除霊ご飯を召し上がれ。

⑧ 最強タッグ解散？

①

　水かけ地蔵さんの浮遊霊を見つけて、成仏させてあげる。
　たとえ守護霊だとしても、もう楽にしてあげたい。
　そのためには、水斗君の除霊ご飯が必要だ。
　
　何だか、やる気が出てきた。
　こうなったら、目に入った浮遊霊を全員成仏させる勢いで頑張ろう。

「ヒビコ！　今日は浮遊霊に会ったか？」
「ううん、会ってない」
「そっか……」

　やっぱり水斗君もおじいちゃんと話して、やる気が上がっているんだ。
　学校が終わった帰り際に、水斗君から声をかけられた。

「ま！　見つけたらすぐに言ってくれよ！　俺の除霊ご飯で、いつでも成仏させてあげるから！」
「う、うん！」

　水斗君と同じ気持ちで良かった。
　私たちの息も合ってきたみたい。
　これが使命感ってやつなのね。

「じゃあ！　また明日学校でな！」

　水斗君は走って家に帰る。
　あの様子だと、店の手伝いがあるんだろうな。

　私は帰り道、さまよっている浮遊霊がいないか細かくチェックしながら帰った。
　だけど通り過ぎていく人はみんな人間で、透けている人間なんているわけはない。
　集中しながら歩いていると、目が疲れてくる。

「はぁ、いつになったら水かけ地蔵さんの浮遊霊に会えるんだろ……」

　つい、弱々しい独り言をつぶやいてしまった。
　そうこうしているうちに自分の家に着く。
　今日も浮遊霊は見えなかった。

「ただいまー」

　ふぅー、今日も一日が終わった。
　目が疲れているので、なるべく早く寝よう。
　今日のご飯は何だろうなー。
　たまにはお母さんの得意料理である、ハッシュドビーフが食べたいな。

　――しかしその日の夜、ご飯どころではなくなるような話がお父さんの口から飛び出した。