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第2話
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翌朝、会社に向かう電車の中。私は昨夜の占いのことを思い出していた。中村さん、ちゃんと上司に話せるかしら。
「姉ちゃん、今日も遅くなる?」
朝、健太が不安そうに聞いてきた顔が脳裏に浮かぶ。
「ごめんね、今日も少し遅くなるの。でも、冷蔵庫にお弁当作っておいたから」
こんな生活、いつまで続くのかな。ふと、そんな思いが頭をよぎる。
オフィスに到着すると、妙な緊張感が漂っていた。視線を向けると中村さんの姿が見当たらない。
「ねえ、中村さんのこと知ってる?」
「うん、今朝一番に部長室に呼ばれたんだって」
同僚たちの囁き声が耳に入る。私は静かに自分の席に着き、パソコンを起動する。表情を変えないよう気をつけながら。
「紡木さん、この書類お願いね」
隣の佐藤さんが笑顔で話しかけてくる。いつもの日常。でも今日は、どこか緊迫感を感じる。
午前中の仕事を終え、ちょうどお昼休憩に入ろうとしたその時。
「あの...みなさん、少しお時間いただけますか」
振り返ると、そこには中村さんが立っていた。顔色は悪いけれど、目には決意の色が見える。
「私、昨日の件で...皆さんにご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした」
中村さんが深々と頭を下げる。オフィス中が静まり返る。
「でも、これからしっかり挽回させていただきます。今朝、部長とも話し合って...」
中村さんの声に力強さが戻っている。私は静かに彼女を見つめながら、胸の内でほっと安堵のため息をつく。
「よかった...」
思わず声に出しそうになり、慌てて口を押さえた。幸い、誰も気づいていない。
昼休憩。いつもは一人で食べる弁当だけど、今日も社員食堂へ。
「ねえ、中村さん、驚いたよね」
「うん、あんなに堂々と謝れるなんて見直しちゃった」
「部長も、彼女の誠実さを評価したんだって」
周りの会話に耳を傾けながら、私は静かに箸を進める。
午後の仕事中、中村さんの様子を何度かチラ見した。彼女は真剣な表情で仕事に取り組んでいる。その姿に、何だか誇らしさのようなものを感じた。
「紡木さん、これ分かりますか?」
ふと、中村さんが話しかけてきた。普段はあまり会話のない私に。
「ええ、どうしました?」
「紡さん、代替案考えるの得意って聞いたから。ここの経費抑える方法ない?」
中村さんの目が、真剣だ。私は静かに頷き、彼女の隣に座る。
「ああ、はい。では、ここをこれにすると...」
説明しながら、私は中村さんの変化を感じていた。昨日までの暗い雰囲気は消え、前を向こうとする強さが感じられる。
「ありがとう、紡木さん。助かりました」
中村さんが笑顔で言う。その笑顔に、私も思わずつられて微笑んでしまう。
仕事を終え、「月光堂」に向かう途中。私の頭の中では、中村さんのことが離れなかった。直接的な運命操作はしなくても、言葉の力だけで人は変われる。そう実感していた。
店に入ると、いつもの薄暗い店内。今日は、何だかいつもより温かく感じる。
「よう、今日も頼むぜ」
店主の声も、少し優しく聞こえた気がした。何人か占い、今日もバイトを終えた。
月光堂での仕事を終え、夜遅くに帰宅する。玄関を開けると、リビングの明かりがついていた。
「健太。まだ起きてたの?」
「姉ちゃん、おかえり。今日のテスト、100点だったんだぜ!」
健太が嬉しそうにテストを見せてくる。疲れていたはずなのに、その笑顔を見ると心が温かくなった。
「すごいじゃない!おめでとう。明日はお祝いにケーキ買って帰るね」
健太と少し話をして、お風呂に入って、やっとベッドに横たわる。今日は色んなことがあったな。中村さんのこと、仕事のこと、そして健太のこと。目を閉じると、すぐに眠りに落ちた。
翌朝。会社に着くと、なんだか様子が違った。
「ねえねえ、聞いた?うちの会社のこと、テレビで取り上げられるんだって!」
