきりとんでもない事を言ってくれるな、お前」「実際各地を見回っていますから」「あー、そういやぁそうだったな」
「そう仮定した上で、正直余裕をもって治療に当たるのに······“世界樹の葉”が何枚ぐらい必要となるでしょうか?」「せ、世界樹の葉!?」
「はい。普通に治療していては時間も足りないぐらいではありませんか?」「た、確かに」
「ですので、重傷者や治療に時間のかかりそうな人へは世界樹の葉を使い、多くの人を治療出来るようにするべきだと思いまして」
「そうだな。······そういう事なら正直言うと、ーー枚は欲しいところだな」「やはりそれぐらいは必要ですか」
「あぁ。とは言っても」「分かってます。僕もそんなに分けて貰えるとは思ってませんから。ただ頼む際の参考にしたくて聞いたまでですので。それじゃ」「あぁ」と僕は本部に戻った。
僕の姿が見えなくなったところでドクトリー先生は「そこんところを何とかしそうなのがお前なんだろうが」と呟いたのだった。
翌日僕は団長から事前にどこかへ見回って来てくれと言われていなかったこともあって1日お休みを貰い、まずお城のジェシーの下を訪れた。
「ジェシー、入って良いかい?」「良いわよ、レックス」と部屋に入ったところで「どうしたの? 見回りの方は?」「団長に許可をもらって1日お休みをもらったんだ」
「お休みを?」「うん。それでジェシーに付き合って欲しい所があって」「付き合って欲しい所って?」「世界樹にだよ」「世界樹!?」
「うん。実は昨夜ドクトリー先生の下を訪れて聞いたんだ。今後も今と同じくらいか、今の倍近くの人が診療所へ治療を求めて訪れる事になると仮定した上で、正直余裕をもって治療に当たるのに世界樹の葉が何枚ぐらい必要となるかって」「それで?」僕はジェシーにドクトリー先生から聞いた枚数を伝えた。
「そんなに!?」「流石にそこまでの数は無理だと僕も先生も分かってはいるけど、出来るだけ多く分けて貰えるように頼むのに、人手は多い方が良いと思って」「確かにそうね。それじゃあ行きましょ!」「うん」
僕達は早速外に出てまず白い羽でヨートス様の里に飛び、奥のご神木の空洞からエルフの王国に向かい、そのまま世界樹の下に向かった。
世界樹の下には相変わらず多くのエルフ族の人達がいたが、その人達の合間を縫って世界樹の根元に辿り着き、2人で世界樹に手を当てて頼み込んだ。
(世界樹、今ヒト族の多くの町や村が魔物に襲われて多くの人が王都の診療所を訪れています。そこの主治医のドクトリー先生達も懸命に治療を行っていますが、今のままでは助けられる人も限られてしまうと思います。それで、ドクトリー先生から世界樹の葉が"50枚"あれば余裕で治療を行えると仰っていたんです。流石にそこまで分けて下さいとは言いませんが、どうか出来るだけ多くの世界樹の葉を分けて下さい。お願いします!)と頼んだところでついジェシーの手を握っている方の手に力を込めてしまった。
しかしジェシーは嫌がることもなく逆に同じように僕と握っている手に力を込めた。
すると突然目の前がとても眩しいくらいに輝き出した。ゆっくりと目を開けると世界樹が全体的に光輝いていたのだった。
僕達はもちろん世界樹の下にいた人達が全員驚いていた。暫くして光は世界樹の上空へ飛び去った。
その様子を見ていたら、今度は突然世界樹の葉っぱが揺れ出し、葉っぱがゆっくりと僕達の下に落ちて来たのだ。······たったの2枚だけ。
落ちて来た葉っぱを僕達はそれぞれ両手で受け取った。「た、たったの2枚だけ」とジェシーは溢した。僕もそう思ってしまったが、(······)先ほど世界樹から上空へ飛び去った光の事が気になっていた。
