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俺の親友は怒らない!
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目の前の親友二名を前に、俺は考える。因みに今は昼休みで、体育館裏にて食事をしているところだ。
考えの中心にいるのは、向かって右側にいる赤茶髪のおっとり系イケメン、キノコである。キノコと言うのは愛称で、出会った時には根付いていた。命名したのは向かって左側の黒髪無口男子、ミカらしい。
そんなキノコについて、俺が考えていること――。
「あのさ、キ」
「いたいたー! 椎名くん探してたんだよー」
数名の女子に会話を遮られ、少しムッとする。しかし、こういった事態は茶飯事ゆえ、対応はお手の物だ。
途中の弁当を包み、立ち上がったキノコへ手を振る。キノコも笑顔で小さく振り返した。
「行ってらっしゃーい」
「いつもごめんね、いってきます」
キノコは容姿端麗な上に性格も柔らかいと、女子人気がとにかく高い。それこそ有名人のようにファンがいるほどだ。
皆話したくて仕方ないらしく、昼休みに用事を持ってくるのは恒例だった。一応、見つからないよう場所を都度変更してはいるが、八割見つかっている。
「……ミカさ、キノコの怒った顔見たことある?」
「ないな」
「やっぱり?」
「今さらだろ」
――俺が考えていたこと。それこそが〝キノコは怒るのか〝との問いについてだった。
中学の頃から五年ほど時を共にしているが、彼の怒りに満ちた顔は拝んだことがない。それどころか、その片鱗さえも見たことがなかった。『怒りの感情がありません』と言われれば『はいそうですか』と認めてしまえそうなほどには記憶にない。
と言っても、キノコはロボットじゃあるまいし。
「なぁなぁミカ、キノコが怒ったとこ一回見てみたくない?」
同じ疑問を抱いたことは幾度とあったが、今日はなぜか静まらなかった。脳内にふわふわと、ある計画が巡りだす。
「あー、俺はパス」
企みが見破られたらしく、用件を告げていないのに一刀両断された。え~っと頬を膨らませながらも、予測内の反応ゆえ、そこで話を打ち切った。
そして、その日から俺の〝キノコを大激怒させようプロジェクト〟が始まった。
考えの中心にいるのは、向かって右側にいる赤茶髪のおっとり系イケメン、キノコである。キノコと言うのは愛称で、出会った時には根付いていた。命名したのは向かって左側の黒髪無口男子、ミカらしい。
そんなキノコについて、俺が考えていること――。
「あのさ、キ」
「いたいたー! 椎名くん探してたんだよー」
数名の女子に会話を遮られ、少しムッとする。しかし、こういった事態は茶飯事ゆえ、対応はお手の物だ。
途中の弁当を包み、立ち上がったキノコへ手を振る。キノコも笑顔で小さく振り返した。
「行ってらっしゃーい」
「いつもごめんね、いってきます」
キノコは容姿端麗な上に性格も柔らかいと、女子人気がとにかく高い。それこそ有名人のようにファンがいるほどだ。
皆話したくて仕方ないらしく、昼休みに用事を持ってくるのは恒例だった。一応、見つからないよう場所を都度変更してはいるが、八割見つかっている。
「……ミカさ、キノコの怒った顔見たことある?」
「ないな」
「やっぱり?」
「今さらだろ」
――俺が考えていたこと。それこそが〝キノコは怒るのか〝との問いについてだった。
中学の頃から五年ほど時を共にしているが、彼の怒りに満ちた顔は拝んだことがない。それどころか、その片鱗さえも見たことがなかった。『怒りの感情がありません』と言われれば『はいそうですか』と認めてしまえそうなほどには記憶にない。
と言っても、キノコはロボットじゃあるまいし。
「なぁなぁミカ、キノコが怒ったとこ一回見てみたくない?」
同じ疑問を抱いたことは幾度とあったが、今日はなぜか静まらなかった。脳内にふわふわと、ある計画が巡りだす。
「あー、俺はパス」
企みが見破られたらしく、用件を告げていないのに一刀両断された。え~っと頬を膨らませながらも、予測内の反応ゆえ、そこで話を打ち切った。
そして、その日から俺の〝キノコを大激怒させようプロジェクト〟が始まった。
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