上 下
27 / 166
学園

18 呼び出し

しおりを挟む
学園生活も2ヶ月が経った。
魔術授業のあの件からヒルゼンの視線をたまに(かなりだけど)感じることはあるけども魔術授業以外で声を掛けてくる事はない…
相変わらず悪夢は続いていて、最近は日に日に食欲も落ち体重も減りはじめ隈も化粧でごまかしにくくなっている為メルに心配されることも増えてきた、リオンがたまに悪夢で魘されている時側に居てくれる様な感じがする時は何も見ないで寝ることができる時もある、それでも実際に不眠と精神疲れが出始めていてボーとすることが多くなってきている見たいで…


「カーリヒルト嬢渡したい資料がある、昼に来なさい」
「はい…」


授業が終わりリオンが教室を出る前に私に声をかけて来た。
周りの令嬢達は嫉妬や嫌悪の視線を私に向けヒソヒソと話しているので溜め息が出てくる。
リオンに王家専属魔術師という名誉がついてからやたらと権力者達が媚びを売り近づいてくる、権力者達の令嬢達もなんとか縁を作ろうとリオンに必死にか関わろうとしている。体をはって近づく人もいるくらい…
こんな中誰にでも優しく平等に接しようとするヒロインがいれば心引かれるのも分かる気がする。
そういえば、リオンがこの学園に講師として来ている訳だけど令嬢が寄り付こうとしても授業以外では捕まらない!と有名…
それもその筈…リオンが学園に入った時に作った物置部屋(空間研究室)がこの学園には存在する。一部の温室を学園から借り(貰い)薬草や魔草を栽培して、空間研究室で調合や錬金をしていたとのこと、学園を卒業してからは基本セバスさんが薬草等をお世話しリオンもたまにこちらに来て色々としていたらしい。
そのため、この学園に私が入学してから週1、2程度だけどこの研究室に連れて来られたり呼び出されたりしてセバスさんに紅茶や菓子を用意してもらって2人で過ごたりしているけど…甘い空気になると必ず絶妙なタイミングで必ずセバスさんに声かけられたりいつの間にか側に居たりするからその度、リオンが不機嫌になるw
そんな感じで、学園にいる人達は私達が婚約者と言う事もこうして密会している事も全く知らない…
授業が終わり昼休みになり私はリオンの研究室へ向かって歩いて行く。
研究室のある物置部屋の前に付くとノックをする前に扉が開き奥からリオンが私を呼ぶ声が聞こえた。


「失礼します」


研究室に入るとすぐに扉が締まる音がした、奥の窓近くにリオンが立っていて…
その姿は太陽の光と微かに開けた窓から入る風でサラサラと流れるように輝く漆黒の髪と瞳……目を引かれてじっと見つめてしまっていた。


「……リア?」


リオンが私の名前を甘く優しい声で呼ぶと全身に電気が走ったような感覚と不安に襲われた、名前を呼ばれた事がたまらなく嬉して、でも夢で見たあの冷たい瞳を思い出して恐くなってしまった私は翻り研究室の扉を開けようとしたけどドアノブにも鍵にも手を触れることができない。
結界魔法で扉を開けれないようにされているようで私がオロオロとしているとすぐ後ろに気配を感じおずおずと首だけ少し後ろを見るとリオンが立っていた、その表情は硬く少し冷たい瞳上から見下ろして来ているリオンの姿に体が緊張する


「なぜ逃げようとする」
「べ、別に…特に理由はございませんわ…先生」


私が無意識にそう言うとリオンはムッとした顔になり後ろから私の腰に手を回し、顎を持ち上げキスをしてきた


「…っ!」


チュッ、チュク…チュ…
唇にキスしてきたかと思った瞬間次に舌が入り込んで…絡み合う


「ん、…ふっ…っ、先生やめ……」
「リア、名前…」


私の瞳を見つめながら甘い声が耳をくすぐる…
学園に来てから私はリオンの事を「先生」と呼ぶようにしている寮や空間研究室ここでは「リオン」と呼ぶことをリオンも求めているけど…
寮はまだいいとして、誰もここには入れない&干渉、聞くこともできない場所とは言え学園内…な訳で


