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28(ミカエル)*最終話*
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僕と母に血の繋がりが無いと知らされたのは十五歳の誕生日の次の日だった。
薄々、感じてはいた。
悲しくもなかった。
僕は両親や兄弟に深く愛されている自覚があったからだ。
実の母は既に他界していた。
併し、僕にはもう一人兄がいるらしかった。
「会いたい?」
母が労わるような、それでいて期待しているような輝きを瞳の奥に秘め問いかける。僕は首を振った。
「そのうちね」
母はこの時、もう予感していたのだろう。
いつか僕がもう一人の兄に会いに行くことを。
僕が家族の愛情を深く実感できるのは、両親のおかげでもあるけれど兄弟の影響の方が大きいと思う。
長兄のオリヴァーは色白で、顏も母に似ている。
優しいのは顔つきだけではなく、性格も優しい。それに包容力については母を越えるものがあった。それほど年も変わらないのに随分支えられた。
弟たちは双子だ。
エドガーはほとんど父の生き写しで、明るくて元気でうるさくてお調子者なところがあるけれど、凄く優しい。
ベネディクトは兄弟の中でいちばん父と母のいいところを独り占めした容姿をしていて、それでいて何故か一人だけ少し意地悪な性格だった。でも大事なところでは思いやりがあり、やっぱり優しい。
僕が家族の愛情を信じられるのは、この意地悪な弟ベネディクトといちばん馬が合うからかもしれない。
僕は自分が陰気だという自覚がある。
恐がりで、寂しがりやで、しかも泣き虫だ。最近、少しましになったけど……
そんな僕にベネディクトは絶対に意地悪をしなかった。
ベネディクトが積極的に牙を剥いたのは父に対してで、二人が徹底的に相性が悪いのは誰の目にも明らかだったと思う。
僕と異母兄弟である事実を知ったベネディクトは父と更に険悪になった。
母は小さな溜息をついて静観し、兄は頓着しなかった。
兄が十八歳の誕生日を迎えた時、父は宮廷から爵位を息子に譲り渡すよう命じられたのだけれど、家族の中で一人だけ違う喜び方をしたのもベネディクトだった。
僕とベネディクトがいつも一緒にいるのは、他にも理由があった。
僕たち兄弟は全員、祖父から剣の手ほどきを受けた。兄はそつなく優秀で、エドガーは頑張っていたけれど、僕とベネディクトには才能があったのだ。稽古の内容が特別なものになり、僕とベネディクトは夢中で剣の腕を磨いた。楽しかった。互いに認め合える関係だった。
ベネディクトは弟で、いちばんの親友だ。
でも……実を言うと、ベネディクトがいつか父を殺めそうで怖い。凄く嫌いらしい。
兄オリヴァーが爵位を継いでからも生活には特に変化はなかった。
「二人がいると頼もしいよ。それに、誇らしい」
穏やかに微笑む兄オリヴァーにそんなことを言われると照れてしまう僕だったけれど、ある時、事件が起きた。
「決闘だ!」
「ふざけるな!お前が俺に勝てるわけないだろう身の程知らずのアホが!」
十七歳の春、エドガーとベネディクトが何故か突如、決闘を始めた。
僕はベネディクトがメイドのデイジーを好きだと知っていたけれど、エドガーもそうだとは知らなかった。
「やめて!!」
あれは凄まじい声量だった。
気の強いデイジーは、あまり、僕の好みではない。
「こんな無駄な争いはやめてください!私が愛しているのはオリヴァー様ただ一人よ!!」
「!!」
わりと大問題になった。
お調子者のエドガーはしょぼくれて、兄と微妙な溝ができた。
意地悪なベネディクトはエドガーを鼻で笑い、兄には敬意を持ち続けたものの、それでも傷心を持て余し、人生を仕切り直す為に王室騎士団の入団試験を受け、首席で合格してしまった。
「ベネディクト……」
弟と離れる不安に酷く落ち込み、僕は暫く寝込んだ。
僕が寝込んでいる間に、兄はデイジーに愛する人がいると打ち明けたらしかった。えっ、誰!?……と思わなくもなかったけれど、兄の恋愛ならなんであろうと全力で応援したいとベッドの中で考えていた。
