(R18) 悪役令嬢なんて御免です！

学園

１４ 悪夢①

「マリアン・カーリヒルト！お前との婚約を破棄する！」

（ここは…ゲーム断罪イベント…）

金髪碧眼“王子様”
この国の第二王子レインハルト・エル・トヤムールがこっちを睨んで大声を上げている。周りにはきらびやかなドレスを纏っている令嬢や子息が大勢こちらを傍観している。


「どうした、カーリヒルト。言い分があればきいてやろう」

（私は何もしていないわ）


フンと鼻で嘲笑い私を見下ろす王子…

体が自由に動けない…私が動けないのは
赤髪、赤瞳の王子護衛騎士…アレン・スーウェルド　
に両腕を拘束され床に膝をつかされているから


「わたくしは何も間違ったことなどしていないわ！平民上がりの女が、私の婚約者に手を出したんですもの！注意してもおかしくないはずですわよ！」

（ちがう！私はこんなこと思っていない！）



私の反論に睨んでくるレインハルト王子の腕に怯え掴み涙目で後ろに隠れる少女。
白銀のフワッフワヘアー、赤茶色の瞳…、………・ユージニア
彼女が王子とその側近達を取り込み味方につけている、だからか彼女を守るように取り囲んでいる男達…

青髪、サファイアの瞳イケメン眼鏡の秀才…サウス・シュエリック
茶髪、翠眼のショタ風美少年…リキール・ジトニック


「注意だと？………の服を切り裂いたり、わざと熱湯のお茶こぼしたり、階段から突き落とすことがか！」

（そんなことしてない）

「その女が、あとからしゃしゃり出てレインハルト様を横取りする野蛮な女だったからですわ！」

（違う！王子なんてどうでもいい！）

「黙れ！………は俺の大事な女だ！お前みたいな穢い女とは違う！これ以上………を侮辱するなら貴様の処刑してやる！」

「な！ふざけないでくださいませ！」

(そんな！処刑……そんな嫌‼️)

「ふざけてないどいない、貴様の様な女と婚姻するぐらいならば彼女と共に平民にでも落ち生活していたほうがよほどいい！それに父上にも彼女のことは認めてもらっている！」

「な！陛下まで…。なぜですの！なぜそんな平民の子が！」

(いや…お願いだから…)

「お前たち、この女を極牢へ連れて行け！後で処分を父上と考える。楽しみにしていろ！」

「覚えていないさい！この屈辱はいつか返してやるわ！………・ユージニア」

(夢でしょ…早く…覚めてよ…早く…)

「早く連れて行け！」

「離しなさい！」

（ぃゃ……。……て、助けて…リオン…リオン！）



周りの生徒も教師も私を睨む、その視線の中会場から引き摺られ連れ去られていくのを見届けていた、王子達の方を見れば階段上の席に陛下が座っている、そしてその隣には黒い王宮ローブを羽織り…只々冷たく憎悪と嫌悪の瞳がマリアン雪を睨んでいる愛しい人がいた。


（そんな目で見ないで！お願い…、嫌わないで…離れないで…側にいて…！ねぇ！リオン！リオン！）

「こんなことして許されると思ってますの！私はカーリヒルト公爵令嬢ですわよ！貴方達許さないわ！」

（お願い…お願い…だか…らリオン…側にいて…そんな目で…見ないで）


徐々に離されていく中何かの声が聞こえる。
叫び声、身体の痛み、胸を締め付けられる苦しさ、全てが本物リアルに感じられるのに私の意思では自由に動く事も喋る事もできない。
最後に見たのは暗闇の中に足を引きずり込まれ、悪役令嬢マリアンが動いている声や景色を…只々見ながら声にならない叫びを上げ涙を流すしかなかった。
そして最後まで抗い処刑される…その瞬間まで…







「…ぃゃ……っ…いやぁぁ！！」

ガバッ！
髪は頬や額に張り付きネグリジェは汗のせいで酷く濡れ体を冷やしていく。
体の全てに血が回っていないかのように凍え震えて上手く動かせず心は叫び、涙が溢れ落ちる。


「だ、大丈夫…大丈夫…私は悪役令嬢じゃない…ゲームとは違う…大丈夫」


震える自分の体を両手で抱き込むように包み小さな声でメルが朝支度訪問するまで「大丈夫」と永遠と呟いていた。