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魔国編

22 世界樹は…

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私達の目の前にある世界樹は枝木が折れ葉が茶色く染まり落ち始めドス黒く侵食するように染まっていく世界樹の姿だった

「これは…」
「世界樹が穢れてく…」
「そんな !!」

サキの一言に私は大きな声を上げサキを見た

「世界樹、あの大きな木の真ん中辺りから淀んだ黒い靄が見えるの…、あれはさっきあの男の人に纏っていたものと同じよ」
「セルティックが纏っていたものと同じ…」
「しかも外からじゃなく中からの侵食なのでおそらく…」
「………世界樹が死んでいく…」

セバスさんが小さく呟いた声が聞こえ振り向く。
視界に入ったセバスさんの顔は今まで見たことの無い顔だった…
悲しみ、哀しみ、苦しみ、怒り、絶望、後悔、諦め
何もかもがグチャグチャと混ざった感情を頑張って押し込めたそんな顔をしていた




「あははははははははははは !!」

グワンッ…と空気が歪むような感覚がおきどこからか笑い声が聞こえる
私達は警戒しそれぞれ武器を構えた
サキが言った世界樹の真ん中辺りの幹から液体のような、固体の様な、気体のような…表現しづらい何かがズルリと出てきた

「ふ、ふふ、ふふふふふ !!」

それが完全に世界樹から抜け出た瞬間私の横から突風が吹いた、それと同時に黒い大きな影が見えたのは見間違えなどではなく…
ゲームで見た聖獣、巨大な黒豹が笑い声を上げている物体へと爪を振り下ろしているのが見えたからだ

グルァァァー !!

悲鳴とも怒声とも言える声を上げながら振り下ろした腕はそのまま世界樹にのみ当たりその一部分だけ1m範囲で崩れた

「あはははははは !! 当たらないよ !! 私を傷つけることなんて誰にもできないのよ !! キャハハハハハハ !!」

未だに愉快で仕方がないと言わんばかりに笑い声を上げ続ける物体はやがて人形になっていき姿を表した
徐々に色が付きそれがなのかすぐに分かった

「ナナミ…」
「キャハハハハハハ !! 久しぶりね !! マリアン・カーリヒルトォォォーーー !!」

笑顔だった顔がスンと真顔になり叫ぶように私の名前を呼ぶ
最後に見たのは森でリオンに前世のことを話していたときの姿…容姿はそのままだけれど着ているものは違う…
簡単に言うとギリシャ神話に出てくる女神の衣装…
金髪青目の綺麗な容姿に真っ黒のギリシャ神話に出てくる女神の衣装で靄のような透き通る天女の羽衣のようなものを纏っているその姿は旗から見たら女神ではないかと思えてしまうほど美しく見える
だけれど彼女から感じるものはそんな可愛いものではなかった

「私はあの時アンタに殺された」
「リアじゃなく俺が殺した」
「ううん、分かってるのリオン。その女のせいでリオンは私とじゃなくてその女と夫婦になったのよね。その女がちゃんと役割を果たさないから、あの女と同じように邪魔をするから私から離れたのよね。そうよ、だから全てその女が悪い、その女を殺せば全て元通りになってリオンもセバスチャンもセルティックもみんな、みんな戻ってくるんだから…だからだからだからだから…」

「『私のために死になさいよ』」

リオンを見て微笑んだあと私の方へ視線をずらし無機質な何かのような瞳で私を…
否、を見つめてきた…
最後の言葉にはナナミとは全く違う声がまじりサキの時と同じように二重に聞こえ、靄の羽衣がナナミを包むように蠢き始めナナミの容姿を少し変えていく
靄の羽衣が元に戻る頃、ナナミの容姿は完全に変わっていた
20歳位の年齢に出るところは出て引き締まるところは引き締まる、妖艶な大人の女性の姿…
髪と瞳の色は変わらないものの顔の形も大人び見る者全てを誘い込むようなオーラを出す人物へと姿が変わっていた

「あれが…ナナミなの ?」
「セバス !! リア下がれ !!」

リオンが声を掛け私の腰を引きバッと後ろに下がった瞬間…
私達がいた場所には黒い玉が当たりその一部分を変色させ全てが枯れたようになっていた

「な、にこれ…」
「怪我はないか、リア ??」
「う、うん…皆は !?」

バッと周りを見渡すとキール様とサキは一緒に避け、セバスさんが避けた場所の近くに避けたカイルがセバスさんの近くへと走り寄って行く姿が見えた
そのことに安堵しホッと一息ついた瞬間、彼女は…私とリオンの目の前に来ていた











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