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学園

21 情報と記憶

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結局あの後直ぐに黒猫姿のセバスさんがリオンの背に乗り可愛い肉球で頭をネコパンチしだした所で終わった。
私はそのまま恥ずかしさでいっぱいになりリオンと距離を取ったけど、いつの間にか元の姿に戻ったセバスさんに研究室のテーブルがある所、一人がけ用のソファーに案内され紅茶とタルトを頂いき落ち着きを取り戻そうと頑張っている所だ、反対側にリオンは三人掛けのソファーに機嫌悪そうに座っていた。


「坊っちゃんマリアン様まだ12歳です、キス程度ならば良いでしょうがそれ以降はいけませんよ」


突然の発言に紅茶を吹きそうになってしまった、吹き出さず呑み込んだ私誰か褒めて!
確かに私まだ12歳だよ!最後まではできないけどさ!多分!いや際どい事されたりしてるけど…そ、それにあれ以上の事何て前世でたまに読んだ小説とかぐらいしか知らないよ!ええ、なにせ前世では最後までどころかキスすら無かったですから!それ系小説読んでも想像できなくて、恥ずかし過ぎて投げ捨てましたからね!目隠しとか言葉攻めとかヤバす‼️
私はさっきの事を思い出して真っ赤になっていた。


「坊っちゃん、いけませんよ」
「…分かっている」


苦虫を噛み潰したような顔をしながらリオンは紅茶を飲み始めた。
私は恥ずかしくて俯いたままタルトを口に運ぶ…
サクサクの生地にトロッとしたカスタードとチーズクリームに甘酸っぱいベリーが乗っていてとても美味しかった。


「おいしい…」
「ありがとうございます、それは良かったです」
「え?これセバスさんが作ったんですか?」


驚いてセバスさんを見ると


「ええ、坊っちゃんは甘いものがお好きでしたからよく作っておりましたので…」
「セバス、余計なこと言うな」
「まあ、いいじゃないですか」
「お前は…」


そんなやり取りについ笑えてしまったさっきまでの甘い空気の事などすっかり私は忘れてしまうほどのどかな空気…


「ところでセバス…何のようだ」
「そうでした、ユージニア男爵について調べ終わりました」
「それで?」
「マリアン様が言われたように、ユージニア男爵家には白銀の髪に赤茶の瞳を持つマリアン様と同じ年の方が一年程前養子で取られているようです。名前はナナミと呼ばれています、マリアン様が言われたより早く来年の二学年になる年にされるそうです。」
「何故来年なんだ」
「どうやらナナミと言う方がそれを望んだようです、ユージニア男爵が色々と手を回し決まった様ですが…」
「リアお前が見た夢は【未来視さきみ】かも知れん他に何か見たりしたら俺かセバスに言え、俺は今年しかここには居られない、来年からは時折研究室に来るようにするその時に情報を交換しておこう、会うときは【念話テレパス】を使って呼ぶここなら安全だからな、後はなるなるべく夢で出てきた奴には会うな」
「気をつけます」


そう言うと不満そうな顔をしながら頷いてきた


「リア、この後は何かあるのか」
「いえ?特にありませんが?」
「なら……」
「でしたら少しお時間を頂いてもよろしいですか?」


セバスさんがおかわりの紅茶を注ぎながら話に割り込んできた事にビックリした。


「え?」
「何を言っているセバス…」


リオンがすっごい睨んでるよ!しかも部屋の温度急激に下がりはじめているし!


「いえ、すこしお話したいことがありまして」
「ここで言え」
「それは無理です」
「何故だ」
「坊っちゃんはこの後王宮に用がある筈です。陛下とエイザル様の御呼びだしですのでそこにマリアン様をお連れすることはできません、本日は私がこのままマリアン様を見張っております、ご安心を」


頭を下げ私の横に立つ


「話があると言っていた奴を隣に置いとくと思うか?」
「ただの私の事です」
「ならここでもいいだろ」
「坊っちゃん、細かいと嫌われますよ」
「……ちっ…俺はこのまま行くリア後はセバスに任せる、リア気をつけろ」


リオンはそう言って私の隣に歩いてきて額に唇を落としセバスからローブを受け取り【転移テレポート】を使ったのかその場から消えた。


「坊っちゃんも居なくなったことですしマリアン様、少々ご質問してもよろしいですか?」
「え?あ、はい」


真面目な顔でこちらを向くセバスさんに息を呑んで見る。
こんな顔初めて見た…いつもニコニコしているセバスさんからは考えられないほど真面目で真剣な顔…なんだろう?