ベッドの中で兄の想い人が誰なのか想像している間に、デイジーも失恋の傷を癒す為には環境を変える必要がある性格らしく、年の離れた姉ロージーが営む牧場に移り住んだ。ロージーは好きだ。
そうこうしているうちにベネディクトの旅立つ日が来てしまった。
「お前も来いよ」
「僕は……此処で兄さんを支えたい」
「ああ、目的があるんだな。じゃあ、よかった。安心した」
ベネディクトが笑顔で僕の腕をばしばし叩いた。
僕も笑顔になって、弟を見送った。寂しいけれど其々の人生があるし、ベネディクトを応援したい。それに父がベネディクトに暗殺されないかと不安に苛まれる夜もなくなるし。
僕もベネディクトに誇れる自分になって、また会いたい。
そんな風に考えれば、変化もどこか楽しかった。
兄の婚約を境にエドガーも元のお調子者に戻り、そこはかとなく父も安堵したようだった。愛すべき父だが、なんだか情けない人だなとも思う。
爵位を兄に譲って暇になった父が騎士学校を開き、最近は祖父と生徒の人気を取り合っている。
エドガーは兄の補佐をしたり、騎士学校に顔を出したり自由にやっているけれど、陽気でお調子者な性格はいつも相手を勇気付けているように見えて、あれはあれで才能だと感心させられた。
「ミカエル」
ある日、いつものように母が優しく僕を呼んだ。
「アレクシウスがね、剪定中に足を滑らせて梯子から落ちたんですって」
「え?……珍しい」
その頃にはもう一人の兄の名や所在、それにだいたいの性格も母から聞かされていたので、僕は意外で驚いてしまった。
「足を骨折したそうよ。今なら、逃げないかも」
「……」
ああ、そうか。
母は、そろそろ会ってみてはどうかと促してくれているんだ……
そういうわけで。
僕は今、生まれて初めて修道院の前に佇んでいる。
「あの、此方にアレクシウスという名の修道騎士がいるはずなのですが……」
修道院は静寂に包まれ、厳かすぎて、少し恐い。
最初はそう感じたのだけれど、案内されて奥へ進むにつれ、その静謐さは果てしない安堵に変わり僕を包み込んだ。
と、油断したその時。
凄まじい鐘の音が轟いた。
「ひぃっ!」
情けない悲鳴を上げた僕を案内役の修道士が冷たく見遣る。
「す、すみません……なんでもありません」
心臓が激しく胸を打つのは、鳴り響く祈りの鐘に驚きすぎたからか、それとも、兄と初めて会うという現実に緊張しているからなのか。
どちらにしても僕の心臓は爆発しそうだ。
僕は胸に手を当て、深い呼吸を意識しながら長い通路を進んだ。
「……」
どうしよう。
不安になってきた。
やっぱり先に手紙で訪問を知らせておくべきだったかもしれない。
でも、もう来てしまったし、今更どうにもできない。
「こちらです」
「あ、はい」
修道士が扉をノックする。
中から、低いしゃがれ声が入室を許可する。
修道士は扉を開けると、僕に一礼して去ってしまった。
「……」
中に入ると、そこは狭いながらも整えられた部屋だった。兄はどうやら、窓辺で本を読んでいたらしかった。同じ男性とは思えない美しい横顔に僕は息を飲んだ。
本当に、僕の兄なのだろうか。
足に添木しているところを見るに、たぶん、そうなのだろう。
「!」
その人がふと、僕に気づいた。
目を丸くして僕を見つめ、それから徐々に表情を和らげていく。それは紛れもない、愛の篭った歓迎の微笑みだった。
「あの……初めまして。ミカエルです。あなたが僕の──」
薄々、感じてはいた。
悲しくもなかった。
僕は両親や兄弟に深く愛されている自覚があったからだ。
実の母は既に他界していた。
併し、僕にはもう一人兄がいるらしかった。
「会いたい?」
母が労わるような、それでいて期待しているような輝きを瞳の奥に秘め問いかける。僕は首を振った。
「そのうちね」
母はこの時、もう予感していたのだろう。
いつか僕がもう一人の兄に会いに行くことを。
僕が家族の愛情を深く実感できるのは、両親のおかげでもあるけれど兄弟の影響の方が大きいと思う。
長兄のオリヴァーは色白で、顏も母に似ている。
