除霊ご飯を召し上がれ。

⑨ 最強のハッシュドビーフ

⑥

「しかし、戦が起き、我らは志半ばで消えてしまった……」
「我ら……って、どーいうことだ？」

　今度は水斗君が聞く。
　水斗君もちゃんと聞いていたみたいだ。
　確かにさっきから我らって言っているけど、他にも仲間がいるのかな？

「ああ……それぞれの街におる、守護の殿たちのことだ。我々は戦で、全員が死んだ」

　……それぞれの街？
　待って、そんなにたくさんいるの？
　ってことは、この殿様は……私の夢に出てきた殿様じゃない？
　ちゃんと聞かないと！

「あ、あの！　あなたは……梅賀の守護霊さんですか？」
「梅賀……？　いや、もちろんこの街の守護だが……」

　この街ってことは……浦砂市の守護霊様ってこと？
　そうだよね……。
　ってことは、まだ夢の中に出てきた守護霊様がこの世にいるってことじゃ……。

「死んでも死にきれん我らは、それぞれの街の地蔵となって、街を守っていた」
「そ、それが、水かけ地蔵さんの守護霊って、ことよね……？」

　水斗君の方を見て、確認する。
　強く「ああ」とうなずいた水斗君も、ちゃんと理解しているみたいだった。

「特に、空腹のままさまよっている霊を、我らは見過ごすことができなかったんだ」

　そうか……私も夢の中で言われた。
　梅賀の守護霊様。あの若くて美しいお兄さんに、多くの霊を救ってあげてほしいって、確かに言われた。
　殿様全員が、そういう思いだったんだね。

「あの……梅賀の守護霊様は、今どこにいますか？」

　私は、それが一番気になっていた。
　もし知っているなら、教えてほしい。