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第1章 転生
第12話 魔物との遭遇3
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突然近くの茂みからベアーが現れた事に僕も驚き、(な、何でベアーがここに?)と思ったが、心当たりがあった。
先程僕が茂みから出てオークを引き付け、少ししてアッシュ兄ちゃんとアリスが村の方に駆けて行ったのを確認するために振り返った時に近くで黒い小さな物体が動いたのに気付き、何だろう? と思っていたが多分あれはベアーズが僕達の近くにいて、あの後ベアーに知らせてくれてベアーが僕かオークの匂いを辿って来てくれたんだろうと納得した。
オークも目の前に現れた生き物に一瞬驚いたがすぐにベアーの方に向き直し、そのまま両者にらみ合いを続けた。
僕もその光景を木の上から見続け、(これは、最初の一瞬で勝負が決まる!)と思っていた直後オークが片足を、ベアーが後ろ足の片方を後ろに引き、そして両者大きな叫び声をあげながら同時に相手に向かって飛び込んだ。
オークは斧を持っていた手を振り上げベアーは立ち上がって片手を振り上げた。スピードはほぼ同時であったが斧のリーチ分オークの斧が先にベアーに届くと思い、(このままじゃあベアーが危ない!)と感じてとっさに鞘に収めていた短剣を取り出してオークの"背中"に狙いを定め······投げつけた。
そしてオークが手を振り下ろした直後に短剣がオークの背中に命中してオークの動きが一瞬止まった。それをベアーは見逃さず爪でオークの胸を思い切り引っ掻いた。
その攻撃を受けてオークは雄叫びをあげながらよろけて後ろに倒れ、その際僕が投げた短剣が体に食い込んでそのまま死んだか意識を失ったのか全く動かなくなった。
(や、やったのか?)僕がそう思っていたらべアーがオークに近付いて爪を立ててオークの腹に突き刺した。それによってオークは完全に息の根が止まった。
(や、やった! オ、オークを倒した!!)といっても実際倒したのはベアーなんだけど。そのベアーは死んだオークの体をうつ伏せにして背中に刺さった短剣を見た後それが飛んで来た方向ーーつまり僕がいる木の上方ーーを見上げた。
僕達は目が合い、(ありがとう、ベアー)と言いたげに笑った後ベアーは四つん這いになって出てきた辺りの茂みにまた消えた。
その直後少し遠くから大勢の人の声が聞こえてきた。きっと兄ちゃん達が村の人に声を掛け、さっきの叫び声とかでこっちにいると分かったんだ。
そう思って僕もここにいることを伝えるために叫び、誰かが「あそこだ!」僕に気付いて大勢の人が近付いてきた。
そして父さんを先頭にレオおじさんやアッシュ兄ちゃん、他の村人達が森の中から現れて目の前の広場でオークが死んでいるのを見つけとても驚いていた。
オークの背中に刺さっていた短剣を見て父さんが「レックス、お前が倒したのか?」と聞いてきたので「違うよ、ベアーが倒したんだよ。胸や腹を攻撃して」と答えたので父さんは村の人と一緒にオークを仰向けにした。
そして胸に引っかかれた跡と腹に大きな穴を開けられた跡を見つけた。その間に僕は木から降りてきて父さん達の近くにやってきた。
そして「ベアーが攻撃しようとしていて、コイツも斧を振るおうとしてたから木の上から短剣を投げてベアーを手助けしただけなんだよ」と答えた。
それを聞いて全員がこちらを見て父さんが「だからと言って、1人でオークを相手にしようなんて何考えてるんだ!!」と怒鳴ってきたので、「アッシュ兄ちゃん達が父さん達を呼んでくるまでの時間を稼ごうとしただけだったんだよ!」と返した。
「それでも、もしオークにやられてたらどうするつもりだったんだ!」と言ってきたので、「絶対に追いつかれない自信があったし、こうでもしないと多くの犠牲者が出てたかもしれないんだ!」と答えた。
その返答に全員が驚いた顔をし、そして父さんは僕の顔をじっと見つめていた。ゴーシュはこの時これまでのレックスの行動を振り返っていた。
確かに初めて狩りに連れて行った時に熊と遭遇した時も物怖じしなかったし、その後の狩りの時も確実に獲物を仕留めるだけの動きをしていた。他にも今の言葉を裏付けれるだけの行動をしていた事を陰ながら見てきたはずだ。
その事を思い出したのでゴーシュはそれ以上何も言わずレックスの頭に手をやって「まぁ、とにもかくにも今回はよくやったな、レックス」と言葉をかけてやり、レックスもそれを聞いて満面の笑みを浮かべて「うん!!」と答えた。その後村人達でオークを村まで運ぶことにした。
その頃村ではアッシュ兄ちゃんとアリスから森でオークを見掛けてレックスが囮になっていると聞き、ゴーシュらが捜索と討伐に向かって残った村人全員が森の入り口近くに集まっていた。
少しして大きな声が何度か聞こえたことで心配や不安感を抱いた者もいた。それから少しした後、奥の方から人影が見えてきて全員が安堵した。
その先頭に僕がいた事を確認して真っ先にアリスが「レックスーーーッ‼」と叫びながら僕のところに駆け寄ってきた。
そして僕にしがみ付いてきて「良かった。本当に良かった」と泣きついた。僕はアリスの頭に軽く手を当ててやり「なっ、また会えただろ?」と言ってアリスも「ウン!!」と答えた。