「えー、マジで?なんで?」
ざわめく社内。私は静かに自分の席に着きながら、状況を把握しようとする。
「紡木さん、おはよう!」
中村さんが明るい声で挨拶してくる。昨日までの暗い雰囲気が嘘のようだ。
「おはようございます。今日は騒がしいですね」
「ええ!昨日の代替案がクライアントから好評みたいで。実は...」
中村さんが嬉しそうに説明を始める。どうやら、彼女が昨日提案した改善策が思わぬ効果を生み、会社の評判を上げることになったらしい。
「中村さん、良かったですね」
思わず言葉が口をついて出る。中村さんが照れくさそうに笑う。
「ありがとう。紡木さんのおかげね。あ、そういえば...」
中村さんが急に声を潜める。
「実はこの前、占いに行ったのよ。その占い師さんのアドバイス通りに自分を変えたらさ...」
私は平静を装いながら聞いている。まさか、私のことだとは気づいていないだろうけど。
「へえ、そうなんですね」
「ええ!本当に当たる占い師さんで。紡木さんも行ってみたら?」
「ええ、はい...機会があれば」
気まずく笑いながら答える。
昼休憩。社員食堂で食事をしていると、周りで「月光堂」の噂が飛び交っていた。
「あそこの占い、本当に凄いらしいよ」
「中村さんがアドバイスもらったんでしょ?」
「私も行ってみようかな」
ああ、こんなにも話題になってる……
午後の仕事中、上司が私の元にやってきた。
「紡木君、最近の君の仕事ぶりは素晴らしいよ。中村くんも、助けられたと言ってたし」
「あ、ありがとうございます」
驚きを隠しきれなかった。普段はあまり目立たないように気をつけていたのだけど。
仕事を終え、いつものように「月光堂」に向かう。
店に入ると心なしか、いつもより客が多く感じた。まあ、こういう時もあるだろう。
占いをしながら私は考え続けていた。これから私はどうなっていくのだろう。そして、この能力をどう使っていけばいいのか。
その夜、健太とケーキを食べながら、私は密かに誓った。この力で誰かを幸せにできるならそれは良いかもしれない。でも、決して運命を大きく歪めることはしない。なるべく使わずに誰かを救っていけるなら。それが1番、それが私なりの答えだった。
「姉ちゃん、今日も遅くなる?」
朝、健太が不安そうに聞いてきた顔が脳裏に浮かぶ。
「ごめんね、今日も少し遅くなるの。でも、冷蔵庫にお弁当作っておいたから」
こんな生活、いつまで続くのかな。ふと、そんな思いが頭をよぎる。
オフィスに到着すると、妙な緊張感が漂っていた。視線を向けると中村さんの姿が見当たらない。
「ねえ、中村さんのこと知ってる?」
「うん、今朝一番に部長室に呼ばれたんだって」
同僚たちの囁き声が耳に入る。私は静かに自分の席に着き、パソコンを起動する。表情を変えないよう気をつけながら。
「紡木さん、この書類お願いね」
隣の佐藤さんが笑顔で話しかけてくる。いつもの日常。でも今日は、どこか緊迫感を感じる。
午前中の仕事を終え、ちょうどお昼休憩に入ろうとしたその時。
「あの...みなさん、少しお時間いただけますか」
振り返ると、そこには中村さんが立っていた。顔色は悪いけれど、目には決意の色が見える。
「私、昨日の件で...皆さんにご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした」
中村さんが深々と頭を下げる。オフィス中が静まり返る。
「でも、これからしっかり挽回させていただきます。今朝、部長とも話し合って...」
中村さんの声に力強さが戻っている。私は静かに彼女を見つめながら、胸の内でほっと安堵のため息をつく。
「よかった...」
思わず声に出しそうになり、慌てて口を押さえた。幸い、誰も気づいていない。
昼休憩。いつもは一人で食べる弁当だけど、今日も社員食堂へ。
「ねえ、中村さん、驚いたよね」
「うん、あんなに堂々と謝れるなんて見直しちゃった」
「部長も、彼女の誠実さを評価したんだって」
周りの会話に耳を傾けながら、私は静かに箸を進める。
午後の仕事中、中村さんの様子を何度かチラ見した。彼女は真剣な表情で仕事に取り組んでいる。その姿に、何だか誇らしさのようなものを感じた。
