愛は翼を授ける

Ⅵ

｢アルダーテ見て！　私、こんな物まで作れるようになった！｣

　手の上にあるのは緑の植物だ。
　アルダーテに教わり、丸石生成を習得して数日、急に魔法が上手くなった。自分でもまだ信じられない。

｢やっぱり。要領さえ得ちゃえば早いと思ったのよ。きっと先生の教え方が悪かったのね｣
｢アルダーテが上手なんだよ。ところで、あの時私に何をしたの？｣

　あのキスは、まさに魔法だった。披露会は成功し、他者の目も変わったのだから。
　それだけではなく、求めていた今があって、上手に笑ってもいるのだから。

｢特には。強いて言うなら、愛情を送り込んだってとこかな｣

　アルダーテらしい物言いに、頬が赤らむ。

｢……やっぱりアルダーテはロマンチストだ｣

　けれど、その表現も悪くない。

　アルダーテの前、紳士になりきり跪いた。スッと手を差し出し、目と目を合わせる。

｢ねぇ、アルダーテ。私と本物の恋人になってくれませんか？｣

　きょとんとしたのも束の間、アルダーテは迷いなく私の手をとった。

｢喜んで！｣