上 下
47 / 61
2年生での出来事

第47話 授業-石集め3-

しおりを挟む
 アリス達と避難した先にいる間ボクはずっとアリスに抱かれたままで、「レックス達、大丈夫かなぁ?」などとアリスが話しかけてくる事があった。

 その時、「アリス」「あ、マーシュ」(ん?)突然男の子がアリスに声をかけてきた。さっきまで一緒に石探しをしていた男の子じゃない子が······。

「大変なことになったね」「ええ。でもきっとレックス達が退治してくれるわよ」「うん。ホントにレックス、君の事を信頼してるんだね」「うん! 去年も私が危険な目に遭ったときに助けてくれたから」「そう、なんだ」とやたらアリスに親しく話しかけていた。

(誰なんだろう? この子)と思いつつ、(マーシュって、何か聞いたことがあったような······)と前にマーシュって名前を聞いた覚えがあり、どこで聞いたのかを思い出そうとしていた。

 そしてようやく(あっ······思い出した!)以前レックスとメリッサが一緒に迎えに来たときに話していた話題に出てきた名前だ。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ねぇ、レックス君」
「ん? 何、お姉ちゃん」
「まだアリスちゃんとマーシュ君の事気になってる?」
(マーシュ?)
「うん、正直ちょっとね。もしマーシュがアリスと仲良くなって僕とも接する機会が増えたら、ますますマーシュが僕を殺すことになる可能性が増すだろうから」
「確かにそうよね」
(マーシュって奴が、レックスを!?)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 その事を思い出し(コイツが将来レックスを······)と思ってまたマーシュの方を見たら、(······ああっ!)いつの間にかマーシュがアリスと手を繋ぎあっていたのだった。

(こ、こんな所レックスに見られたら······)と思ったその時、クンクン(っ! この匂い······)嗅ぎ慣れた匂いを感じたため、その匂いが漂ってきた方を見たら、レックス達がこちらに向かって来ていた。

(やっぱりレックスだー!)そう思ったらボクはアリスの腕から飛び降り、レックス達の方へ駆け出した。

「あ、ベアーズ!」アリスが叫んだけどその直後、「あーっ!」とまた叫び声が聞こえたため、(アリス達も気付いたみたいだな)と思いそのままレックス達の方へ向かった。

 そしてレックスの近くにきたところでピョン!(レックスー!)とレックスに飛び掛かった。

 しかし当のレックスはボクが目の前に来るまで気が付いていなかったみたいで、「ん······わっ!? ベアーズ!」目の前のボクを見て驚きながらボクを掴んだのだった。

「ビックリしたなぁ」(え、何で? けっこう前から分かってたと思ったのに)ボクでも大分手前から気付いていたんだから、レックスも気付いてたと思ったんだけど······。

 なんて考えてたら後ろから「レックスーーっ!」アリスが叫びながらみんなしてこっちに向かって来ていた。そうして近くに着いたところでまたみんなして騒ぎだした。

 暫くしたらおっちゃん達が「よーし、ではこれから一旦採掘現場に戻り、今採掘しかけている者はそれを取り出して、しかけていない者は道具を持ってすぐに集合するように」「全員が揃ったところで山を降りることとする。いいな!」「「はい!!」」と言ったり返事をしてさっきの場所に戻った。


 戻ってからまたアリス達が石を取り出し、レックス達が周りを警戒······しだしたんだけどぉ······。

 チラッとボクは今度こそ周りを警戒しつつ、たまにレックスの方を見るんだけど、そのレックスが今度は周りを警戒しながらも、なぜかチラチラとアリスの方を見たりしていたのだった。

(何でアリスの方をあんなにもチラチラと見て······ひょっとして)そこでボクはさっきレックス達が戻ってきた時にレックスも見てしまったんだと気が付いたのだった。

 ······アリスとマーシュが手を繋いでいた姿を。

(それでさっきからアリスの事が気になってるんだ)と理解した上で、ボクはレックスの傍に寄り(レックス、大丈夫だよ。アリスはレックスの事を信用してるんだから)と思いながら体をレックスの足に擦り寄せた。

 するとレックスもボクに気付き、「ありがとう、ベアーズ」と言って頭を撫でてくれたのだった(うん!)。


 そうしてアリス達も石を取り終えたのでボク達はみんなの集まっている所に向かい、暫くして山を下りた。

 下りたところでまたおっちゃん達が話した後、アリス達はそのまま帰りレックス達はまたこの建物で次の日の朝まで過ごすことになったのだった(もちろんボクも)。

 その日の夜はなぜかレックスがボクを抱き上げて構ってくれたのだった。特に何か話しかけてくることはなかったけど、たまに表情を変えることがあったが何を伝えたかったのか分からなかったので、その度にボクは首を傾げて答えていた。そんなやり取りを暫くした後にボク達は眠ったのだった。


 次の日の朝レックス達が起きて身じたくをしようとした時、ポロッ! コトッ!(ん?)レックスが持ち上げたズボンから何かが落ちた。

「「ん?」これって······」レックス達も石に気付いてそれを持ち上げた。

(······あ、それ)そこでボクは思い出し、「どうしたんだ? その鉱石」ジャックが尋ねたら、ようやくレックスも「思い出した! 昨日集合がかかる直前にベアーズが見つけて、アリスに確認しようとしたけど集合がかかったから後で聞こうと思って······ポケットに閉まってそのまま入れっぱなしにしてたんだ!」(そうそう。そうだったそうだった)と思い出したのだった。

「じゃあ学校に帰ったらサポート科の先生に渡さないとね」「うん。そうだね」とジャックと話した後、みんなで部屋を出て王都に帰ったのだった。

 王都に着いて学校前で解散となった後、レックスは学校の中に入ってある場所に向かった。そして······。


「失礼します」「ん? 君は、武力科の······」「レックス・アーノルドです。実は昨日の鉱石発掘の折にベアーズが······」と言ってあの石を取り出し、「こんな鉱石を見つけたのですが、サポート科の生徒に渡しそびれてしまいまして」「そうだったのか。ありがとう、こちらで受け取っとくよ」とレックスは石を目の前のおっちゃんに渡した。

 するとそのおっちゃんはその石をよく見たとたん、「ん······こ、これは。まさか······」(ん?)そう言って立ち上がり、奥にいた別のおっちゃんに話しかけた。

「先生! この石はもしや······」「え? ······こ、これは金鉱石じゃないか!? どうしたんですか、これは?」「実は······」

 2人のおっちゃん達が何か話し出し、そのうちボク達の方にやって来て「レックス君、この金鉱石をあの鉱山で見つけたというのは本当かね!?」「は、はい」と聞かれてレックスが返事をし、それからも色々レックスやボクに聞いてきたのだった(おかげでその時はクタクタになった)。


 後日······。

「じゃあ本当に凄い、というか貴重な鉱石だったんだね」「うん。あの山じゃあ金鉱石は大分前に採掘できなくなってたんだけど、今回ベアーズが見つけたことで本格的にまた調査することになって、今度はSクラスの生徒が行く事になったのよ」「へぇー」

 アリスが今回の事のその後について話してくれた。

「それにしても、今回もとんでもない物を見つけたなぁ、お前は」「ホントよねぇ」って2人から言われたけど······。

(······何の事?)と言わんばかりにボクは首を傾げたのだった。

 それを見てやっぱりレックスは「お前のその反応も、相変わらずだな······ハハハハハッ」「フフフフフッ」そう言って2人して笑いだしたのだった······。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。 ご都合主義のハッピーエンドのSSです。 でも周りは全くハッピーじゃないです。 小説家になろう様でも投稿しています。

政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...