Vegetables

Vegetablesー２ー

あいつらの事情 ２

　―――ピンポーン……「千章いるー！？」

　インターホンを鳴らすと同時に声がする。鳴らす意味ないし。

「智、おまえ何時だと思ってんだ……」

「え～と……八時半？」

「もうちょい寝かしてくれよ……。昨日帰ったの０時過ぎてたんだから……」

　朝イチからヘアスタイルはもちろん、コーディネイトもばっちりな智とは対照的に、俺はまだパジャマ代わりのジャージ姿だ。もちろん顔も洗ってないし、朝食もまだだ。――というかチャイムで起こされた。

「忙しいよなぁ最近。あ、千章の部屋って昔のまま？」

　そういってずかずかと階段を上がっていく。智、もうちょっと人の話は聞いたほうがいいと思う。俺は深いため息をついて、キッチンから朝食とコーヒーを手に部屋へあがった。寝るのは諦めるしかない。

「ほれ、コーヒー」

「サンキュ」

　とりあえず苦情だけは先に言っておこう。

「おまえ、小学生じゃないんだから、もうちょっと時間考えろよ」

「あ、そういや小学生のときも、朝六時に拓んち遊びに行っておばさんに怒られたなぁ」

　小学生から全く成長していないのか。これは言っても無駄かも知れない。こいつとずっと付き合えてる拓もある意味尊敬できるかも――。

「で？　なにかあったのか？」

　智に常識を教えるのは諦めて、さっさと本題に入ることにした。

「そうそう！　そうなんだよ！！　千章、聞いてくれよー」

「聞いてる……聞いてるから、もうちょっとトーン落とせ」

　寝起きにこのテンションは正直キツイ。

「言ったんだな？」

「言った……」

　智のトーンが一気に下降した。

　いきなりそこまでテンション下げるか？　こいつ意外に読めない。

「聞いたほうがいいか？」

「聞いてくれるか？」

「ああ、どうなったんだ？」

「結論からいくとな……ＯＫされた」

「え？　よかったんじゃん？」

　智には悪いけど意外だった。あ、でも智の様子は「ハッピー」って感じじゃないよな。逆に悩んでないか？

「千章、聞いて」

　だから聞いてるって。

「俺さ、マジに告ってさ……」

　あ、以下智が説明した、事の成り行き――。