初恋Returns

初恋Returns ４８

　目が覚めたら、横には当たり前に武市が寝ていて、裸の首元には縦長のペンダントトップが、シルバーのチェーンに通されて揺れていた。

　俺の視線に気付いたのか、武市がそのペンダントをつまみ上げてみせる。

「似合うか？」

　武市に頷いてみせた。

　投げつけたプレゼントは、当たり前に武市に届いている。それが自分への贈り物だって疑いもしないんだ。

「それ、クリスマスプレゼント」

　武市が、持ち上げたペンダントトップにキスをした。

「おまえは、何がいい？」

　しばらく考えて、俺はゆっくりと首を横に振った。俺はなんだって持っているから――。

「武市がいればいいよ」

　武市が珍しく照れたように目を細めた。こんな顔の武市を見られるのは俺だけだって思ってもいいよな？

「祥真」

　武市が呼ぶ。

　俺はごく自然に、その唇にキスをした。

　武市と家族になりたかった。武市が好きで好きで仕方なくて、どうにかして繋がっていたかった。

　あのときの俺は単純に家族になることしか思い浮かばなかったけど、今思えば、それはまさしく恋だったんだと思う。

　だって、武市に対する独占欲を覚えているから。

　俺は武市に二度、恋をした。



＜完＞