【完結】夢魔の花嫁

月城砂雪

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番外編1(新婚旅行編)

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「ふふ、熱くなってしまいましたか?」
「……うん」

 赤くなりながら、そう素直に頷けば、膝裏に手を回してしっかりと抱きかかえて。このまま寝室に行くのかと思ったジュゼは身を丸くしたが、予想に反して、すぐに暖かな腕の中からは降ろされてしまう。きい、と。微かに軋む音を立てて身体が埋まったのは、どうやら木造りの寝椅子のようだ。
 先ほどちらりと視界に入ったそれは、思ったよりも大きなものであったらしい。柔らかな布と綿が敷き詰められた寝椅子はすっぽりとジュゼの身体を包んで安定させ、視界を空に固定する。目に映る綺麗な星空に目を惹かれていたら、重ね着の襟を大きくくつろげられてびくりと体が跳ねた。
 露になった首に口付けられ、肌着の隙間から差し入れられた白い指が肌を滑る感触だけで、たまらない気持ちになってしまう。
 あ、と。こぼれた喘ぎを攫うように風が吹いて、ここが屋外であることを改めて認識した体がざわざわとさざめき立った。

「ん、う。レーヴェ……」
「ここで、少しだけ。気持ちよくなりましょうね」

 ちゅう、と。吸われた首の肌がぴりりと甘美な痛みを訴えて、上がった吐息を飲み込むように、身を乗り出したレーヴェに深く口付けられる。
 差し出される甘い舌に、夢中になって自らの舌を絡ませていると、愛撫の指が胸元に回って。ぴくんとジュゼの腿が震えた。

「あふ、ふぅっ……んん……♡」

 ともすれば気持ちよくなり過ぎてしまう部分に伸びた指を咎めようとしても、ぴったりと合わせられた唇からは、制止の一言さえ紡げない。却って喉奥まで夫の舌を招き入れてしまった口内からはぞくぞくとした官能が込み上げ、注がれた唾液が伝う食道を淫らな熱で焼き焦がす。その間にも、容易く見つけ出された尖りをくりくりと弄られて、ジュゼはたちまちに快楽のわだかまる腰をくねらせた。
 いいように摘ままれ、捏ねるように弄ばれる乳首はあっという間に熱を帯びて、求めに応えるように乳を生成し始める。子が欲する以上の乳をこぼしてしまう体が恥ずかしくて仕方のないジュゼは真っ赤になって身をよじったが、その程度の身じろぎでは、快楽を逃がす手助けにもならない。すっかり発達してしまった乳腺によって微かに柔く肉のついた胸部全体を揉み込むように搾り上げられて、しなる体がピンと伸びた。

「んぅっ! ん、んぐっ、んあぁ♡ だめ、あ、だめ♡ あっ、あっ! だめ、あっ、出ちゃ……っ♡」

 喉からずるりと舌を引き抜かれる感触にも震えながら、取り乱した嬌声が上がる。だめ、と。口にできた時にはもう手遅れで、か細く噴き上がった乳の白い飛沫を目にしてしまったジュゼの体全体が打たれたように跳ね上がった、

「あ、あ、ああ♡ や、やっと、止まったのに……あっ⁉ ぁん♡」
「我慢しなくていいんですよ。赤ちゃんがお腹にいる内は、自然に止まるものですからね」

 それまでは私にください、と。冗談めかして笑ったレーヴェに、濡れた乳首を咥えられて。じゅわりと灼けるような快楽が脳内に火花を散らして、何も考えられなくなってしまう。
 自分の耳にも喜んでいるとしか思えない嬌声が甘く響き、ちゅうちゅうと吸われる度に腰が跳ねてビクついた。

「ふふ。今なら私が、独り占めできますね」
「あぁっ♡ あ、あ、あああ♡ あ、だめ、そんな♡ あ、あ、だめ、とま、止まんなく、~~~っ♡」

 ガクガクと体が痙攣して、挿入をねだるように開いてしまった足の間に膝を入れたレーヴェは、柔らかな曲線を描いてしなった背に片腕を差し入れて抱き締めながら乳首にむしゃぶりつく。逃げ場のない快楽に泣き喘いだジュゼに追い打ちをかけるように、放っておかれていたもう片方の乳首に白い指が伸びた。
 体の芯の官能を煽り立てるような舌遣いに翻弄されて、ジュゼの喘ぎ声が獣の響きを帯びる。ぬめぬめとした舌と、繊細な指に弄ばれる二つの粒から溢れる快楽は止めどなく、弾む体がギシギシと寝椅子を軋ませた。

「あっ、ああぁっ⁉ や、なんか、入って……あう、あっ♡ あぁっ♡」

 とろり、と。ぬめる感触と共にたっぷりとまぶされた唾液の熱に感じ入った乳首の乳腺を辿るように、ぬめる感触が胸の奥まで忍び込む。ぱくりと口内に取り込まれた乳首がどのような責めを味わっているのかを目視することは出来なかったが、胸の内側と外側を同時に舐めしゃぶられるようなあり得ない快楽に、まだ触れられてもいない全身がビクビクと震えた。
 唇一つに狂わされた身体は成す術なく悶え、断続的に跳ね回ることで苦しいほどの快楽を訴えることしかできない。ジュゼは背を固く抱き込まれながら腰をくねらせて、雄の耳を楽しませる甘い喘ぎを叫び散らした。

「あっ♡ あ~~~♡ あぅっ、なか、すご……っ!」

 胸の内側を嬲っていた生々しい感触が、ずるりと音を立てるほどの刺激を残しながら抜け落ちていく。いやらしい刺激に高められた乳首から噴き出した乳までを唇で受け止め、残滓までをも舐め啜って。ようやくその魅惑の唇が離れる頃には、ジュゼの体はすっかり弛緩していた。
 ふうふうと甘い息を吐きながら、くたりと力を失った体を投げ出して、蕩けた瞳に恋しい夫の姿をぼんやりと映す。すっかり開いてしまった股の間では、乱されてもいない服の下にトロトロと透明な粘液が溢れて、充血した媚肉が雄を求めて疼いていた。

「レーヴェ……あっ、ぅ♡ つ、つづき……♡」
「ふふ、だめですよ。明日は、魚を見に行くんでしょう?」

 これ以上は、あなたを起きられなくしてしまいますからね、と。優しいばかりの声に囁かれて、興奮しきった体がゾクゾクと反応してしまう。
 今すぐにでも奥に欲しいと、ジュゼの理性の及ばない場所にある本能が囁くままに、淫らに腰を揺らす様を見下ろしたレーヴェがとろりと甘い瞳で微笑んだ。

「では、せめて。今夜はあなたが眠れるまで、お相手しましょうか」

 そう告げられるなり、指で嬲られるばかりだった側の乳首に吐息が触れて。今味わったばかりの快楽の再来の気配に、ジュゼの背が期待に粟立つ。
 伸ばされた舌が触れるまでの一瞬が、永遠のように長く感じて。官能の涙に潤んだ視界に星を滲ませながら、ジュゼは従順に胸を差し出してその瞬間を待った。
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