18 / 319
第2章 宿屋
お肉と迷い
しおりを挟む「うーん。やっぱり肉が欲しいよね」
「そうだよな…」
市場へ向かいながら隣りを歩くセレナの言葉に、俺も頷くしかないのが正直なところだ。だが、朝食としてガッツリしたものを出していいのか悩む。
元の世界で朝食の肉類と言えばウィンナーやベーコンになるが、ウィンナーはこの世界でも既に一般的で美味しいことは美味しいが珍しくはない。
となると、ベーコンだ。
売ってなければ作るしかないのか…。
この世界で食料を長期保存させるには干し肉やドライフルーツのように乾燥させるのが一般的だ。燻製やら塩漬けとかはない。
ん? 塩漬けか…。それもアリだな。
いやいや、今回のテーマは肉だからな。
とりあえず多少多めにオーク肉を買って帰ることにする。
帰りにセレナの家に行き、ガンマおじさんから木屑をもらうことが出来た。果たして上手く出来るだろうか。
宿に戻ってきたら、オーク肉を塩漬けにして寝かせておく。確か2~3日必要だった気がするが、明後日くらいまでにしておこう。
さて、明日と明後日の朝食はどうするか…。明日はこの前作ったニンジンのオーク肉巻きでいいとして、明後日か…。
「また朝食のこと考えてるの? 少し休んだら?」
セレナが宿内の掃除を終えて、キッチンに入ってきた。
「セレナも慣れないことばかりで疲れただろ? 軽く何か作ろうか?」
「えっ? いいの? じゃあ甘いものがいいなー」
ちょっと甘えてくるセレナが可愛い。
気合い入れて作りたくなるな。
「じゃあ、ちょっと待ってな」
パンと卵が残ってるし、明日にも影響がないから、フレンチトーストを作ってあげた。
「どう? かなり甘いかもしれないけど」
「スゴい! パンなのにデザートみたい! 」
セレナがほっぺたを両手で押さえながら悶えている。うん、可愛い。そんな仕草を見れただけでも作ったかいがあるな。
「喜んでもらえてよかったよ」
「これを朝食に出してもいいんじゃない?」
「えっ?」
そんなこと思ってもいなかったからビックリしたが、よくよく考えてみたら前の世界でもモーニングで出てくるか…。
「エテルナさんとか、スゴく好きそう!」
「確かに…」
「たまには甘い朝食があってもいいんじゃない? みんな疲れてるだろうし」
そっか。
そういう考え方もあるな。
俺1人でやってるわけじゃなくて、セレナもいるんだ。せっかくの意見は取り入れて行こう。
「わかった。ちょうど明後日の朝食を何にしようか迷ってたから、コレにしてみるよ」
「うん。そうしようよ」
「ありがとう、セレナ」
10
お気に入りに追加
264
あなたにおすすめの小説
転生させて貰ったけど…これやりたかった事…だっけ?
N
ファンタジー
目が覚めたら…目の前には白い球が、、
生まれる世界が間違っていたって⁇
自分が好きだった漫画の中のような世界に転生出来るって⁈
嬉しいけど…これは一旦落ち着いてチートを勝ち取って最高に楽しい人生勝ち組にならねば!!
そう意気込んで転生したものの、気がついたら………
大切な人生の相棒との出会いや沢山の人との出会い!
そして転生した本当の理由はいつ分かるのか…!!
ーーーーーーーーーーーーーー
※誤字・脱字多いかもしれません💦
(教えて頂けたらめっちゃ助かります…)
※自分自身が句読点・改行多めが好きなのでそうしています、読みにくかったらすみません
支援者ギルドを辞めた支援術士の男、少年の頃に戻って人生をやり直す
名無し
ファンタジー
30年もの間、クロムは支援者ギルドでひたすら真面目に働いてきた。
彼は天才的な支援術士だったが、気弱で大のお人よしだったため、ギルドで立場を作ることができずに居場所がなくなり、世渡りが上手かった狡賢いライバルのギルドマスターから辞職を促されることになる。
ギルドを介さなければ治療行為は一切できない決まりのため、唯一の生き甲斐である支援の仕事ができなくなり、途方に暮れるクロム。
人生をやり直したいが、もう中年になった今の自分には難しい。いっそ自殺しようと湖に入水した彼の元に、謎の魚が現れて願いを叶えてくれることに。
少年だった頃に戻ったクロムは、今度こそ自分の殻を破って救えなかった人々の命を救い、支援者としての居場所を確保して人生を素晴らしいものにしようと決意するのだった。
転生令嬢の食いしん坊万罪!
ねこたま本店
ファンタジー
訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。
そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。
プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。
しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。
プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。
これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。
こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。
今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。
※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。
※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。
異世界転生したらよくわからない騎士の家に生まれたので、とりあえず死なないように気をつけていたら無双してしまった件。
星の国のマジシャン
ファンタジー
引きこもりニート、40歳の俺が、皇帝に騎士として支える分家の貴族に転生。
そして魔法剣術学校の剣術科に通うことなるが、そこには波瀾万丈な物語が生まれる程の過酷な「必須科目」の数々が。
本家VS分家の「決闘」や、卒業と命を懸け必死で戦い抜く「魔物サバイバル」、さらには40年の弱男人生で味わったことのない甘酸っぱい青春群像劇やモテ期も…。
この世界を動かす、最大の敵にご注目ください!
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる