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幼少期

リオンside

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「学園の魔法臨時講師か…」

コンコン。

「失礼します。坊っちゃん」
「なんだ」
「半年後にマリアン様の12歳の誕生パーティーが御座います。」
「そうか…」
「参加なさらないのですか?」
「……セバス、そこのやつを取れ」
「坊っちゃん…わざわざ入学時期に合わせ講師になるぐらいでしたら会いに行かれればよいのでは?もう許可は降りてらっしゃるのですから」


そう俺は半年前に国王陛下に呼ばれ王宮専属魔術師から翌年から王家専属魔術師になる事を進められた。
エイザルもカーリヒルト公爵もそれに対し喜びやっとあのときの条件に達した事になりマリアンに会うことを許された。


ーーーーー

リオンは首席合格を果たし学園に入学した。
魔法と魔力に特化した学園の中でもリオンの存在は浮いていた。
国の史書などにも記載されているがリオン程見事な漆黒の髪と瞳を持つ魔法使いなど賢者以外存在していない。
それに加え、魔導書を読み漁りセバスに鍛えられ、マリアンの独特な魔法など取り入れた杵柄か、その魔力の扱いや魔法の歴史や研究についての成績もリオンは非常に優秀だった。
そしてその事実を他ならぬリオン自身が良く理解していた。
そうなれば当然、嫉妬ややっかみが発生するのは自然だった。
陰口や虐めを苦しいとは思わなかったが煩わしいと心底思わされた、関わってくるもの全てが暇なのかと思ったことなど一度や二度ではない魔法で黙らせることなど簡単だった。
だが学園での私闘は禁じられていたし何より人を魔法で傷つけることの恐ろしさをよく知っている。
必要であれば戦い相手を殺す事もできるが学園での些細な奴らに自分の力を使う事など魔力の無駄だ、もともと出来のいい頭だ一目見るだけで相手の弱点を見抜き執拗に切り裂き刳り心を貫いた、自分の見目に誤魔化されて寄ってくる女に対しても同じような対応をすれば泣き毒をつき離れていく。それが事態をさらに悪化させていくのだと解っているが敢えてそのままにしておいた。友人など必要なかった。
ただ一刻も早く卒業し、功績を上げ認めさせ帰ることが最優先事項だった。
そうやって4年を過ごし、飛び級しながらも入学時と同じく首席の成績で2年早く卒業し学園に入る前から通っていた王宮へとそのまま足を向けた。
マリアンと別れてからセバスに魔法と武剣術を習い空いた時間をエイザルの務める王宮研究所に向かい錬金や魔法について功績を上げ、時にはワイバーンの討伐や秘草の採取など進んで行い実績を上げる。そうすれば必然と級は上がっていくそしてリオンはようやく王家専属魔術師となる事をられたのだ。



ーーーーーーー


「坊っちゃん。マリアン様はとても寂しがっておいでですよ。」
「そうか」
「講師は断れるのを断らないのはマリアン様がご心配だからなのでは」
「うるさいぞセバス」
「坊っちゃん、会うのが恥ずかしいとかではないですよね?」


俺を見下した目で見て告げてくる執事に俺は書類の封書を投げつける、前回の魔法師団と騎士団の合流討伐の書類だ。騎士団長脳筋馬鹿が書類作成を押し付けてきたのだ。


「これをあの筋肉馬鹿騎士団長に届けろ」
「マリアン様も立派な女性になられておいでです、周りの方も放っとかないですよ。」
「何が言いたい」
「マリアン様はも公爵に誘われ少しずつ茶会に参加されております。そこで周りが婚約者が決まっておられない清楚で可憐な方として大変人気でございます。今回のパーティーでは多くの子息がマリアン様を狙ってるようですよ。中には婚約者がいらっしゃる方も来られるとか」
「……………」
「ちなみに、今回マリアン様は水色のドレスにルビーのティアラででるそうです。」
「はぁ。お前に任せる贈物は用意しなくていい」
「贈り物はよろしいのですか?」
「いらん」
「畏まりました。」


ゼバスは満足げな顔をし頭を下げた後部屋から出ていった、エイザルに頼まれた依頼である調合をしに隣の調合室へ足を運ぶ。


「今回は上級、超級回復薬ポーションと解毒回復薬ポーションか」


学園にいる頃に手伝った調合や錬金を未だにそのまま俺に流すエイザルの顔を思い浮かべ深いため息を漏らす。
これで何度目か…俺は俺の仕事をすると言っているが空いているのなら手伝えと仕事を押し付けられる。


「これでいいな。両方100ずつ…エイザルの元に届けとくか」


魔法鞄アイテムバックにしまい転移テレポートさせる。
さて、次は学園関連の書類か…
学園は俺が卒業した後第二王子派の奴が教師に入った為少々学園内が荒れている、そんな所にマリアンを安全に入れることなど不可能、毒の芽は早々に積んどおかねばならない、俺は調べ上げた書類を広げまとめていく。


カリカリカリ「ちっ」カリカリカリ… 


「時に坊っちゃん」
「なんだ」
「マリアン様はだいぶがよろしいですよ」
「そうか」
「ええ、魔力調整、魔法の想像力に威力、知識の広さ、貴族の礼儀、どれも素晴らしいものです。」
「そうか」


書類をまとめていれば部屋に転移テレポートしてきたセバスはマリアンの情報を話す。
元々、マリアンにつけたのも変な奴が寄らないよう防止する為と、近辺報告をさせる為だからだ。

カリカリカリ。

「そうですね、いくつか自分で造られた魔法もある様ですし、威力も申し分ないですね。」
「学園を標準で過ごせるようならいい」
「マリアン様もそこら辺はご理解しているようです。「目立ちたくないから、迷惑かけたくないから」と」
「マリアンの事だそれぐらい言われなくてもわかっているだろ」
「そのようです。時に坊っちゃん」
「なんだ」
「マリアン様ですが身長は155で止まっておりますが、胸はEカップイルになられたとか」


バキッ!
俺は力を入れすぎた為手に持っていた羽ペンを折った。
いまセバスは何を言った?
マリアンの胸のサイズなど何故セバスな知っている?


「…………」
「坊っちゃん、羽根ペンが折れてしまっておりますどうぞ」


俺が折った羽根ペンをさらりと交換しながら平然な顔で話してくるこいつに苛立ちが上る。


「セバス…なぜお前がそんなことを知っている」
「マリアン様とメイドが話されているのを聞いただけです。」
「…………」
「ああ、「それにこんな体型でリオン様に嫌われないかな?」とご心配されておりましたよ。」


バキッ!
だから何を言っているんだセバスコイツは!
セバスを睨み付ければ微妙に口角が上がり肩が震えていた


「セバス…お前俺で遊んでいるだろ」
「おや、なんの事でしょうか?」
「やけに楽しそうだな」
「事実を言ったまでですよ」


そう言い満足げに微笑んで来る、この顔を切り刻んでやりたい衝動にかられる。


「嘘だと思われるならパーティーに必ずご出席して会いに行かれればよいかと思います。それでは私は準備をいたしますので失礼します。」


そう言い姿を目の前から消した。
マリアン…
話では聞くがマリアンの姿や声は見たり聞いたりはしていない。
マリアンはどんなふうに育っただろうか…
あの頃と変わらない笑顔や声を今でも俺に向けてくれているのか、傷付けてから一度も顔を見せない俺をまだ待ってくれている。
只それだけが自然と燻る心を溶かす様にジワジワと拡がり温めていく。
マリアンもうすぐだな…俺はマリアンにあう為今まで以上に依頼を詰めこなした。


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