「貴方は何故あの桜が""と知っているのですか?この事は国や王族、坊っちゃんでさえ誰にも知られていない事です、ただ三人を除いて」
「え!えっと…」


なんて答えればいいんだろう…
まさか前世で知っていたからですテヘペロでもそれを言ったらこの世界のことを説明しないといけなくなる…どうしよう。


「マリアン様」
「ゆ、夢で…暖かくて優しい可愛い感じの黒髪黒瞳の少女がそう呟きながら寂しそうに眺めていて、あの木を""とよんでいたからです。」
「そうですか…先程行った三人ですが勇者セシル、賢者マオ、そして賢者マオの召喚獣であった私です」


セバスさんからのまさかの発言に驚いて目を見開いて見てしまった。


「かつて、賢者マオは聖地にてその土地の封印を解かれぬよう一人で守り続けました。そして、ある時彼女は己の魔力を殆ど注ぎ召喚したのが私です。主のマオ様のイメージで作られた召喚獣である私は主との契約以外では基本自由に動くことはできませんでした、動くきもありませんでしたが…。時折主は聖地を守るものとして勇者セシル様との叶わぬ恋と想いを私に話されこの地に咲かせた"八重桜"を見に行っておられました、それから約二百年ほど主は聖地を護り続け最後の時私に言ったのです。【聖地を守り自分の好きに生きる様に】そして【再びこの世界に黒髪黒瞳の子が生まれたらその者を支えるように】と、私は長く聖地を守りながらすごし黒髪黒瞳の方が生まれるのを待ち続けました、そして私は坊っちゃんが生まれたのを感じ直ぐに黒猫の姿で彼のそばに寄り添い守り続けていました。坊っちゃんが落ち着いた時、私は自分の存在を打ち明け今こうしてに姿を変えて執事として常に仕えております。」

「そ、そんな大事な事私に教えてよろしいんですか?」

「マリアン様の魔力はかつての主と似た雰囲気があります、そしてあの桜のことを知っておられました…それは私にとっては坊っちゃん以上に重要だと感じこうして話させていただきました、"八重桜"の事、セシル様と主の叶わぬ恋の話も坊っちゃんにはお伝えしておりませんので知りません、そしていまこの世で知っている方は私とマリアン様だけとなります」

「セバスさん…、私がもしかしたらまだ教えれないほどの秘密を持っていたとしても貴方は…私がリオンの側にいる事を許してくれますか?」

「マオ様も、未来見の力を持ちこの世界の未来を見たことがあります。私は一度だけ聞いたことがございます。【いつか、が現れ傷つけられてしまう…それはけして良いことではない】と、私はそれが貴女だと思っておりますマリアン様」

「………」


私は黙っていることしかできなかった。
セバスさんが言っているに私が当てはまるのかが分からなかったから…
ヒロインが転生者ならヒロインも当てはまるはずだから…


「マリアン様が何を思っており知っているかは存じ上げませんが、私はこの先も坊っちゃんとマリアン様を守り続けるつもりですのでご安心下さい、それが例えこのだとしてもです。」


私はセバスさんが最後何を言っているのかわからなかった。
【異なる存在】は多分私のような転生者もしくは召喚者のことで【この世界を歪める】はなんのことか…
ゲームのシナリオとはもう既に違うことをしている私、シナリオを歪めているのは確かで歪みとはそれの事なのか…そして………。
勇者と賢者の話が出るのはゲームでマリアンが断罪された後、第二期のリオン編、つまりリオンを取り冒険者になると知られる事実と始まる新たな冒険と乙女ゲームの話…
そしてゲームでは存在しなかった存在セバスさん
第一部が始まる前に……知ることになるなんて…私は不安を抱えながらこれからのこと一年後のヒロインが編入するまでの間の事を寮に戻った夜考え込み知恵熱をだすのだった…





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