その後村人が運んできたオークの死体を見て全員が驚き、さらにそのオークをレックスとベアーとで倒したと聞いてさらに驚いたのであった······。
先程僕が茂みから出てオークを引き付け、少ししてアッシュ兄ちゃんとアリスが村の方に駆けて行ったのを確認するために振り返った時に近くで黒い小さな物体が動いたのに気付き、何だろう? と思っていたが多分あれはベアーズが僕達の近くにいて、あの後ベアーに知らせてくれてベアーが僕かオークの匂いを辿って来てくれたんだろうと納得した。
オークも目の前に現れた生き物に一瞬驚いたがすぐにベアーの方に向き直し、そのまま両者にらみ合いを続けた。
僕もその光景を木の上から見続け、(これは、最初の一瞬で勝負が決まる!)と思っていた直後オークが片足を、ベアーが後ろ足の片方を後ろに引き、そして両者大きな叫び声をあげながら同時に相手に向かって飛び込んだ。
オークは斧を持っていた手を振り上げベアーは立ち上がって片手を振り上げた。スピードはほぼ同時であったが斧のリーチ分オークの斧が先にベアーに届くと思い、(このままじゃあベアーが危ない!)と感じてとっさに鞘に収めていた短剣を取り出してオークの"背中"に狙いを定め······投げつけた。
そしてオークが手を振り下ろした直後に短剣がオークの背中に命中してオークの動きが一瞬止まった。それをベアーは見逃さず爪でオークの胸を思い切り引っ掻いた。
その攻撃を受けてオークは雄叫びをあげながらよろけて後ろに倒れ、その際僕が投げた短剣が体に食い込んでそのまま死んだか意識を失ったのか全く動かなくなった。
(や、やったのか?)僕がそう思っていたらべアーがオークに近付いて爪を立ててオークの腹に突き刺した。それによってオークは完全に息の根が止まった。
(や、やった! オ、オークを倒した!!)といっても実際倒したのはベアーなんだけど。そのベアーは死んだオークの体をうつ伏せにして背中に刺さった短剣を見た後それが飛んで来た方向ーーつまり僕がいる木の上方ーーを見上げた。
僕達は目が合い、(ありがとう、ベアー)と言いたげに笑った後ベアーは四つん這いになって出てきた辺りの茂みにまた消えた。
その直後少し遠くから大勢の人の声が聞こえてきた。きっと兄ちゃん達が村の人に声を掛け、さっきの叫び声とかでこっちにいると分かったんだ。
そう思って僕もここにいることを伝えるために叫び、誰かが「あそこだ!」僕に気付いて大勢の人が近付いてきた。
そして父さんを先頭にレオおじさんやアッシュ兄ちゃん、他の村人達が森の中から現れて目の前の広場でオークが死んでいるのを見つけとても驚いていた。
オークの背中に刺さっていた短剣を見て父さんが「レックス、お前が倒したのか?」と聞いてきたので「違うよ、ベアーが倒したんだよ。胸や腹を攻撃して」と答えたので父さんは村の人と一緒にオークを仰向けにした。
そして胸に引っかかれた跡と腹に大きな穴を開けられた跡を見つけた。その間に僕は木から降りてきて父さん達の近くにやってきた。
そして「ベアーが攻撃しようとしていて、コイツも斧を振るおうとしてたから木の上から短剣を投げてベアーを手助けしただけなんだよ」と答えた。
それを聞いて全員がこちらを見て父さんが「だからと言って、1人でオークを相手にしようなんて何考えてるんだ!!」と怒鳴ってきたので、「アッシュ兄ちゃん達が父さん達を呼んでくるまでの時間を稼ごうとしただけだったんだよ!」と返した。
「それでも、もしオークにやられてたらどうするつもりだったんだ!」と言ってきたので、「絶対に追いつかれない自信があったし、こうでもしないと多くの犠牲者が出てたかもしれないんだ!」と答えた。
その返答に全員が驚いた顔をし、そして父さんは僕の顔をじっと見つめていた。ゴーシュはこの時これまでのレックスの行動を振り返っていた。
確かに初めて狩りに連れて行った時に熊と遭遇した時も物怖じしなかったし、その後の狩りの時も確実に獲物を仕留めるだけの動きをしていた。他にも今の言葉を裏付けれるだけの行動をしていた事を陰ながら見てきたはずだ。
その事を思い出したのでゴーシュはそれ以上何も言わずレックスの頭に手をやって「まぁ、とにもかくにも今回はよくやったな、レックス」と言葉をかけてやり、レックスもそれを聞いて満面の笑みを浮かべて「うん!!」と答えた。その後村人達でオークを村まで運ぶことにした。
その頃村ではアッシュ兄ちゃんとアリスから森でオークを見掛けてレックスが囮になっていると聞き、ゴーシュらが捜索と討伐に向かって残った村人全員が森の入り口近くに集まっていた。
少しして大きな声が何度か聞こえたことで心配や不安感を抱いた者もいた。それから少しした後、奥の方から人影が見えてきて全員が安堵した。
その先頭に僕がいた事を確認して真っ先にアリスが「レックスーーーッ‼」と叫びながら僕のところに駆け寄ってきた。
そして僕にしがみ付いてきて「良かった。本当に良かった」と泣きついた。僕はアリスの頭に軽く手を当ててやり「なっ、また会えただろ?」と言ってアリスも「ウン!!」と答えた。
その後村人が運んできたオークの死体を見て全員が驚き、さらにそのオークをレックスとベアーとで倒したと聞いてさらに驚いたのであった······。
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