「でも、…ん!」


一応ここは学園…と言い終わる前にリオンの唇が落ちてきて私の口は塞がっていった、そのキスはさっきよりも激しく甘い…口の間から溢れる絡み合う音が耳の奥に響いて足にだんだん力が入らなくなりガクガクする。


「リア…」


キスの合間に呼ばれる私の名前…
激しく高鳴ってほてはじめる身体…


「…ん…だ…駄目…」


そう言うとリオンは顎を持ち上げていた手を学服のスカートの上から太ももを触り始めた


「…っ!リ、リオンっ!」


私が慌てて名前を呼ぶと満足そうに甘く微笑み唇を重ねてくる。
もう脚に力が入らず崩れそうになるとリオンが私を横抱きに持ち上げ研究室にあるソファーに寝かせた。


「…え、えっと…先…「名前」…っ…リオン」


私にどうしても名前で呼ばせたいらしいリオンは私が名前を呼ぶと髪を一度すいてから横になっているソファーの前に私に背を向ける様に座り本を読み始めました。


「リ、リオンは何故私をよんだの?」


リオンは手の中にある分厚い本をペラとめくりながら喋る


「お前また最近寝れてないだろ。顔色が酷い」
「え?もしかしてそれで…?」
「それ以外に何がある」
「で、でも資料って…」
「お前が素直に休むとは思えないからな理由をつけて呼んだだけだ」
「……リオンできるありがとう」


私が静かにそう言うとリオンはフッと鼻で笑い黙ってまた次のページをめくっていく


「もういいから休め」


ページをめくる音、研究室の薬草の香り、リオンから香る桜の香り…落ち着いた声を聞いていると私は瞼が重く感じていき自然と閉じて夢の中へと旅立っていった…

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

【R18】殿下!そこは舐めてイイところじゃありません! 〜悪役令嬢に転生したけど元潔癖症の王子に溺愛されてます〜

茅野ガク
恋愛
予想外に起きたイベントでなんとか王太子を救おうとしたら、彼に執着されることになった悪役令嬢の話。 ☆他サイトにも投稿しています

【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。

白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。

未亡人メイド、ショタ公爵令息の筆下ろしに選ばれる。ただの性処理係かと思ったら、彼から結婚しようと告白されました。【完結】

高橋冬夏
恋愛
騎士だった夫を魔物討伐の傷が元で失ったエレン。そんな悲しみの中にある彼女に夫との思い出の詰まった家を火事で無くすという更なる悲劇が襲う。 全てを失ったエレンは娼婦になる覚悟で娼館を訪れようとしたときに夫の雇い主と出会い、だたのメイドとしてではなく、幼い子息の筆下ろしを頼まれてしまう。 断ることも出来たが覚悟を決め、子息の性処理を兼ねたメイドとして働き始めるのだった。

村娘になった悪役令嬢

枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。 ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。 村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。 ※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります) アルファポリスのみ後日談投稿しております。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

よくある父親の再婚で意地悪な義母と義妹が来たけどヒロインが○○○だったら………

naturalsoft
恋愛
なろうの方で日間異世界恋愛ランキング1位!ありがとうございます! ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 最近よくある、父親が再婚して出来た義母と義妹が、前妻の娘であるヒロインをイジメて追い出してしまう話……… でも、【権力】って婿養子の父親より前妻の娘である私が持ってのは知ってます?家を継ぐのも、死んだお母様の直系の血筋である【私】なのですよ? まったく、どうして多くの小説ではバカ正直にイジメられるのかしら? 少女はパタンッと本を閉じる。 そして悪巧みしていそうな笑みを浮かべて── アタイはそんな無様な事にはならねぇけどな! くははははっ!!! 静かな部屋の中で、少女の笑い声がこだまするのだった。

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

処理中です...