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2年生での出来事

第54話 きふ······?

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 レックスから数日したら森に帰ると聞いた次の日。

「ウーーーーーン」(······?)レックスは起きてからずっと以前から部屋に置かれていた大きな袋を見つめて唸っていた。

(さっきから何を唸ってるんだろう?)そう思って見ていると、「レックス。久しぶりに一緒に朝ご飯食べに行きましょう」アリスがレックスを朝ご飯を食べに誘いに来た。

 だけどレックスは答えなかったので「レックス、入るわよ」アリスが勝手に部屋に入ってきた。

 そしてレックスの姿を見て「何してるの?」と聞いてきたのでレックスが、「もうすぐ夏季休暇になるんだけど、どうしようかと思って」とその袋を指した。

「これって?」「頼み事のアルバイトで貯めた”例の計画”の軍資金だよ」(けいかく? ぐんしきん?)何の事だろう?

「例の計画?······あっ! あれね」(あれ?)どうやらアリスも知ってたみたい。

「大分貯まったのね。いくらぐらい貯まったの?」「多分5万Gギニーぐらい」「5万! 凄い!!」とアリスはビックリしていた(そんなに凄い事なんだ)。

「ほとんど兄ちゃんの報酬分なんだけどね」「あっ。そうなんだ」「うん」「取り敢えず、お兄ちゃんとも相談してみたら?」「そうだね」「それじゃあ改めて朝ご飯食べに行きましょ」「うん。じゃあ行ってくるね、ベアーズ」そう言ってレックス達は食堂に向かった。

 残ったボクは、(結局、何の事だったんだろう?)さっきレックスとアリスが何を話していたのか袋を見つめて考えたのだった······。

 暫くしてレックスが帰ってきてボクが朝ご飯を食べた後に学校へ向かい、いつものように(今日はずっとスペースの中で)過ごし、いつもよりやや早い時間にレックスが迎えに来たのでそのまま寄宿舎に帰った。


 その寄宿舎に帰ってきたところでレックスから、「ベアーズ。今からちょっとお姉ちゃんとお出かけすることになってるから、お留守番しててね」と言いつつ、あの大きな袋を持って出て行った。

(メリッサとお出かけするのに、何であの袋が必要なんだろう?)などと思いながら暫くレックスの出て行った扉を見つめ続けた。

 少ししたらレックスが帰ってきて、その様子が何だか少し嬉しそうに見えた。

 そのため、(レックス、どうしたの?)と尋ねるようにレックスに近付いて首を傾げた。

 するとレックスは、「あぁベアーズ。実はこのお金を何とかする手段が見つかったんだよ」と教えてくれた。

(何とかする、しゅだん?)また首を傾げたら、レックスがそのお金の事について詳しく話してくれた。


「実はこのお金は、王都を散策した時にお前も連れて行った孤児院の子供達のために何かしてやりたいと前から思ってて、そのために使おうと貯めていたお金だったんだよ」(そうだったんだ)

「後から兄ちゃんやアリスにバレて2人にも話したら、『それなら俺も私も協力する』って言ってくれて、それからますます貯まっていったんだ」

(そっかぁ!)だからアッシュが前に頼み事を終えてもらったお礼をボクにレックスへ届けてくれって頼んでたんだ。

「それで、今日お姉ちゃんからお城の中には生活に困っている人達を何とかしようとしている部署があって、そこに持ってって孤児院のために使って下さいと頼めば確実に孤児院のために使われるって教えてもらったんだ」(へぇー)

「ただ直接行っても会わせてもらえないだろうから、お姉ちゃんのお父さんに紹介状を書いてもらってから行こうって話になったんだ」(メリッサの父ちゃんに?)

「それで今お姉ちゃんの実家に行ってきておじさんに説明したら、すぐに紹介状を書いてもらえたんだよ」(そうなんだ!)

「後はこれを持ってお城に行き、孤児院のために使って下さいとお金を渡すだけなんだ」(良かったね、レックス)

 レックスからお金を貯めていた目的と、それをどうにかする方法を聞き、またレックスが嬉しそうにしているのを見てボクも嬉しい気分になった。

 
 後日お城へ行くためにレックスが部屋を出て行った······と思ったら結構早く戻ってきて、すぐに袋を持ってまた出て行った。

 それから部屋に帰ってきて、「ベアーズ。無事にお城の担当の部署の人に渡すことが出来たよ」と伝えてくれたので、(良かったね、レックス)と言わんばかりにボクも笑顔になった。


 その日の夜。レックスがいつも寝ているベッドってのに寝ながら何かを考えてる様だったので、ボクは近くに寄ってレックスをまじまじと見た。

 するとレックスは、「あぁ、ベアーズ。いやぁ、これから頼み事をどうしようかと思ってね」(頼み事を? 何で?)

「今回と同じ手をそう何度も使うわけにはいかないだろ? おじさんに紹介状を書いてもらったりとか、お城へ赴くなんてさ」(あぁ、言われてみれば)確かにそうかも······。

 なんて会話をしていたら突然、「続けるべきじゃぞ」「えっ?」(えっ?)という声が聞こえてきた。

 ボクもレックスも驚いて声が聞こえた方を見たら、スゥッとハウルのおっちゃんが現れた。

「ハ、ハウル様!」「久しぶりじゃな」「お、お久しぶりです。どうしてここに?」「ちと旧友に会いに来たついでにのぉ」「きゅ、旧友って······」(誰の事なんだろう?)

