上 下
162 / 224
第24章 王国騎士団

第162話 訓練2~武器選び2~

しおりを挟む
 今日も昨日の疲れが多少残っているが早く起きれた。少しして兄ちゃんも起きたので身支度と朝ご飯を共にして集合場所に向かった。

 全員が集まり時間となってブライ教官が「では準備運動の後は昨日選ばなかった武器を選んで続きを行う」と言ったのを合図に準備運動と武器選びを行って解散した。

 僕は残りのうち大剣を選んで外に出た。流石にこれは重たく向いていないだろうと思ったが······最初の対決でなんと勝ってしまったのだ。しかし次の対決ではやはり? 負けてしまった。

 その回の全員分が終わったところで最後の武器選びとなり、僕は鎌の中でそれほど大きくない種類を選んだ。結果は······やっぱり途中で負けてしまった。

 こうして昨日から続いた剣系の武器選び訓練は一段落となった。

 
 そこでブライ教官が「皆の者、昨日からの訓練取り敢えずご苦労だった。午後からは次の武器種である細剣ならびに槍の訓練に移る」と説明があった。

 その後昼休憩を挟んで細剣と槍が保管されている倉庫前に集まり中に入った。そして「ではまず全員細剣を持って外に出るように」とブライ教官から言われたので細剣を取って平原部に移動し、2グループに分けられた後また今までと同じ組手対決を実施した。

 今回もそれほどしっくりこなかったので数回戦った後わざと負けた。そして両グループで勝ち残りと負け残りの対決が全て終わったところで「では細剣を返したところで槍の種類から1つ選んで戻って来るように」と言われたので倉庫に移動して細剣を返して槍を選びだした。

 いくつかある中でシンプルな両刃タイプの槍を選んだ。そして組手対決を実施した結果······やっぱり途中でわざと負けた。どうもこれもしっくりこなかったからだ。

 これで剣や槍系は全て終わったところで(やっぱり唯一短剣がしっくりきたなぁ)と考えていると、「これで剣系の訓練は一旦終了とする。明日は斧やハンマーなどの打撃用と弓などの射撃用の訓練を実施する」と説明をして解散となった。

 そのまま部屋に戻り兄ちゃんがいたので今日の感想などを話したりしていつも通り過ごしその日は過ぎた。


 翌日もいつも通り準備して集合場所に向かい準備運動をして訓練場所に移動したら僕達は驚いた。目の前には多くの大きな鉄状の塊が存在していたからだ。

 そんな僕達の事はお構いなしにブライ教官は「それでは本日はまずここで打撃系武器の訓練を行う。見ての通り今回はあの鉄の塊を用いる。あれは鉄や鉄鉱石を用いて作られ、ちょっとやそっとでは壊れない。あの塊にあちらの倉庫に保管している打撃系武器を選んで打ち込み、その武器が自分に向いているのかを確認してもらう。そのため、時間までに全ての種類の武器を最低1回は選ぶように。それだけ守れば後は各自自由に時間を使うが良い。では解散!」と言った。

 早速倉庫に訪れると、中には打撃系武器である各種の斧にハンマーに棍棒に鞭に手甲や爪が置かれていた。その中で僕はまず斧を選んで先ほどの塊の所へ戻った。

 塊には既に無数の傷が付いていた。僕も早速持ってきた斧を塊に打ち込んでみた。すると偶然にもその塊に刺さったのだった。(うそぉ!)と思いつつ抜こうとしたが(ぬ、抜けない!)なかなか抜く事が出来なかった。

 ようやく抜けたところで······(よし)倉庫に向かった。これ(斧)は向いてないなと確信したからだ。

 倉庫に着いて斧を戻し、次にハンマーを選んで塊に戻った。斧よりもやや重く感じてこちらも上から、そして左右からそれぞれ塊に打ち込み(これも違うなぁ)と感じて倉庫に向かった。

 次は入団試験後の組手大会でデビットが使った時に初めて見た鞭を選んだ。早速塊に打ち込んでみたが、リーチが長く思った所へなかなか打ち込めないでいた。

 別の武器へ交換しに倉庫へ移動中今までの事を振り返りながら(やっぱりリーチの長い物や重い物は向いてないのかなぁ······)と考えながら向かっていた。

 鞭を戻して残っているのが棍棒と手甲や爪で、そのうち棍棒を選んで戻った。これは斧やハンマーよりは軽く感じ、塊へ打ち込むのも2つより打ち込みやすかった。

(これも有りかなぁ)と感じつつ倉庫に戻って最後に残った手甲や爪を見た。手に直接装着するのは同じだが、違いは攻撃する時に拳で行うか武器に付いている爪で攻撃するかのようだ。これまでの経験を振り返り僕は、爪の方を選んで装着して塊へ向かった。

 塊に戻って打ち込んでみたところ、(おぉ!)今日一番の手応えを感じた。そして今日最も長く時間を使い打ち込んだ。

(これが一番合っているかも)と感じつつも、まだ大丈夫かなぁと思いながら急いで倉庫に向かって手甲に交換し、再び塊に打ち込んでみたが先ほどよりは手応えは感じられなかった。

(よし!)そうしてある決意が出来たところで「よーし、そこまで!」ブライ教官が声を掛けた。

「打撃系武器の訓練は終了とする。午後からは最後の射撃用訓練を行う」と集合場所を伝えて一旦解散となった。

 
 お昼の休憩後、伝えられた集合場所に着いたら先の方にいくつかの的が設置されている所であった。

「では最後の射撃訓練を行う。見ての通り前方に的が用意されているため、あの倉庫に置いてある弓矢にクロスボウ、そしてブーメランの各武器を放って自分に向いているのかを確認すること。なお、弓矢やクロスボウは5本、ブーメランは2回投げたら次の者に交代するように。では解散!」とブライ教官が言って全員倉庫に向かった。

 倉庫に着いて早速僕はブーメランを取ってから的に向かって投げてみた。やはり養成学校1年生の時に練習していたし、長いこと使用していたので上手く投げれて的に2回とも当てられた。

 だけど投げ終えた後2回とも(······)何となくモヤモヤとした気分となった。

 一応ブーメランを戻して弓矢を取って列に並び、順番が来たので弓を射てみたが······1本も的に当たらなかった。当然か。今まで一度も使った事が無いんだから······。

 
 その時、近くからどよめきが起こった。

「すげぇ!」「上手かったよなぁ!」など誰かを称賛する声が続いていた。僕もその輪を見てみたら、中心にジャックがいることが分かった。

(あいつ何かやったのか?)と思い後で聞いてやろうと思いながら倉庫に行ってクロスボウと交換した。 

 また列に並んで自分の番になって的に向かって矢を放ってみたら、何とか数本は的に当たった。念のためにと再び列の最後尾に並んでもう一度だけ放ってみた。

 取り敢えず弓矢とクロスボウはもう良かったので、後の時間はブーメランの練習に使った。

 そして、「そこまで!」ブライ教官から終了の合図があった。

 
 全員が倉庫に武器を返して集まったところで「2日間ご苦労だった。これで騎士団に保管してある武器を各自一通りは手にしてみたことになる。そこで明日から2日間はあの塊を用いて今までの武器の中から選んで打ち込みをしてもらい、各自の最も得意とする武器とその次に得意とする武器を決めてもらう」

 ブライ教官に言われこれまでの訓練の事をぼんやり振り返り、その中でやっぱりがしっくりきたなぁと考えていると、「なおその際だが、絶対にそうするようにと言うことはないが、極力2種類は全く違う種類のを選ぶように考えること。例えば、何らかの接近型の剣系武器を選んだ場合、残りは遠距離型の射撃用もしくは打撃用の武器を選ぶという感じでな。とにかく、戦う相手がどんなモノになっても対処出来るような組み合わせになるよう考えるように。では本日は解散!」と言われ解散した。

 その後ジャックを探して先ほどの騒ぎの理由を聞いたら、何とクロスボウで10本連続矢をほぼ中央に当てられたので、その光景を見ていた人達によって称賛されたとの事だ。

「10本連続は凄いじゃない!」「まぁな。今までの訓練を振り返ってもクロスボウが一番しっくりきたからなぁ」「そうなんだ」などと話しながら宿舎に帰った。

 
 部屋に戻って兄ちゃんがいたので今日までの訓練の事を話したところで、「それで、お前は何を選んだんだ?」と聞いてきた。

 それに「うん。一番しっくりきたと感じたのが"爪"何だ」と答えた。

「爪かぁ」「今までずっと短剣を使い続けてたから相手に近付いて戦う事になるのは同じだろうから」「確かにそうだな。で、もう1つは?」「それ何だよね。本来なら遠距離用のブーメランをと言いたいところだけど、今日訓練してみて正直これだとは感じられなかったんだよね」「そうなのか? あんなにも使ってたのに」

「うん。だから何にしようかなぁと考えてて、やっぱり短剣にしようかなぁって思ってるんだ」

「短剣なぁ」「一応爪は打撃用で短剣は斬撃用だし、短剣なら遠方から相手に投げて怯んだところで爪を打ち込み、その隙に短剣を回収って流れも出来そうだしね」

「確かに······それで良いんじゃねぇか?」「ねっ。そうすればもしあの"黒い短剣"を実戦で使う事になった場合の訓練も日頃から出来る事になるし」「あぁ、確かにそうだな」

 兄ちゃんにも理解してもらった事もあり、取り敢えず明日からは爪と短剣を中心に訓練してみようと決意したのだった······。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたしを捨てた騎士様の末路

夜桜
恋愛
 令嬢エレナは、騎士フレンと婚約を交わしていた。  ある日、フレンはエレナに婚約破棄を言い渡す。その意外な理由にエレナは冷静に対処した。フレンの行動は全て筒抜けだったのだ。 ※連載

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈 
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

異世界TS転生で新たな人生「俺が聖女になるなんて聞いてないよ!」

マロエ
ファンタジー
普通のサラリーマンだった三十歳の男性が、いつも通り残業をこなし帰宅途中に、異世界に転生してしまう。 目を覚ますと、何故か森の中に立っていて、身体も何か違うことに気づく。 近くの水面で姿を確認すると、男性の姿が20代前半~10代後半の美しい女性へと変わっていた。 さらに、異世界の住人たちから「聖女」と呼ばれる存在になってしまい、大混乱。 新たな人生に期待と不安が入り混じりながら、男性は女性として、しかも聖女として異世界を歩み始める。 ※表紙、挿絵はAIで作成したイラストを使用しています。 ※R15の章には☆マークを入れてます。

【完結】「王太子だった俺がドキドキする理由」

まほりろ
恋愛
眉目秀麗で文武両道の王太子は美しい平民の少女と恋に落ち、身分の差を乗り越えて結婚し幸せに暮らしました…………では終わらない物語。 ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿してます。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! ★恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 連載希望のコメントをいただきましたので、 連載に向け準備中です。 *他サイトでも公開中 日間総合ランキング2位に入りました!

処理中です...