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初恋Returns 2
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せめて小遣い分くらいは自分で稼ごうと始めたバイトも、あらかじめ休みをもらっていた。リュウさんが誕生日を祝ってくれると言っていたからだ。
リュウさんは血は繋がっていないけれど家族のような存在だ。リュウというのは苗字でフルネームは劉武市という。血のつながりはないけど、俺を親代わりに育ててくれた恩ある人だ。
一九〇センチの長身に分厚い胸板、鋭い眼光と自信に満ち溢れた風貌は、男なら誰だってこうありたいと思うに決まっている。俺だって決して貧弱じゃないし、体格だって平均は上回っているけど、リュウさんと並んだら子どもみたいなもんだ。
つまり、リュウさんは俺にとって、親代わりかつ憧れの男だった。
リュウさんの馴染みにしている店から運んでもらったオードブルはどれも俺の好物で、さらにちょっと飲んでみるかと出されたアルコールを舐めた俺はご機嫌だった。
「祥真アイスあるぞ」
テーブルの上には、きれいに平らげられたオードブルの残骸が残されている。俺は正直満腹だったけど、アイスの単語に思わず冷凍庫を開けてしまった。そこには普段はもったいなくて買えない高級アイス。もちろん明日にしてもいいんだけど、やっぱり今日のうちに食いたいと思うのは仕方がない。
広いリビングの、大きな窓に面したソファに移ってアイスを頬張った。隣ではリュウさんがブランデーのグラスを傾けている。さっき舐めたけど喉が焼けるかと思った酒だ。俺もいつかはリュウさんみたいにサラリと飲めるようになりたいと思う。
「うまいか?」
のぞきこんだリュウさんに満面の笑みで応える。新発売のラムレーズンのアイスは満腹の腹のどこに入っているのか、スプーンを運ぶ手が止まらない。
「食べる?」
スプーンに大きくすくい、リュウさんに差し出す。独り占めしたいとか、そんな子どもじみた考えはさすがにない。
リュウさんが「ん」と小さく頷いて顔を近づけた。
男らしい肉厚の唇がスプーンに近づき、そして通り過ぎた……。
俺は左手にアイスのカップを持っていて。
右手にスプーンを持っていて。
躱すのは不可能だった。というのは言い訳で、突然のことに動けなかっただけだ。
リュウさんの唇が、俺の唇に当たっている。
リュウさんは血は繋がっていないけれど家族のような存在だ。リュウというのは苗字でフルネームは劉武市という。血のつながりはないけど、俺を親代わりに育ててくれた恩ある人だ。
一九〇センチの長身に分厚い胸板、鋭い眼光と自信に満ち溢れた風貌は、男なら誰だってこうありたいと思うに決まっている。俺だって決して貧弱じゃないし、体格だって平均は上回っているけど、リュウさんと並んだら子どもみたいなもんだ。
つまり、リュウさんは俺にとって、親代わりかつ憧れの男だった。
リュウさんの馴染みにしている店から運んでもらったオードブルはどれも俺の好物で、さらにちょっと飲んでみるかと出されたアルコールを舐めた俺はご機嫌だった。
「祥真アイスあるぞ」
テーブルの上には、きれいに平らげられたオードブルの残骸が残されている。俺は正直満腹だったけど、アイスの単語に思わず冷凍庫を開けてしまった。そこには普段はもったいなくて買えない高級アイス。もちろん明日にしてもいいんだけど、やっぱり今日のうちに食いたいと思うのは仕方がない。
広いリビングの、大きな窓に面したソファに移ってアイスを頬張った。隣ではリュウさんがブランデーのグラスを傾けている。さっき舐めたけど喉が焼けるかと思った酒だ。俺もいつかはリュウさんみたいにサラリと飲めるようになりたいと思う。
「うまいか?」
のぞきこんだリュウさんに満面の笑みで応える。新発売のラムレーズンのアイスは満腹の腹のどこに入っているのか、スプーンを運ぶ手が止まらない。
「食べる?」
スプーンに大きくすくい、リュウさんに差し出す。独り占めしたいとか、そんな子どもじみた考えはさすがにない。
リュウさんが「ん」と小さく頷いて顔を近づけた。
男らしい肉厚の唇がスプーンに近づき、そして通り過ぎた……。
俺は左手にアイスのカップを持っていて。
右手にスプーンを持っていて。
躱すのは不可能だった。というのは言い訳で、突然のことに動けなかっただけだ。
リュウさんの唇が、俺の唇に当たっている。
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