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魔国編

30 決着の時 !!?

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タイクロノスと元女神だった彼女の方で爆発が起きた

「なんだ !!」
「タイクロノス !?」
「お二人共、何か来ます !!」

セバスさんがそういった瞬間、土煙の中からこちらに向かって飛んでくる影が見えた
その影はセバスさんに剣で薙ぎ払われ横へと転がっていく
土煙が落ち着いた頃、誰が転がってきたのか見ると、年老いた女性がいた

「誰だ、あれは」
「もしかしてナナミ…なの」
… そうだ、愛しい子よ …
「タイクロノス !! 無事でよかったわ」
… 我の心配をしてくれたのか、気にすることは無い愛しい子 …
「リアは俺の愛しい人だ、その愛しい子という呼び方はやめてもらおうか」
「リ、リオン」
… ふっ、なんとまぁ、愛されているな時の子よ …
「タイクロノス…」
「それよりアレは何でしょうか」

リオンがタイクロノスに睨みを聞かせている姿にタイクロノスは嬉しそうに慈しむ微笑みを私に向けそう呟いた
愛しい子と呼び続けていたのを[時の子]と言い換えてまで私の事を本当に考え見守ってくれている
そんな空気の中セバスさんが警戒をとかず、ずっと見ていた存在の事を聞いてきた

… ああ、アレは体の持ち主だ。我に向かって魔力をぶつけてきたので吹き飛ばした者だ …
「ナナミが攻撃したってことよね」
… そうだ、元々の体の魂の持ち主が我を排除しようと魔力を使ったようだが、我等神に人の魔力など効かぬからな、そのまま反したところ吹っ飛んだようだ …
「あの、女神だった人は ??」
… 時の子が神として生きる時間を止めたのだ、同化したモノをまた解除する力も無くなったのだろう、普通の人が神の力を使うなど到底出来ぬこと、それをしていたのだ身体を酷使し続けていたことは明白、その為本来の人の身体を保つことすら出来なくなったからかあのような姿になったようだぞ …
「タイクロノスが何かしたわけでは…ないのね」
… 我が手を出すほどのことではないからな、我にしてきたことを返したそれだけだ、 …
「そっか」
「だとするとあの老婆の中には未だに女神だった者と本来の2つの魂が入っているということ ?」
本気まじあ、たしかにサキが言う通りそういう事よね」
… そうだ、あの身体の中には2つの魂が混ざりあったまま、まだに入り続けているようだ。だか、全ての魔力を使い我を攻撃してきたのだ、全ての魔力など使わければあそこまで老いることなどなかったのだが、自業自得だろう …
「と言う事は、彼女は魔力が今全く無い状態で、これから先一生あのままなのね」
「そうなるのね」
「なら今のうちに処分したほうが良いのでは」
「骨すら残さず消し去ればいいだろう」
「ま、待ってセバスさんリオン !? それはやり過ぎな気もするんだけど !!」
「いえ、それでは気が済みませんね、今までサキが味わった苦痛を経験させてから消せばよいではないですか」
「キールも駄目 !!」

やいのやいのと私とサキは怒り心頭のみんなをお仕留めながら何とか落ち着かせこれからのことを話そうとしたが、僅かにズズッと何か動く音がして私は振り返り老婆になったナナミを見た

「そ、こはわ、たしのばぞなのに…なんで悪役れ、いじょうが…」
「…貴女はすべて間違えたのよ、前世も今世も」
「わた、しはみんな、に愛さ、れるべき、人間なの」
「その考えを直さない限りあなたは幸せには絶対なれないわ」
「あ、あ…リ、オ、ン…わたし、の…リ、オン」

必死に手を伸ばす姿に今まで酷いことをされたのに悲しい気持ちだけが湧き上がり私は、体を引きずって近付こうとするナナミを只々見つめた

「どうし、て、彼も、リオ、ンもなせ、ワタ、シをあ、いさ、ないの」
「………」
「貴様の言う愛はただの紛い物の思いだ」
「…あ、あ」
「紛い物が本物に勝てるはずもないですね」
「な、んで…」

ポロポロと涙を流し伸ばしていた手を下ろし俯くナナミに私は近づいた
それを止めようとしたリオンをセバスさんが止め頷いてくれた

「貴女がやったことは赦されることではないし、許せることじゃない…でも、貴女がホントに心から願うなら…」
… 時を与えるのか ? …
「タイクロノス…お願い」
… 仕方あるまい、時の子が望むならわれは叶えてやらねば …

タイクロノスがそう言うと私の体に神力、マナが巡る
その力を使い私は老婆となったナナミに向け願った

「心から悔い改め今再び時を望む者に時の力を与えん」

そう願うと、私からナナミへと力が流れ包み込み、やがて砂の様にサラサラ消えていった…

… やはり、無駄だったようだな …
「どうして…分かってくれなかったの」

私が願った、悔い改め、また生きようと願う事をしなかったナナミは時の力により更に時を奪われ消えていってしまった
私は、それが理解できず、自分が初めて人を死へと導いたのだと分かり後悔と恐怖に襲われ涙を流した
ゆっくりと後ろから近付いたリオンが私を強く抱きしめ只々黙って涙を拭ってくれた…
私はそれに身を任せ涙から枯れるまでその場で周りのことなどもう何もわからぬまま泣き続けた
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