優しいのは顔つきだけではなく、性格も優しい。それに包容力については母を越えるものがあった。それほど年も変わらないのに随分支えられた。
弟たちは双子だ。
エドガーはほとんど父の生き写しで、明るくて元気でうるさくてお調子者なところがあるけれど、凄く優しい。
ベネディクトは兄弟の中でいちばん父と母のいいところを独り占めした容姿をしていて、それでいて何故か一人だけ少し意地悪な性格だった。でも大事なところでは思いやりがあり、やっぱり優しい。
僕が家族の愛情を信じられるのは、この意地悪な弟ベネディクトといちばん馬が合うからかもしれない。
僕は自分が陰気だという自覚がある。
恐がりで、寂しがりやで、しかも泣き虫だ。最近、少しましになったけど……
そんな僕にベネディクトは絶対に意地悪をしなかった。
ベネディクトが積極的に牙を剥いたのは父に対してで、二人が徹底的に相性が悪いのは誰の目にも明らかだったと思う。
僕と異母兄弟である事実を知ったベネディクトは父と更に険悪になった。
母は小さな溜息をついて静観し、兄は頓着しなかった。
兄が十八歳の誕生日を迎えた時、父は宮廷から爵位を息子に譲り渡すよう命じられたのだけれど、家族の中で一人だけ違う喜び方をしたのもベネディクトだった。
僕とベネディクトがいつも一緒にいるのは、他にも理由があった。
僕たち兄弟は全員、祖父から剣の手ほどきを受けた。兄はそつなく優秀で、エドガーは頑張っていたけれど、僕とベネディクトには才能があったのだ。稽古の内容が特別なものになり、僕とベネディクトは夢中で剣の腕を磨いた。楽しかった。互いに認め合える関係だった。
ベネディクトは弟で、いちばんの親友だ。
でも……実を言うと、ベネディクトがいつか父を殺めそうで怖い。凄く嫌いらしい。
兄オリヴァーが爵位を継いでからも生活には特に変化はなかった。
「二人がいると頼もしいよ。それに、誇らしい」
穏やかに微笑む兄オリヴァーにそんなことを言われると照れてしまう僕だったけれど、ある時、事件が起きた。
「決闘だ!」
「ふざけるな!お前が俺に勝てるわけないだろう身の程知らずのアホが!」
十七歳の春、エドガーとベネディクトが何故か突如、決闘を始めた。
僕はベネディクトがメイドのデイジーを好きだと知っていたけれど、エドガーもそうだとは知らなかった。
「やめて!!」
あれは凄まじい声量だった。
気の強いデイジーは、あまり、僕の好みではない。
「こんな無駄な争いはやめてください!私が愛しているのはオリヴァー様ただ一人よ!!」
「!!」
わりと大問題になった。
お調子者のエドガーはしょぼくれて、兄と微妙な溝ができた。
意地悪なベネディクトはエドガーを鼻で笑い、兄には敬意を持ち続けたものの、それでも傷心を持て余し、人生を仕切り直す為に王室騎士団の入団試験を受け、首席で合格してしまった。
「ベネディクト……」
弟と離れる不安に酷く落ち込み、僕は暫く寝込んだ。
僕が寝込んでいる間に、兄はデイジーに愛する人がいると打ち明けたらしかった。えっ、誰!?……と思わなくもなかったけれど、兄の恋愛ならなんであろうと全力で応援したいとベッドの中で考えていた。
ベッドの中で兄の想い人が誰なのか想像している間に、デイジーも失恋の傷を癒す為には環境を変える必要がある性格らしく、年の離れた姉ロージーが営む牧場に移り住んだ。ロージーは好きだ。
そうこうしているうちにベネディクトの旅立つ日が来てしまった。
「お前も来いよ」
「僕は……此処で兄さんを支えたい」
「ああ、目的があるんだな。じゃあ、よかった。安心した」
ベネディクトが笑顔で僕の腕をばしばし叩いた。
僕も笑顔になって、弟を見送った。寂しいけれど其々の人生があるし、ベネディクトを応援したい。それに父がベネディクトに暗殺されないかと不安に苛まれる夜もなくなるし。
僕もベネディクトに誇れる自分になって、また会いたい。
そんな風に考えれば、変化もどこか楽しかった。
兄の婚約を境にエドガーも元のお調子者に戻り、そこはかとなく父も安堵したようだった。愛すべき父だが、なんだか情けない人だなとも思う。
