41 / 95
第六章 多々良さん探し 開始
第2回僕会議と、次郎丸
しおりを挟む第二回、自分脳内会議を開催したいと思います。異論のある方はいますか?
ええ、はい、今日のお茶請けはマグロ丼ですが、え? お茶請けじゃない?
でも、マグロ丼美味しいですよね、文句ないですよね、では
「おい」
開催を遮る声が背後から聞こえた。路上で脳内会議をすることは無茶だったのかもしれない。
振り向けば、長身の友人、三郎がいた。美少女以外ほとんど興味のない僕だが、友人の名前は覚えている。
小学校を出てすぐだった。
学校の授業自体は終わっている時間ではあるが、なぜこんなところで会うのだろうか。
「お前、何してたんだ?」
「多々良さんの授業参観に行ってた」
素直に答えておいた。彼は何やら探るように僕の方を見ているようだ。何を知りたいのだろうか。
「多々良の、一番下の妹か」
あっけらかんと言ってのける三郎に、心底驚いた。
なんだ、こいつは多々良さんが三姉妹であることを知っていたのか。
「ああ、多々良のことは大体知ってるんだ」
友達だから。
知ってか知らずか三郎は説明を付け加えてくれた。
多々良さんと、友達、なのか?
どの多々良さんと?
考える限り、同じ学校の、セーラー服の多々良さんである、多々良小菊さんだろうと思うけれど。
「ところで三郎は何でこんなところに?」
「ああ、お前学校休んでたから、気になって、家に行こうとしてたんだ。お見舞いだ。感謝してもいいぞ」
「残念だが、見ての通りずる休みだ」
三郎は快活に笑った。
「じゃあ、遊びに行こう」
「なんでそこでじゃあになるのか、三郎がわからない。お前部活は?」
「部活があるのは、月曜、火曜、木曜、土曜だ。何の問題もない」
週の終わりころの、今日は金曜日だった。
「原田たちがゲーセン行くって言ってた気がする。合流しよう」
「そうしよう」
まぁ、異論は全くないわけである。
多々良さんの一人、マリちゃんに呼び出された用事も、無事に終わったことだから、放課後の予定は何も入っていないわけである。
多々良さんのことを中心に生きている僕ではあるけれど、たまには、友達と遊ぶのもいいだろう。
さっそく歩き出した三郎を追いかける。湧き出た疑問は、心の中で消化することに使用。
―――あのね。
僕の家は、小学校とは反対方向ですよ、三郎くん。
本当に、なんで、ここにいるんですか?
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
不思議の街のヴァルダさん
伊集院アケミ
ミステリー
仙台市某所にある不思議な古書店で、時折繰り広げられる、小さな事件。「死者の書のしもべ」を自称するシスターの格好をした中二病の女性と、彼女を慕う平凡な大学生による、日常系サスペンス? です。なお、この小説は、世間知らずのワナビの女の子が書いてる小説という設定です。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
マイグレーション ~現実世界に入れ替え現象を設定してみた~
気の言
ミステリー
いたって平凡な男子高校生の玉宮香六(たまみや かむい)はひょんなことから、中学からの腐れ縁である姫石華(ひめいし はな)と入れ替わってしまった。このまま元に戻らずにラブコメみたいな生活を送っていくのかと不安をいだきはじめた時に、二人を元に戻すための解決の糸口が見つかる。だが、このことがきっかけで事態は急展開を迎えてしまう。
現実に入れ替わりが起きたことを想定した、恋愛要素あり、謎ありの空想科学小説です。
この作品はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる