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番外編1(新婚旅行編)
11(了)
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次に気がついた時、柔らかく紗を透かしながら目に入ってきたのは夜半の星空で。本当に一日、抱いてもらっていたのだと実感したジュゼが、実に今更ながらに恥じらうような吐息を漏らす。
情熱的な情交にぐちゃぐちゃに濡れて乱れていたことが嘘のように、すっかり清潔に乾いている寝台に指で触れながら、きちんと夜着を身に付けている自分の姿を妙な気分で確認する。そんなことをしている内に、ジュゼが目を覚ましたことに気付いたのだろう。傍らのレーヴェが、囁くような笑いをこぼしながらジュゼを優しく抱き締めた。
「まだ、朝は来ませんから。ゆっくり休んでくださいね」
いたわるように髪に口付けられ、動かない身体を抱き寄せられて幸福に浸る。そっと首筋を撫でる指の暖かさに目を細めれば、痛くはないですか? と。気遣う声をかけられた。
そう言えば、珍しく彼に噛み付かれたのだったと思い出して、自分でも首に指を触れてみる。寝ている間に治してくれたのか、痛みもなければ傷跡もないことを、どこか勿体ないとさえ思いながら、痛くないよとジュゼは笑った。
いつも優しいばかりの彼が、我を失うほどにジュゼを求めてくれるのが嬉しい。
「いつもはあなたを、性急に拓いてしまいますから」
休暇の間は、あなたをゆっくり気持ちよくしてあげますからね、と。そんなことを囁かれて。
いつも気持ちがよくてたまらないジュゼは、その言葉にきゅうと指を握り締める。たっぷりと堪能した快楽を思い出して、はふ、と。発情した息をこぼしてしまったことに気付いたレーヴェが、心配そうに微笑んだ。
「眠れそうですか?」
月の明かりと星の光に柔らかく照らされた寝台の中には、伴侶の気配と香りが満ちている。
安らぎと幸福ばかりを満たしたその空間で、とろりと笑ったジュゼはレーヴェの胸元に頬をすり寄せた。
「我慢、できるよ」
誰にも抱き締めてもらえなかった身体は、もうそんなことを忘れてしまうほどたくさん、彼に抱き締めてもらったけれど。それでもまだ、もっともっと抱いてもらいたいと、そう思う。
注がれた愛の分だけ、欲深くなってしまうような自分を恥じながら、ジュゼは愛しい悪魔の身体にそっと腕を絡ませた。
「だから、もっと。ぎゅっとしてて……」
すぐに抱き締め返してくれる、優しい腕に包まれて。安堵に心を満たされたジュゼが、甘いばかりの吐息を漏らして目を閉じる。
明日は何をしましょうか、と。問いかけてくれる穏やかな声に何と答えようか考えながら、ジュゼは幸福に笑った。
情熱的な情交にぐちゃぐちゃに濡れて乱れていたことが嘘のように、すっかり清潔に乾いている寝台に指で触れながら、きちんと夜着を身に付けている自分の姿を妙な気分で確認する。そんなことをしている内に、ジュゼが目を覚ましたことに気付いたのだろう。傍らのレーヴェが、囁くような笑いをこぼしながらジュゼを優しく抱き締めた。
「まだ、朝は来ませんから。ゆっくり休んでくださいね」
いたわるように髪に口付けられ、動かない身体を抱き寄せられて幸福に浸る。そっと首筋を撫でる指の暖かさに目を細めれば、痛くはないですか? と。気遣う声をかけられた。
そう言えば、珍しく彼に噛み付かれたのだったと思い出して、自分でも首に指を触れてみる。寝ている間に治してくれたのか、痛みもなければ傷跡もないことを、どこか勿体ないとさえ思いながら、痛くないよとジュゼは笑った。
いつも優しいばかりの彼が、我を失うほどにジュゼを求めてくれるのが嬉しい。
「いつもはあなたを、性急に拓いてしまいますから」
休暇の間は、あなたをゆっくり気持ちよくしてあげますからね、と。そんなことを囁かれて。
いつも気持ちがよくてたまらないジュゼは、その言葉にきゅうと指を握り締める。たっぷりと堪能した快楽を思い出して、はふ、と。発情した息をこぼしてしまったことに気付いたレーヴェが、心配そうに微笑んだ。
「眠れそうですか?」
月の明かりと星の光に柔らかく照らされた寝台の中には、伴侶の気配と香りが満ちている。
安らぎと幸福ばかりを満たしたその空間で、とろりと笑ったジュゼはレーヴェの胸元に頬をすり寄せた。
「我慢、できるよ」
誰にも抱き締めてもらえなかった身体は、もうそんなことを忘れてしまうほどたくさん、彼に抱き締めてもらったけれど。それでもまだ、もっともっと抱いてもらいたいと、そう思う。
注がれた愛の分だけ、欲深くなってしまうような自分を恥じながら、ジュゼは愛しい悪魔の身体にそっと腕を絡ませた。
「だから、もっと。ぎゅっとしてて……」
すぐに抱き締め返してくれる、優しい腕に包まれて。安堵に心を満たされたジュゼが、甘いばかりの吐息を漏らして目を閉じる。
明日は何をしましょうか、と。問いかけてくれる穏やかな声に何と答えようか考えながら、ジュゼは幸福に笑った。
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