上 下
127 / 224
第20章 将来

第127話 夏季休暇

しおりを挟む
 というわけで僕達は突然夏季休暇となったんだけど、何をしよう。

 まぁ取り敢えず今やらなければならないのは、やはり先ほどの試験の1問目を答えられるようにする事だな。

 そう、"卒業後、どんな組織に所属し、どんな仕事を行いたいのか"を。

 どんな組織にはもう騎士団にと決めているから良いとして、後はどんな仕事をしたいのか、だな。

(やっぱりそのためには色々経験した方が良いだろうから、暫くは寄付金稼ぎも兼ねて頼み事を引き受けるか、ギルドのクエストを、ん?)そこまで考えてある疑問が湧いた。

(そういえば、休暇中はギルドのクエストを受けられないのかなぁ?)と。

 もし受けられるのなら経験積みも兼ねて受けたいところだし、(······取り敢えず、先生に聞いてきてみるか)と思い立ってハインリヒ先生の下に向かった。

 ハインリヒ先生の下を訪れ、「ハインリヒ先生」「ん、何だい? レックス君」「夏季休暇中はギルドのクエストは受けられないのでしょうか?」と尋ねた。

「ギルドのクエストか。何故だい?」「もし受けられるのであれば、将来の事を考えるために経験積みも兼ねて受けたいと思いまして」

「そういう理由なら今まで通り受付時に学校IDを提出すれば問題ないし、受付時にそう説明すれば納得してもらえるだろう」「分かりました。ありがとうございます」

「まぁ向こうもクエストを完了してもらえると助かるだろうから、頑張るんだね」「はい!」と言ってハインリヒ先生の下を離れた。

 そしてそれから再びギルドのクエストを受けるようにした。

 ただし今回からは今まで受けた事の無いようなクエストを選ぶ事にしたので、流石に最初はレナさんも不思議に思ったが、事情を説明したら納得して受理してもらえた。

 そうして数日色々なクエストを行ってきたが、どれも心の底から行いたかったと思えるものはなかった。

 そして他のクラスも今期の課程が終了した日、アリスと夕ご飯を食べながら夏季休暇中の事、とりわけ村へ帰省するのかどうかについて話し合った。


「それで、今年は村への帰省はどうするの?」「そうだなぁ。取り敢えず明後日から数日は帰省しようとは考えてるよ。僕も今度はいつ帰れるようになるか分からないだろうから」「確かにそうね」

「んで、数日したら王都に帰ってギルドのクエストを受け続けるつもりだよ」「ギルドのクエストを? どうして?」と聞かれたので、将来やりたい事を探すためや夏季休暇中も受けられると先生から聞いた事などを説明した。

「確かに、それならクエストを受けた方が良いかもしれないわね」「だろ?」

 その時、「レックス!」と聞き慣れた声で名前を呼ばれたので、その方向を見たら「やぁジェシー」ジェシーがすぐ近くに立っていた。

「こんばんは、ジェシー」「こんばんは、アリス」僕を介して2人とも顔見知りとなったので、普通に挨拶を交わした。

「2人で何の話をしてたの?」「夏季休暇をどう過ごすのかって話さ」「そっか。······レックスはどうするの?」

「うん。取り敢えず明後日から数日は村に帰省して、数日したら王都に帰ってギルドのクエストを受けようと考えてるんだ」「ギルドのクエストを?」

「うん。将来やりたい事を見つけるためにね」「そうなんだ。ねぇ、レックス達の村ってどこなの?」「王都から西へ1日半くらいの所にある周りが森で囲まれたウッド村って所さ」「そうなんだ」

 そこまで聞いたところでジェシーは黙りこみ、その後突然「ねぇ、私も行っても良いかしら?」

「「えっ?」」「行ってもって、ウッド村に?」「うん」とジェシーは答えたが、「僕達は問題ないし、村の方も問題無いと思うけど、ジェシーこそ大丈夫なの? 家の人との事とか」と尋ねた。

 すると「家の方は問題無いわ。これまでも休暇の時には何度か外泊した事があるから」「なら、大丈夫か」「そうね」「やった!」とジェシーは喜んだ。

 ということで、今年は僕とアリス、そしてジェシーの3人で村に帰省する事となった······。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたしを捨てた騎士様の末路

夜桜
恋愛
 令嬢エレナは、騎士フレンと婚約を交わしていた。  ある日、フレンはエレナに婚約破棄を言い渡す。その意外な理由にエレナは冷静に対処した。フレンの行動は全て筒抜けだったのだ。 ※連載

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈 
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

冷宮の人形姫

りーさん
ファンタジー
冷宮に閉じ込められて育てられた姫がいた。父親である皇帝には関心を持たれず、少しの使用人と母親と共に育ってきた。 幼少の頃からの虐待により、感情を表に出せなくなった姫は、5歳になった時に母親が亡くなった。そんな時、皇帝が姫を迎えに来た。 ※すみません、完全にファンタジーになりそうなので、ファンタジーにしますね。 ※皇帝のミドルネームを、イント→レントに変えます。(第一皇妃のミドルネームと被りそうなので) そして、レンド→レクトに変えます。(皇帝のミドルネームと似てしまうため)変わってないよというところがあれば教えてください。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

異世界TS転生で新たな人生「俺が聖女になるなんて聞いてないよ!」

マロエ
ファンタジー
普通のサラリーマンだった三十歳の男性が、いつも通り残業をこなし帰宅途中に、異世界に転生してしまう。 目を覚ますと、何故か森の中に立っていて、身体も何か違うことに気づく。 近くの水面で姿を確認すると、男性の姿が20代前半~10代後半の美しい女性へと変わっていた。 さらに、異世界の住人たちから「聖女」と呼ばれる存在になってしまい、大混乱。 新たな人生に期待と不安が入り混じりながら、男性は女性として、しかも聖女として異世界を歩み始める。 ※表紙、挿絵はAIで作成したイラストを使用しています。 ※R15の章には☆マークを入れてます。

【完結】「王太子だった俺がドキドキする理由」

まほりろ
恋愛
眉目秀麗で文武両道の王太子は美しい平民の少女と恋に落ち、身分の差を乗り越えて結婚し幸せに暮らしました…………では終わらない物語。 ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿してます。 「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」 ※無断転載を禁止します。 ※朗読動画の無断配信も禁止します。 ※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。

【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜

himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。 えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。 ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ! ★恋愛ランキング入りしました! 読んでくれた皆様ありがとうございます。 連載希望のコメントをいただきましたので、 連載に向け準備中です。 *他サイトでも公開中 日間総合ランキング2位に入りました!

処理中です...