【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです

果実果音

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第二話

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あれから3年。


特に大した進展が無いまま学園生活え突入しようとしている。



私も遂に15歳。
学園に入る歳になったのね。

これまでも家庭教師がついて学んできたけれど、学園では、子供としての社交界より一歩進んだ付き合い方を理解していく。

もちろん学習もある。ここから3年間学び、18歳の時に更に2年間学ぶかどうか決めるわけだけど、そういう人は学者系の人だから私は3年で終わりかな。



コンコン。

「お嬢様、失礼してもよろしいでしょうか。」


「はい、どうぞ。」


ガチャ。

「それでは、失礼致します。こちら、コールズ様からです。是非、学園生活の一部にして欲しいとはおっしゃってませんが、プレゼントです。」

「ふふっ、学園生活の一部だなんて、確かに、毎日つけるものではあるわね。でも、そんなつもりで贈られたんじゃないと思うわよ?きっと婚約者である私が恥をかかないように贈ってくださったんだわ。」


そう、このプレゼント__リボンは私が在学中に着けるものだ。

何故だか分からないがこの学園は婚約者がいる女子生徒はいただいたリボンを着ける慣習がある。

ラディネリアン様は律儀な方だから贈ってくださった。


「そうですかね?それにしては、中々凝ったデザインだと思いますけど.....。」

「そうね、きっと一生懸命選んでくださったのには間違いないわ。感謝の手紙を送りたいからまた後で取りに来て欲しいわ。」

「かしこまりました。では、失礼させていただきます。」









うーん、一体どのレターセットにしましょうかしら。このリボンのようなデザインのようにキラキラしたものが良いわよね。


........あ、これが良いわ。



いや、でも待って、インクがキラキラしたものがいいかしら。流石に両方がそれなのはくどいと思うし........。


そうだわ、これがあった。リボンに薔薇があしらわれているから、隅に薔薇のイラストがある手紙にしましょう。
それで、インクをキラキラしたものにすれば完璧よ。




なんて、毎回手紙の内容だけじゃなくて書くところから悩んでいるけれど、そんなことをしてもお母様やお父様のようにはならないとは分かっているわ。


それでも、私たちなりにね、うん、それなりの関係を築けていると思うし。




一言二言しかないのは変わらずだけど。




『ラディネリアン様へ

素敵なリボンを贈ってくださってありがとうございます。

このリボンを着けての学園生活が楽しみです。もちろんラディネリアン様と過ごせることも。

ラディネリアン様の婚約者として恥ずかしくないように、精一杯精進して参りますので、これからもよろしくお願いします。

 ............』


よし、こんな感じで良いわよね?



コンコン。

「お嬢様、手紙を受け取りに来ました。入ってよろしいですか?」

手紙を書き終え、読み返したところに来るだなんて、さすがね。

「ええ、もちろん。」

ガチャ。

「失礼致します。」

「それじゃあ、これをお願い。」

「かしこまりました。特急で届けてきますか?」

「いえ、もう、夜も遅いから明日で大丈夫よ。ラディネリアン様も分かってくださるわ。」

「了解です。それでは、お嬢様、ゆっくりお休みになってください。」

「ありがとう。貴女も休んでね。おやすみ。」

「ありがたきお言葉です。」











まだ、始まるまでに時間があるからハンカチに薔薇の刺繍を施してラディネリアン様に贈ってみようかしら。


そう思いつつ眠りについた。
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