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⑦ はじまりのナポリタン

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 え? このおじいちゃん……。
 私にだけ見える、聞こえる。
 すぐに私は、水斗君に向けて声を出した。

「水斗君、新しい浮遊霊が来たわ!」
「は、はあ!? 何だよ、こんな時に!」
「それが……水斗君のことを知ってる浮遊霊みたいなの」
「え!? オレのことを?」

 水斗君はあばれながら声を出している。
 私は自信があった。
 あのおじいちゃんが、何者か。

「きっと、水斗君のおじいちゃんよ! この浮遊霊は!」

 おじいちゃんはニヤッとした。
 その表情で、私の予想が当たったことがわかった。

「水斗、今助けるからな……」

 おじいちゃんが、水斗君のお父さんの中に飛び込む。
 え、お父さんの中には、悪い浮遊霊が先に憑依されているのに……これじゃダブル憑依になるじゃない。

「お、おおい! ヒビコどうなったんだー!?」

 バタバタしながら私の名前を呼ぶ。
 ど、どうなったんだって言われても……。
 おじいちゃんも憑依中のお父さんの中に入っちゃったけど……。

 え……?

 ピタッと、お父さんの動きが止まった。
 手から、水斗君の体が離れる。

「おお?」

 水斗君は床に着地した。
 何が起きたかわかっていないようだ。
 もちろん、私も一緒。

「水斗、じいちゃんだよ。ちょっと父さんの体を借りてるからな」
「じ、じいちゃん!?」

 水斗君は飛んで驚いた。
 お父さんの体をペタペタ触りながら、「本当にじいちゃん?」と確認する。

「本物じゃよ。ただ、ちょっとめんどくさいことになってる……」

 お父さんの体の奥から、さっきまで聞いていた太い声が聞こえてきた。

『お、おい! ふざけんじゃねぇ! オイラが先に入ってたんだぞ!』
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