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第四章 レイラとして、私として

王子様は積極的に誘う(2)

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「おい、レイラ、聞いてるのか」

「次コマの準備があるので、ここで失礼しますね……」

「おい、待てよ」

私の二の腕は、勝手に―ーー自動的に動き、彼の触れようとしてくる手を避けた。


「―――なっ」 
 
 自分に魔法をかけておいて正解だった。

 人に掛けるなら少々準備はいるが、自分に掛ける分なら、ほとんどすぐにできるようになってしまった。

 中程度の難易度の防御魔法だ。自動回避。

 ディオン様に絡まれるようになって、テオが一切助けてくれなくなって。
 自衛のための能力が、めきめきと育ち始めている。

 さすが、ルートによっては公務員になれる可能性を秘めた私である。

 一瞬びっくりしたディオン様の隙をついて、図書室から出る。
 空き教室に入り、自身の体を確認。

 よし、今回は追跡の魔法や、呼び出しの魔法はつけられていない。
 くまなく全身を確認した後、念のため、再度隠れられる場所を見つけることにする。

 誰かから隠れられて、それで、ついでに、フィリに会えそうなところといえば、一つしかない。
お昼過ぎの時間帯、一番日当たりの良い場所を、私は知っている。

「よし、テオ、屋上に避難するからね」
「……オレ、パス」

「へ?」

 今、テオの口から聞いたことのない言葉が出てきた。

 私の行動を、批判せず、馬鹿にせず、諭さず。
 何も言わず。

 ただ、パスとだけ。

「パスって、なに? テオどういうこと?」
「あの妖精交じりに会いに行くんだろ? なら、パスだ」

 テオは私が何かを言う前に、パッと姿を消した。

「なんなの……?」

 私が一体、何をしたというのだ。

 誰も教えてくれはしない。
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