おやすみご飯

水宝玉

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出汁巻き玉子と豚の角煮

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「お久しぶりです。その節は…どうも」
「ふふ。
俺にはわからないやり取りだけど、どこか楽しそうな一真と店主のやり取りを眺めているのは悪い気はしない。
俺にも軽く会釈をする店主に、ビールを二つ注文する。
かしこまりました、と微笑んで店主が立ち去っていく。

「…確かに、良い店だな。なんか落ち着く感じするわ」
「だろ?飯がさ、また美味いんだよ。なんかホッとするっていうか」
何食う?と男二人でメニューを覗き込む。
「あー、なんかさぁ、ガッツリしたもん食いたい」
「分かるわぁ…でもさ、俺ここ最近出前で揚げ物続いてて」
「分かる…なんかさぁ、頼んじゃうよなアレ…」
うちの会社は残業続きになると部署でまとめて出前を取ったりする。別に揚げ物じゃ無いものもあるんだけど、何故かついついテンションで揚げ物頼んじゃうんだよなぁ。
「お、これとかどう?」
「あ、良いね。あと俺出汁巻き玉子食いたい」
店に漂う良い香りに誘われて出汁を含んだものが欲しくなる。
「いいね」
ほどなくビールを運んできた店主に料理を注文する。
よく冷えたビールにはきめ細かい泡が乗っていて思わず喉が鳴る。
軽く二人でグラスを合わせて一気にビールをあおる。
…………プハァ。
口に着いた生クリームのような泡をぺろり。
ちょうど目が合った店主にビールの追加と枝豆を頼む。
「あー………うまぁ」
「仕事後のビールまじしみるわぁ………」
しばし二人でしみじみとビールの旨味を堪能する。
すぐにビールのお代わりが来た。2杯目からは少しゆっくりと飲み進めながら頼んだ枝豆を少しずつつまむ。

「良い店だな」
「だろ?」
店主が一人で切り盛りしているとは思えない程に注文はスムーズだ。ビールもうまい。
冷え具合と泡のきめ細やかさが絶品だ。
「なんか、ほっとするわ」
「それな。つっても、俺もまだ2回目なんだけど」
「あ、そうなん?」
「おう。でも、なんだろ、ここ来るとさぁ、なんかあー帰ってきたわーって感じする」
「ははっ。なんかちょっとわかるかも」
枝豆をプチプチと摘みながらたわいもない話を話す。
「……つーか、お前には言っとこうかと思って。俺、来月あたりちょっと長めに有給取るんだわ」
「え、まじ?」
「おう、んで、俺が居ない間の引き継ぎお前に頼もうかと思っててさ」
「えぇ!?」
「お待たせしました。だし巻き卵と豚の角煮です。取り皿こちらに置いておきますね」
タイミングが良いのか悪いのか。
店主が運んできた料理は美味そうな湯気をたてている。
だし巻き卵は見て分かるくらいふわふわでぷるぷる揺れているし、豚の角煮にはご丁寧に二つに割られたゆで卵と辛子が添えられている。

「お、きたきた。ここ、料理も美味いんだぜ。先ずは食おう」
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