「その旧友からお主に伝言じゃ」「えっ?」「これからもお世話を受けたお礼のための寄付をしたければ、直接神父である私ジニーに渡すようにとの事じゃ」「っ!? ど、どうして神父様がその事を······(はっ!)ま、まさか神父様は······」(えっ? 何?)

 レックスが続けて何かを言おうとしたら、ハウルのおっちゃんが止めた。

「それ以上は無しじゃ」「······ハイ」「今後もお互いその事は知らない者同士という事で通すんじゃぞ?」「わ、分かりました」「うむ。ではな」と言ってハウルのおっちゃんはまたスゥッと消えた。


(何だったんだろう?)と思っていたらレックスが、「ベアーズ、とんでもない事を知っちゃったよ」(えっ? とんでもない事って?)

「神父様も実はボクと同じで、一度死んだ後神様に生き返らせてもらった人だったんだよ」(えっ、······ええぇーーーっ!?)さすがにそれを聞いてボクもとても驚いた。

 レックスが誰かに殺されちゃった後に赤ちゃんの時からじんせいってのをやり直しているって事は聞いてたけど、まさかしんぷって呼ばれているヒトもそうなんて······。

 するとレックスは何かを決意したような表情になって「ベアーズ」(うん? 何?)そこでボクの方を向いて「明日からも、頼み事一緒に頑張ろうな!」と言ってきた。

 そのレックスの雰囲気をくみ取ってボクも、コク!(うん!)と言わんばかりに大きく頷いたのだった。


 次の日、昨日言った通りレックスは今日も頼み事を引き受けることにしてボクもそれを手伝ったのだった。

 またハウルのおっちゃんから言われたことをアッシュやアリスにも伝え、2人もレックスと同じようにまた頼み事をやってそのお礼をレックスに渡したのだった。

 なぜか最近になってメリッサも頼み事をやってそのお礼をレックスに渡しだしたのだった······。

 
 そしてレックス達が森へ向かう前の日。

「たったの数日だけでまさかこんなにも貯まるなんてな」(ホントに)

 数日しか頼み事をしてないのにお礼を入れている袋はだいぶ膨らんでいた。それを言われた通りしんぷってヒトに直接渡すため、ボクとレックスはこじいんって所に向かっていた。

 寄宿舎からだいぶ歩いてようやく「着いた」以前レックスに案内してもらったこじいんって所に着いた。

「さてと」そう言ってレックスは目の前にある2つの建物を交互に見渡し、「神父様はどっちにいるんだろう?」と悩んでいた。

(確かに、どっち何だろう?)そうボクも思っていたら突然、「(右の教会の方じゃよ)」(えっ!?)しろいおっちゃんの声で右の"きょうかい"の方って聞こえた。

(今のって······?)よく分かんなかったけど、とりあえず······クイックイッ!(レックス。右のきょうかいって方にしんぷってヒトはいるみたい)レックスにそう伝えようと腕の中で動いた。

 そんなボクの様子に気付いてくれて「どうした? ベアー······ひょっとして、教会の方に神父様はいるのか?」と聞いてきてくれたので、コクコク(うん。たぶん、そう)と頷いた。

 そのためレックスはきょうかいの方へ歩きだし、その建物の入り口に着いて扉をゆっくり開けた。


 すると奥の方に誰かがいるのが見えたと思ったら、「······ホントにいた」とレックスが呟いたのが聞こえたので、(あのヒトがしんぷってヒトかぁ)ボクも分かった。

 そうしてレックスがゆっくりと奥のしんぷってヒトの下に歩いていたら、不意にしんぷってヒトがこちらを向いたため、レックス(とボク)と目があってしまった。

 するとしんぷってヒトはニコリと笑顔になってこちらに歩きだしてきて、レックスの目の前に来たら「我が教会に何か御用でしょうか?」とやさしく聞いてきた。

 そのためレックスは「あの······こちらを寄付したいと思いまして」と持っていたお礼の入った袋を渡した。

 それを受け取ったしんぷってヒトは「ありがとう。これからも無理のない範囲でお願い致しますね」と言い、それにレックスも「······はい」と返答して「それじゃあ、失礼します」きょうかいを後にしたのだった。

 
 こじいんやきょうかいから少し離れた場所まで来たところで、「やっぱり凄いや、神父様も」(えっ、何が?)突然レックスがそう言い出した。

「ハウル様から僕の事を聞いているはずなのに、さっき初めて対面した時には全くそんな素振りや雰囲気を見せなかったんだから」と言われ、ボクもそれを聞いて(······確かに)納得したのだった。

「何はともあれ、これでもう思い残すことも無くなったし、いよいよ明日皆と村へ出発するぞ」(そっかぁ、村へ······村へ!? じゃあ、父ちゃんとも再会出来る!)

 レックスから明日村へ帰ると聞いた途端元気になり、ピョンッ!(うわぁーーーいっ!! 父ちゃんに会えるーーー!!)レックスの腕から飛び降りてそのままなぜかちゃんと真っ直ぐ寄宿舎のある方向へ全速力で駆け出したのだった······。

「あっ、おい! ベアーズ! 置いてくなぁーーーっ!!」と後ろの方でレックスが叫んでいたみたいだったけど······気にしなーーーいっ!! 事にしたのだった(わーーーいっ!)······。
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