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壊れる子供……毒母と私たまに兄達と父⑥中編

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……手術後、

少し、お腹の鈍痛が残っていた。
切開し、縫った傷口も疼きはしたが、大事なく、病院生活を送っていた。
ご飯も普通に三食あり、デザートも着くので家より快適で、
あの、内臓を掻き回される壮絶な激痛を考えると、ここは、
天国だと、子供らしく単純に思う。


でも、胸のうちに残るわだかまりが拭えないでいる気持ちもあった。

三日三晩も瀕死に近い私を、家に置いて、更に出かける母の無神経さに。


診療所にも問題があるだろうが、
診療所に連れて行くなら、
タクシーを呼んででも、このような大きい病院に連れていけたはずだ。


不信感は、募り、胸がチクチク痛む。うっと惜しい、
この不愉快な気持ち。
後味の悪さ。
身体は治っていくのは分かるのに、着いていかない、胸の内。
12歳にしては、愚鈍な子供で、
全部理解出来ないもどかしさもあり、ほぼ快適な環境ながら、
時折、考え込み

でも、そんな私の心の動きなど、分かるはずもなく、
甲斐甲斐しく看病してるように見えて、数分いたと思ったら、数時間居なくなったりする毒母は、
爆走中だ。
退屈なのは、わかるが、小学生の子供が入院しているのに、ほぼ居ないのだ。それを繰り返していた。

そしてまた、母の発する言葉の
無神経さに
また胸を引き裂かれ、うなだれることになる。

私が、手術後に話を聞きつけたのか、父と再婚相手が病院に来たらしい。
私は、全身麻酔から覚醒していたが、
酸素マスクを、口に嵌めて
眠りについていたので、
様子だけ見て、すぐ帰ったとのこと。
それを止めなく、文句たらたら垂れ流し、
また、一緒にいた再婚した女性の派手さを貶す、毒母。
そして、おまけに追い討ちをかける。

“入院代掛かるから、お金下さいっていったら、自分に関係ないって”

“自分の娘なのに関係ないって”

とまた私に、にやつきながら、二度繰り返す。下卑た毒母。

━━なんで、笑う?
もう、聞きたくない━━
 
耳をふさいでいたかった。
でも、そんな行動さえ、
反抗と捉えるため、我慢していなければいけない。
口内の中の柔らかい部分をかみしめ我慢して聞いている風を装っていた。

あれから入院して数日経っていた。

でも、父は、あれから来ない。
いくら、町からこの市内から離れていても、何度も仕事とかで
車に乗って通ったりしているはずなのに。

━━私のことは、どうでもよくなったの?

やっぱり、あの人のせい?


実は、一、二度会ったことがある、父の奥さん。

親子の会話に入り込んで、分かりやすい嫌がらせで邪魔をする。
父に聞いているのに、その人が返事をするのだから。
そして、今まで、使っていた父の家の物も触らせないように、阻む。
冷蔵庫を開けようとしたら、
手で制止し、自分で開け、何を取るのか私に笑顔で尋ねる。
その表情は、誰かに似ていた。
驚きなのは、それを、父の前で行動していること。


それでも、何も言わない父。

元々、寡黙。無口だけど。

気付いているのか、そうでないのか、判別つかない。

父が見えない。分からない。
見えないのは、隔たりが、
壁があるような、それは拒絶に似た……。
その時、愚鈍な私には、上手く表現出来ずにいた。

そして、その父の奥さんの、
分かりやすい妨害に嫌気も差し、それから徐々に父の家に行かなくなったのだ。

そして悲しいことに、その行動に父がまったく反応がないことだったことに悲哀は増す。

お金のことはわからない。

でも、真っ先に気付いたのは、
母が散財すると考えて断ったのだろう。
そんなことどうでもいい。
私が、切に、はっきりわかったこと。


━━父に捨てられた━━


それがまた、重くのしかかり
暗く沈んでゆく。

退院した日。

身体は、ほぼ完治した。
でもまた、母と暮らす日々を考え
落ち込んでいる。
また、まともなものを食べさせて貰えるのか。

それに、就職した場所を三ヶ月で辞めた暴君長男が、団地の方に帰って来ていると、母が愚痴っていて私は、恐怖で、息が詰まった。

そして更に苦しく、息が詰まる学校も始まるのだ。


捨てられた娘は、
父の家にも、完全に行けない。

心の拠り所さえ、もうないのだ。


不安は、つのり、ざわついた胸は、治まることなく吐き気がした。


繋がった  心と身体
みなぎる身体が息を吹替しても
ひび割れたままの 子供の心
治せないのかな 
心は吹き出したまま
吹き溜まり血塗れ 壊れないけど
壊れていいよ  もういいんじゃない?
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