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第17話 「女戦士ラフレーシア」
しおりを挟む次の試合前に控室で待っていると。
闘争心剥き出しの魔族らの視線を浴びていた。
先程の試合を観戦したのだろう。
魔族の中では戦士の類はとにかく戦うことを好む。
実力者を認めすぐに挑もうとするのだ。
俺の目的はあくまで賞金。
そういった習性に付き合う気は微塵もない。
「ふむ、あの巨人族を短時間で、それもたった一撃で叩き伏せるとは感服いたした。アルフィ殿」
女騎士に話しかけられた。
それも紫色肌。
露出の多い戦士服のせいで、誘惑してくるような引き締まったボディが丸見えだ。
言わずともそこに目がいってしまうのは男の子というもの。
だがそれだけではない。
彼女に翼がついていた。
まるでコウモリのようだ。
「あなたは……」
「急に話しかけてすまないな。強い者に惹かれてしまうのが我々の血の定め。お前のことが気になっただけだ」
胸に手を当てて自己紹介をしてくれた。
「蝙蝠族のラフレーシアという、よろしくな」
貫禄のある声だ。
言わずとも分かる、この女は強い。
結界を駆使して間合いを取れば、こっちが有利だが足の鍛え方からして相当なスピードで距離を詰められてしまうだろう。
武器は剣。
使われている素材が何なのかは分からないが、かなりの強靭さだ。
「次はお前と私との試合なんでな、対戦相手には必ず挨拶をしておくのが私の日課だ。迷惑だったらスマンな」
座っているベンチの隣に座られる。
肩がくっつくぐらいの距離でドキドキしてしまう。
「い、いえ。礼儀正しくて良いと思いますよ」
「そうか、なら良かった。それと、もう一つ気になったことがあってな。失礼にあたる事を承知で聞くが、ここ数十年間お前のような姿形をした魔族を見たことがない。出身はどこだ?」
ギクリ。
それ聞いちゃうのかよ。
ここに来た時、試合にエントリーする時も気にかけられなかったのに、このタイミングでその質問くる?
ええい、ままよ。
「混血です」
混血での生まれは魔族にとって珍しい。
何故なら魔族はプライドが高いからだ。
他の種族との交配なんてクソくらえと思うほどである。
恐る恐る答えるとラフレーシアさんは嬉しそうに笑っていた。
「ならば納得だ。二つの種族の血を保有しての実力か、どうりで強いわけだな」
都合の良い解釈をしてくれた。
「本来、混血は嫌われるが強者ならば有無は言わん。むしろ誇らしいと思うぞ、倒し甲斐がある」
勢いよくベンチから立ち上がったラフレーシアさんは不敵な笑みを浮かべた。
それは強者との出会いの喜びによってなのか。
それとも獲物として狙われているのか。
「———マークしているからな、アルフィ」
それはさておき。
次の試合は本格的にやらなければ。
油断は禁物だ。
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