「紡木さん、これ分かりますか?」
ふと、中村さんが話しかけてきた。普段はあまり会話のない私に。
「ええ、どうしました?」
「紡さん、代替案考えるの得意って聞いたから。ここの経費抑える方法ない?」
中村さんの目が、真剣だ。私は静かに頷き、彼女の隣に座る。
「ああ、はい。では、ここをこれにすると...」
説明しながら、私は中村さんの変化を感じていた。昨日までの暗い雰囲気は消え、前を向こうとする強さが感じられる。
「ありがとう、紡木さん。助かりました」
中村さんが笑顔で言う。その笑顔に、私も思わずつられて微笑んでしまう。
仕事を終え、「月光堂」に向かう途中。私の頭の中では、中村さんのことが離れなかった。直接的な運命操作はしなくても、言葉の力だけで人は変われる。そう実感していた。
店に入ると、いつもの薄暗い店内。今日は、何だかいつもより温かく感じる。
「よう、今日も頼むぜ」
店主の声も、少し優しく聞こえた気がした。何人か占い、今日もバイトを終えた。
月光堂での仕事を終え、夜遅くに帰宅する。玄関を開けると、リビングの明かりがついていた。
「健太。まだ起きてたの?」
「姉ちゃん、おかえり。今日のテスト、100点だったんだぜ!」
健太が嬉しそうにテストを見せてくる。疲れていたはずなのに、その笑顔を見ると心が温かくなった。
「すごいじゃない!おめでとう。明日はお祝いにケーキ買って帰るね」
健太と少し話をして、お風呂に入って、やっとベッドに横たわる。今日は色んなことがあったな。中村さんのこと、仕事のこと、そして健太のこと。目を閉じると、すぐに眠りに落ちた。
翌朝。会社に着くと、なんだか様子が違った。
「ねえねえ、聞いた?うちの会社のこと、テレビで取り上げられるんだって!」
「えー、マジで?なんで?」
ざわめく社内。私は静かに自分の席に着きながら、状況を把握しようとする。
「紡木さん、おはよう!」
中村さんが明るい声で挨拶してくる。昨日までの暗い雰囲気が嘘のようだ。
「おはようございます。今日は騒がしいですね」
「ええ!昨日の代替案がクライアントから好評みたいで。実は...」
中村さんが嬉しそうに説明を始める。どうやら、彼女が昨日提案した改善策が思わぬ効果を生み、会社の評判を上げることになったらしい。
「中村さん、良かったですね」
思わず言葉が口をついて出る。中村さんが照れくさそうに笑う。
「ありがとう。紡木さんのおかげね。あ、そういえば...」
中村さんが急に声を潜める。
「実はこの前、占いに行ったのよ。その占い師さんのアドバイス通りに自分を変えたらさ...」
私は平静を装いながら聞いている。まさか、私のことだとは気づいていないだろうけど。
「へえ、そうなんですね」
「ええ!本当に当たる占い師さんで。紡木さんも行ってみたら?」
「ええ、はい...機会があれば」
気まずく笑いながら答える。
昼休憩。社員食堂で食事をしていると、周りで「月光堂」の噂が飛び交っていた。
「あそこの占い、本当に凄いらしいよ」
「中村さんがアドバイスもらったんでしょ?」
「私も行ってみようかな」
ああ、こんなにも話題になってる……
午後の仕事中、上司が私の元にやってきた。
「紡木君、最近の君の仕事ぶりは素晴らしいよ。中村くんも、助けられたと言ってたし」
「あ、ありがとうございます」
驚きを隠しきれなかった。普段はあまり目立たないように気をつけていたのだけど。
仕事を終え、いつものように「月光堂」に向かう。
店に入ると心なしか、いつもより客が多く感じた。まあ、こういう時もあるだろう。
占いをしながら私は考え続けていた。これから私はどうなっていくのだろう。そして、この能力をどう使っていけばいいのか。
その夜、健太とケーキを食べながら、私は密かに誓った。この力で誰かを幸せにできるならそれは良いかもしれない。でも、決して運命を大きく歪めることはしない。なるべく使わずに誰かを救っていけるなら。それが1番、それが私なりの答えだった。
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