そして、「帰ろっか、ジェシー」と声を掛けた。「で、でもレックス」「さっきの光の事が気になるし、2枚だけでも分けて貰えたんだからきっとこの2枚にも何か意味があるはずなんだよ」「そうね。そうよね!」とジェシーも納得して僕達は世界樹の下を離れた。
この時、世界樹が既にとんでもない奇跡を起こしているとも知らないで······。
が、診療所に着く直前で足を止めた。「······」目の前には診療所の回りを取り囲むぐらいの診療所に訪れた人の行列が出来ていて、その光景を見て言葉が出なかったのだ。
(こ、こんなにも人が訪れているなんて······)と思い、その行列を横目に見ながら診療所に入った。当然外までこんなに行列が出来てるんだから中もと腹をくくっていたが、案の定中の待合スペースには大勢の人でごった返していたのだった。
「······うそぉ」分かっていたはずだが流石に光景を直に見て思わずそう呟いてしまったのだった。
中では看護婦さんや騎士団の恐らく諜報支援部隊の隊員ら(アリスから部隊の一部で診療所に手伝いへ行っていると聞いていたから)がひっきりなしと対応に追われていた。
そんな中目的のお姉ちゃんを見掛けたので、今の対応を一段落させたところで「お姉ちゃん」と声を掛けた。
「あ、レックス君」お姉ちゃんも僕に気付いて近寄ってきてくれ、「凄い状態だね、やっぱり」「うん。本当に日が経つにつれてどんどん患者さんやその付き添いの人でいっぱいいっぱいになっているのよ」「そう、なんだ」
そこでお姉ちゃんは僕の方を見て「レックス君」「ん、何?」「······元に、戻ったみたいね」「あっ······はい」「フフッ。良かったわね」「······うん」やっぱりお姉ちゃんも僕の変貌に気付いてたのね。
と思いつつ「ところでお姉ちゃん。あの時預けたあの男の子はどうなった?」と魔物に襲われた村で唯一発見して保護し、王都に連れ帰ってすぐ診療所のお姉ちゃんに預けた男の子の事を尋ねるのが目的で今日は訪れたのだ。
「実は······まだ意識が戻ってないの」「まだ!?」流石にあれから何日も経っているのにまだ意識が戻ってないと聞いて驚いた。
「それどころかドクトリー先生が仰るには、もうこのまま意識が戻らないかもしれないって······」「そ、そんな······」それを聞いてさらに驚いた。
「多分、意識がなくなる前にとても怖い目に遭ったか、恐ろしい光景を見てしまって心を閉ざした状態となってしまったんじゃないかって言うの」「それで」「でも先生も私達も諦めた訳じゃないし、意識が戻るようにこれからも対応していくつもりよ」「うん。よろしくね」とお姉ちゃんに頼んで診療所を後にした。
帰り際診療所を振り返ってある事を思いつつ騎士団本部に帰った。
その日の夜中、わざと目を覚ましてコッソリ本部を抜け出して診療所に向かった。
診療所に近付いたら一部から明かりが漏れていたので(恐らく······)とそこにいる人物を予想しつつ近付き、中を覗いたらやはりドクトリー先生が何かの調合作業などを行っていた。
その作業を終えたのを見計らってトンッ! トンッ! と窓ガラスを叩き、先生も僕に気付いて近寄って来た。
「レ、レックス!?」「お久しぶりです」「お久しぶりですじゃないだろ、こんな夜中に」「先生にちょっと伺いたい事がありまして」「伺いたい事?」
「はい。······恐らく今後も今と同じくらいか、今の倍近くの人が診療所へ治療を求めて訪れる事になると思われます」
「は、はっきりとんでもない事を言ってくれるな、お前」「実際各地を見回っていますから」「あー、そういやぁそうだったな」
「そう仮定した上で、正直余裕をもって治療に当たるのに······“世界樹の葉”が何枚ぐらい必要となるでしょうか?」「せ、世界樹の葉!?」
