写る記憶と宝物

私は目が見えない。けれど、今は幸せだ。
それもこれも、妻の存在があるからだ。
それともう一つ、ある存在も。

私には、日課がある。
その一つが、妻の調理音で目を覚ますこと。
そして、もう一つが写真を撫でること。

しかし、それは妻との写真ではない。
――私の、初恋の人との写真だ。
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