爵位を兄に譲って暇になった父が騎士学校を開き、最近は祖父と生徒の人気を取り合っている。
エドガーは兄の補佐をしたり、騎士学校に顔を出したり自由にやっているけれど、陽気でお調子者な性格はいつも相手を勇気付けているように見えて、あれはあれで才能だと感心させられた。
「ミカエル」
ある日、いつものように母が優しく僕を呼んだ。
「アレクシウスがね、剪定中に足を滑らせて梯子から落ちたんですって」
「え?……珍しい」
その頃にはもう一人の兄の名や所在、それにだいたいの性格も母から聞かされていたので、僕は意外で驚いてしまった。
「足を骨折したそうよ。今なら、逃げないかも」
「……」
ああ、そうか。
母は、そろそろ会ってみてはどうかと促してくれているんだ……
そういうわけで。
僕は今、生まれて初めて修道院の前に佇んでいる。
「あの、此方にアレクシウスという名の修道騎士がいるはずなのですが……」
修道院は静寂に包まれ、厳かすぎて、少し恐い。
最初はそう感じたのだけれど、案内されて奥へ進むにつれ、その静謐さは果てしない安堵に変わり僕を包み込んだ。
と、油断したその時。
凄まじい鐘の音が轟いた。
「ひぃっ!」
情けない悲鳴を上げた僕を案内役の修道士が冷たく見遣る。
「す、すみません……なんでもありません」
心臓が激しく胸を打つのは、鳴り響く祈りの鐘に驚きすぎたからか、それとも、兄と初めて会うという現実に緊張しているからなのか。
どちらにしても僕の心臓は爆発しそうだ。
僕は胸に手を当て、深い呼吸を意識しながら長い通路を進んだ。
「……」
どうしよう。
不安になってきた。
やっぱり先に手紙で訪問を知らせておくべきだったかもしれない。
でも、もう来てしまったし、今更どうにもできない。
「こちらです」
「あ、はい」
修道士が扉をノックする。
中から、低いしゃがれ声が入室を許可する。
修道士は扉を開けると、僕に一礼して去ってしまった。
「……」
中に入ると、そこは狭いながらも整えられた部屋だった。兄はどうやら、窓辺で本を読んでいたらしかった。同じ男性とは思えない美しい横顔に僕は息を飲んだ。
本当に、僕の兄なのだろうか。
足に添木しているところを見るに、たぶん、そうなのだろう。
「!」
その人がふと、僕に気づいた。
目を丸くして僕を見つめ、それから徐々に表情を和らげていく。それは紛れもない、愛の篭った歓迎の微笑みだった。
「あの……初めまして。ミカエルです。あなたが僕の──」
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此方こそ、お読み下さって本当にありがとうございました!
お楽しみ頂けましたら心から幸いです。
ご感想ありがとうございます!
お陰様で完結に至ることができました。
此方こそ、最後までみんなの幸せを見守ってくださり、本当に感謝しております。
兄弟たちがいいと感じて頂けてとても嬉しいです。
親世代は大変でしたが、息子たちは真っ直ぐ育った感が出せていたらいいなと思います。
そして仰る通り…女性関係については遺伝だなという感じです。
ミカエルとアレクシウスのラストシーンは私も好きなので、気に入って頂けてとても嬉しいです!
ベネディクトもいい仕事をしてくれました(笑)
「にっ、兄さん……((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル!?」
という将来のミカエルが目に映るようです✨
最終的にはなんだかんだアレクシウスもみんなと打ち解け、みんな幸せになってくれると思います。
…女性関係はみんな苦労しそうですが…
お読み下さり、本当にありがとうございました!!
ご感想ありがとうございます!
溜めておいてくださったのですね✨感激です!
更新のタイミングでお読み頂くのと、初見からまとめてお読み頂くのでは、受け止め方というか感情の動き方がもしかすると違うのかもしれませんね😲
興味深い発見を共有させていただけて感謝です!
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