「はい。普通に治療していては時間も足りないぐらいではありませんか?」「た、確かに」
「ですので、重傷者や治療に時間のかかりそうな人へは世界樹の葉を使い、多くの人を治療出来るようにするべきだと思いまして」
「そうだな。······そういう事なら正直言うと、ーー枚は欲しいところだな」「やはりそれぐらいは必要ですか」
「あぁ。とは言っても」「分かってます。僕もそんなに分けて貰えるとは思ってませんから。ただ頼む際の参考にしたくて聞いたまでですので。それじゃ」「あぁ」と僕は本部に戻った。
僕の姿が見えなくなったところでドクトリー先生は「そこんところを何とかしそうなのがお前なんだろうが」と呟いたのだった。
翌日僕は団長から事前にどこかへ見回って来てくれと言われていなかったこともあって1日お休みを貰い、まずお城のジェシーの下を訪れた。
「ジェシー、入って良いかい?」「良いわよ、レックス」と部屋に入ったところで「どうしたの? 見回りの方は?」「団長に許可をもらって1日お休みをもらったんだ」
「お休みを?」「うん。それでジェシーに付き合って欲しい所があって」「付き合って欲しい所って?」「世界樹にだよ」「世界樹!?」
「うん。実は昨夜ドクトリー先生の下を訪れて聞いたんだ。今後も今と同じくらいか、今の倍近くの人が診療所へ治療を求めて訪れる事になると仮定した上で、正直余裕をもって治療に当たるのに世界樹の葉が何枚ぐらい必要となるかって」「それで?」僕はジェシーにドクトリー先生から聞いた枚数を伝えた。
「そんなに!?」「流石にそこまでの数は無理だと僕も先生も分かってはいるけど、出来るだけ多く分けて貰えるように頼むのに、人手は多い方が良いと思って」「確かにそうね。それじゃあ行きましょ!」「うん」
僕達は早速外に出てまず白い羽でヨートス様の里に飛び、奥のご神木の空洞からエルフの王国に向かい、そのまま世界樹の下に向かった。
世界樹の下には相変わらず多くのエルフ族の人達がいたが、その人達の合間を縫って世界樹の根元に辿り着き、2人で世界樹に手を当てて頼み込んだ。
(世界樹、今ヒト族の多くの町や村が魔物に襲われて多くの人が王都の診療所を訪れています。そこの主治医のドクトリー先生達も懸命に治療を行っていますが、今のままでは助けられる人も限られてしまうと思います。それで、ドクトリー先生から世界樹の葉が"50枚"あれば余裕で治療を行えると仰っていたんです。流石にそこまで分けて下さいとは言いませんが、どうか出来るだけ多くの世界樹の葉を分けて下さい。お願いします!)と頼んだところでついジェシーの手を握っている方の手に力を込めてしまった。
しかしジェシーは嫌がることもなく逆に同じように僕と握っている手に力を込めた。
すると突然目の前がとても眩しいくらいに輝き出した。ゆっくりと目を開けると世界樹が全体的に光輝いていたのだった。
僕達はもちろん世界樹の下にいた人達が全員驚いていた。暫くして光は世界樹の上空へ飛び去った。
その様子を見ていたら、今度は突然世界樹の葉っぱが揺れ出し、葉っぱがゆっくりと僕達の下に落ちて来たのだ。······たったの2枚だけ。
落ちて来た葉っぱを僕達はそれぞれ両手で受け取った。「た、たったの2枚だけ」とジェシーは溢した。僕もそう思ってしまったが、(······)先ほど世界樹から上空へ飛び去った光の事が気になっていた。
そして、「帰ろっか、ジェシー」と声を掛けた。「で、でもレックス」「さっきの光の事が気になるし、2枚だけでも分けて貰えたんだからきっとこの2枚にも何か意味があるはずなんだよ」「そうね。そうよね!」とジェシーも納得して僕達は世界樹の下を離れた。
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