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魔国編
17 再会と…
しおりを挟む「『貴方達に光と癒やしを』」
シャオロン達と打ち解けあっていると前から声が聞こえ私は視線を向けた
重く疲れていたはずの体が軽くなる感じがしリオン達の方を振り向くとそれぞれが淡く光その光が体へと吸い込まれていくと怪我や傷、汚れなどが綺麗になっていった
「『今はまだこの子達を元の世界に戻す事はできません。彼の世界と同じ世界樹の元で彼の世界へ送りましょう』」
「貴女は…誰ですか ?」
キール様が先の元へ少しずつ近付き声を掛ける
その様子を誰かは見つめた後、微笑んだ
「『私と彼女は2つで1つ、1つで2つの存在。そして最も近き者』」
「貴女はサキでありサキではない者ということですか…」
「『そうですね、ですが安心してください。再び舞い降りる時、私は彼女と2つになりそれぞれの道を歩きますから』」
「……サキに負担は無いのですね」
「『ええ』」
「分かりました」
「『私はそろそろ彼女の中で眠ります』」
そう言ってキール様から私へ視線を移した
「『彼等の新たる主となった子よ』」
「はい」
「『この先貴女は古に召喚された彼女との約束を果たさねばなりません』」
そう言われ思い出すのは彼女と最後に約束した事…
ーーーーーーー
本を読む時貴女はもう4人が入った魔石を持っているはずよね
あの子は貴女に話したかしら ? 真面目な性格で優しくていい子だけどとても臆病な子なのよ
いつも私の側で丸まって寄り添っていたもの
でももぅ大人になって聖地の主として存在しているから大丈夫よね
そうそう、貴女達がここに来ることはこの世界に来て貰ったスキルの1つ未来視でみたからこの日記を残すことにしたの
貴女が無事悪役ヒロインを追い払いここに来る…そんな未来
貴女には大変なことを頼むことになるわ
貴女にたくした4人を目覚めさせ、契約し世界樹を【大いなるマナ】を癒してほしい
このままではゲームでは存在しなかったモノが存在し
世界樹もこの世界も…連なる2つの世界も全て滅びてしまうかもしれない
そうならない為に、連なる世界に存在する彼等の力を借り
存在しなかったモノを止め、帰し
この世界を…
私の愛したもの全てを守って下さい
その頃には私はもう既に存在していないから
ーーーーーーー
「ウォンティ達の力を借りて世界樹である【大いなるマナ】を癒やす」
「『そうです。そして…』」
「本来はこの世界に存在しないモノ…。セルティックに穢を与えた存在を止める事」
「『……私達神の理の後始末を貴女達に押し付けてしまう事になりごめんなさい』」
「…いえ、大丈夫です」
「『ですが』」
「神様のおかげで私は大切な人に出会えましたから気にしていません。きっとその彼女も」
「『ありがとう』」
「いえ」
「『それでは私は眠ります』」
「はい」
「『またその時が来るまで』」
彼女の中の誰かにそう言われたとき自然と言葉が出てきた
「おやすみなさい。また明日…」
私が言った言葉に一瞬目を見開いた後眩しそうな顔をして目を閉じた彼女はグラリと体が傾き倒れそうになったところをキール様が急いで抱き留めた
体に何処か異変はないか軽く触りながら探し何処も異常がないと分かり深いため息を付きキール様は彼女を強く抱きしめた
「サキ…」
何度目か…キール様がそう彼女の名前を呼ぶとピクリと瞼が動きゆっくりと瞼が上がっていった。2人の視線が重なると彼女はキール様に微笑んだ
「サキ」
「キール先生」
「辛いとこはありませんか ?」
「大丈夫だよ」
「それなら良かったです」
「ねえ、キール先生…」
「はい…」
「ずっと、ずっと探していたんだよ」
「っ…すみません」
「キール先生…」
「なんですか ?」
彼女は微笑みながらずっとキール様を見つめ、抱き締め支えながら立っていたのを自分の脚でしっかり立ち、キール様の胸元で手をつっぱり少し隙間を作った
すると…
「私怒ってるんだからね !!」
「ぐぁっ !!」
先程までの微笑みを消し、キッと眉を釣り上げキール様を睨みつけた瞬間
キール様が少し上へ浮き上がり倒れた…
「反省しろ !!」
私の直ぐ近くで彼女と一緒にいた彼が「あちゃーっ」と小さく声を溢していたけれど気にすることなどできず私は先程の光景に唖然としていた
だって…
ずっと探していたと言っていた彼女が右手を固く握りしめ少し腰の後ろに移し腰に回転をかけて、キール様の顎に向かって拳を打ち付けていたから…
いわゆるアッパーを打ち込みキール様を少し浮かせ後ろに倒したのだ
「え、え、ええええええーーーー !!」
このとき森に私の驚きの声が上がってしまったのは…仕方ないと思う
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